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『霧島華音』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第7章 『花の城の音姫』
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『花の城の音姫』 ~香奈の章~ 其の十一

「で、どうするの?香奈。そろそろ暗くなってくるわよ?」


『祠』を出て、皆に猫探しを手伝って貰える事になったけど、辺りはもう夕暮れ。もうちょっとで辺りは暗くなるだろう。

本格的に探すのは明日になりそう。ちょうど明日は休みな事だし。


「うーん。暗くなってくるし、本格的な捜索は明日になるかな。」

「明日の9時に学校前に集合でどうかな?」


「おっけー」「らじゃ。」「わかりました。」「了承なのじゃ。」(うちもそれでええわ。)


「まあ、その前に儂と海魔クラーケンは、猫の気配を探ってみよう。」


(そうやね。華音様が生み出したのなら、華音様に似た気配がしてると思うわ。)


「それで見つかれば、良し。じゃ。」


桜井さんとクラーケンさんは、この後も探してくれる事になった。

本当は私も手伝いたかったんだけど・・・桜井さんに止められた。

もう、脅威は去ったと見ていいだろうとは思うが、残滓くらいいるかも知れ無いとの事。

私と香織ちゃん、知真ちゃん、葉和ちゃんは、明日の朝からの合流となる。


翌日。


9時前には全員集まった。


「先ずは、昨日の成果じゃが・・・まあ、見つからなかったのじゃ。」


(どうやら、あちらこちらに縄張りを持ってるようや。)


気配・・・って言うか、其処に居ただろう形跡?は見つける事は出来たけど、その何処にも居なかったみたい。

あちらこちらを転々としている?猫だけに気ままなのかな??

何にしても、もう一度それらの場所を捜索するのが得策かな。


「じゃあ、その縄張りを手分けして捜索するのがいいんじゃないかな?」


「あまり分けるのは得策ではないかもしれん。」

「昨日、夜魅やみの残滓・・・まあ、低級な夜魅やみじゃから、そう脅威ではないんじゃが・・・何体か屠ってきたのじゃ。」


(多分やけど、猫を追っているんやね。それで猫は縄張りを転々としているんやと思うわ。)


低級な夜魅やみなので、桜井さんかクラーケンさんのどちらかが居れば大丈夫みたい。

私、桜井さん、知真ちゃん組、クラーケンさん、香織ちゃん、葉和ちゃん組の二手に分かれて猫探しをする事になった。


・・・

・・・

・・・


「香奈さん。一度、花子さんに猫の居そうな場所を聞いてみてはどうでしょう?」


「うむ、儂らが行った場所以外にも、立ち寄る場所があるかも知れんな。」


「そうだね。学校も縄張りの一つなんだよね?探しながら花子さんの所にも寄ろう。」


私達は学校を探す。今日はお休みだけど、部活や図書館も解放になっているのでほとんどの所には入れる。

校舎裏、体育館脇、縄張り?と桜井さんが言っていた所に猫は居ない。

旧校舎に寄った所で、花子さんの居るトイレに立ち寄る。

手前のドアから奥のドアへ。

ノックは2回。


「花子さん居ますか?」


「は〜い♪」


妙に明るい声が聞こえる。

もはや、こわーい怪談のトイレの花子さんのイメージは全く無い。

時間も朝9時だし。


「珍しい組み合わせだね。・・・ここちゃんが居るって事は、無事に華音様に会えたんだね?」


「はい。それでですね・・・」


私達は、これまでの経緯を花子さんに説明する。

今風のおしゃれ小学生風な花子さんは、ふむふむと頷きながら聞いている。

・・・凄く可愛いんですケド!!

「えっと、お持ち帰りしても良いですか?」と、葉和ちゃんは暴走している。

勿論、1秒で断られた。

それはさておき・・・


「う〜ん、ここちゃんの行った所で大体だと思うんだけど・・・後は、華音様が好きそうな所とかも行くかも?」


「ふむ、一理あるな。姫の瘴気から生まれた猫だからの。」


「何にしても、縄張りを一通り探すしかないですね。」


私達は、花子さんの所を後にすると、他の縄張りを探した。

漁港、お店跡地も探したが見つからない。お昼になり、一度皆と合流する事になった。


「首尾はどう?って聞くまでも無いわね。」


「うん、香織ちゃん達も・・・みたいね。」


「なんにしてもさ〜お昼ご飯食べようよぉ〜私、お腹すいちゃったよぉ〜」


「姉さん、空気読んでください。」


その案は採用されてご飯を食べに行く事になった。


「私、『一心』がいい!!」


「・・・お昼からカツカレーですか・・・姉さん・・・」


結局、お昼からカツカレーになったんだけどね。

『一心』に入る。ここには6人で座れるテーブルは無い。

さっきと同じ組み合わせで、4人掛けのテーブルに着く。

注文は・・・全員カツカレー・・・お昼からちょっと重い気がするけど・・・うん。歩き回って運動するし!!

そうこうしている内に、店は混雑してくる。休みでお昼時だもんね。


「ごめん、相席いいかな?他は満席なんだ。」と、20代前半くらい?の男性に声を掛けられた。

見ると、香織ちゃん達の方も誰か相席している様だった。


「あ、はい。どうぞ。」


私が承諾すると、男性は席に座りやはりカツカレーを注文する。

・・・あれ?何故かその男性が私を見つめている。

えっと・・・もしかして・・・一目惚れとか??

なんて乙女チックな思考になりかけていたら・・・


「・・・君は確か、華音様の関係者の子じゃなかったかな??」


「え!?」


私は驚いて声を出す。

華音さんを覚えている人は『この世のモノ』じゃない。・・・私は例外っぽいけど。

この人は一体!?


「お主、何者じゃ。」


「そういう君も何者だい?・・・あと、向こうのテーブルのお姉さんもかな。」


「ま、待ってください。お兄さん・・・夜魅やみ・・・では無いですよね?」


「華音様に言わせると、夜魅やみになりかけていたらしいけどね。」

「俺は、佐藤二郎。あ〜正確には体は佐藤一郎だ。今、華音様の事を知っていそうな人を見かけたから表に出てきただけの・・・守護霊だ。」


華音さんを知る人・・・守護霊らしいケド。

もしかしたら、猫の居そうな場所を知っているかも知れない。

私達は、二郎さんに経緯を説明する。


「そうか、おれが入院している間にそんな事があったのか。」


二郎さん(正確には一郎さん)も、華音さんに命を助けられたらしい。

けど、結局車に轢かれちゃって、最近まで入院していたみたい。


「あの時の黒猫か。そうか、この運命線では生存しているんだな。」


「運命線??」


「あーいや、すまない。此方の事だ。」

「その猫なら見た事がある。たまにココロードでも見かけたな。」

「例えば・・・坂本に行く途中の空き地があるだろう?あそこにもよく居たぞ。」


「ココロードかぁ・・・みんな、ココロードは探した?」


「いや、あの辺りは元々の姫の残滓が強くて後回しにしていたのじゃ。」


(そうやね。捜索範囲も広ろうなるからねぇ?)


「じゃあ、午後からはココロードを中心に探そう。」


「本当は俺も手伝いたいんだが・・・一郎の体だからね。あまり長く表に出ると、一郎が混乱する。」


「いえ、ありがとう御座います。二郎さん。」


その後、カツカレーを綺麗に間食した私達は、そのままココロードに向かった。

ここでも、二手に分かれ捜索したけど・・・

・・・やっぱり見つからない。


「あと、猫が行きそうな所とか、姫が行きそうな所とかは無いのか?香奈。」


「って言われても・・・」


華音行きそうな所かぁ・・・ココロードで・・・

・・・あ、ある!華音さんが行きそうな所!!華音さんの大好物の・・・


「一つだけ、華音さんが行きそうな場所があります。」


私達はその場所に向かう。

そこはココロードの一番端。観音様の裏手にある。


「・・・『さのや』です。」


華音さんの大好物の『今川焼』の店『さのや』だ。


「いやいや・・・此処には流石にいないじゃろ・・・」

「・・・居たのじゃ!!」


桜井さんが店先にちょこんと座っていた黒猫を確保する。

私は皆に連絡を取り、合流する。

その足で『桜』に向かう事となった。

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