『花の城の音姫』 ~香奈の章~ 其の六
花子さんと再会した翌日の放課後。
私と香織ちゃん、双子達は早速イカ娘さんこと、クラーケンさんを探す事にした。
で・・・
「とりあえず、前に会った漁港に来たけど・・・」
勿論そこに居る筈もない。
ですよねー海の何処かって・・・
「ところで、特徴とかは?・・・っとやっぱりイカみたいな三角の帽子とか被ってるのかしら?」
「いやー普通の女の子っぽいかな・・・あ、関西弁?みたいな感じだった気がするよ。」
特徴っぽい特徴が喋り方しか思い浮かばなかったけど・・・
・・・とりあえずこの辺りを手分けして探そうという事になった。
とは言っても・・・あ、組合長さんがいる。ちょっと聞いてみよう。
「こ、こんにちは。組合長さん。」
「んーどっかで見た子だな。こんにちは。」
「えっと、多分前にこの辺りで話をした事とか、あったと思います。」
「そうか、どうりで見た事があると思ったんだよ。で、なんだい?何か用事かい?」
やはり、組合長さんも華音さんの事は覚えてないみたい。でも、なんとなーく私と話をした事は覚えているのね。
私は、クラーケンさんについて聞いてみる。
「関西弁の女の子?それなら確か・・・2週間くらい前に見たな。」
「道を聞かれたんだが・・・あれ?何処へ行くんだったかな??」
2週間前・・・って言うと華音さんが消える少し前くらいかな。
クラーケンさんらしき人は見かけたけど、どこに行ったか分からない・・・って事は、華音さんの所に行ったんだと思う。
って事は、クラーケンさんは何か知っている可能性があると思う。
何とかして、クラーケンさんを探さないと!
「ん?ああ・・・あの子じゃないのか?」
「へ?」
組合長さんが指差す方を見ると・・・間違いない。クラーケンさんだ。
「組合長さん。ありがとう。」
私は、お礼を言って駆け出す。
漁港内は滑りやすいので要注意。
・・・
・・・
・・・
はあっはあっ「ク、クラーケンさん」息を切らしながら、私はクラーケンさんを呼びとめた。
(おや・・・確か、華音様と一緒におった娘やねぇ?)
「は、はい、香奈です。」
(そうか、香奈な。よろしゅうに。)
(で、香奈。あんたの用事は華音様の事やね?)
え?私はまだ何も話していない。
「な、何で分かったんですか?」
(分かるよ。)
(・・・華音様の気配がない。)
「はい、その事で・・・聞きたい事。そしてお願いしたい事があります。」
(分かった。とりあえず、歩きながら聞こか。)
私は携帯で他の3人に連絡し合流すると、クラーケンさんと共に歩きはじめる。
その間、最近起こった出来事を話す。
(そか、華音様の存在が無かった事に改変された・・・と、せやけど、華音様は何処かにおる。)
(そういう事やね?)
「はい。花子さんに『桜』の近くにある『祠』にいけと言われました。」
「ただ・・・その『祠』を開けるのにチカラがある人を探していまして・・・」
(なるほどね。華音様は其処までみこしていたんやね。)
「それってどういう・・・」
(今向かってる場所・・・わからん?)
「あ、もしかして・・・『桜』!?」
(そうよ。うちはね。華音様から『祠』の『鍵』を託されておったんよ。)
(それはきっと・・・香奈を連れて行く為だったんやね。)
(ほな、いこか? 華音様の元へ。)
「はいっ!」
私達は『桜』へと向かう。
・・・もう一度、華音さんと会うために。




