『花の城の音姫』 ~香奈の章~ 其の五
「花子さん・・・つまり・・・私も・・・」
「・・・『この世のモノ』じゃない。そういう事ですか?」
花子さんは、首を左右に振る。
「わからない。」
「私には香奈ちゃんは人間にしか見えない。『この世のモノ』ならざる気配がしないもん。」
「わからないって・・・」
私は考える。
確かに私には死んだ記憶は無い。いや、そもそも死んだら記憶なってあるのかな?でも、花子さんの様に神様だったら・・・
・・・でも、気配がないらしい。でも・・・
「香奈。」
「そんなに難しく考える必要は無いわ。」
「そうですよ。香奈さん」
「そうだよ。もっかなー」
「え?」
私は皆を見る。
「香奈は香奈よ。」
「そうです。香奈さんは香奈さんです。」
「うんうん、もっかなはもっかなだよ。」
そう・・・なんだね、私は私なんだよね。
別に『この世のモノ』だろうが、なかろうが関係ない。私は私だ。
そんな、不確定な事柄より、大切な事がある。
華音さんの所在・・・花子さんは言った。
『霧島華音』はこの世に存在しない。
きっと此れは、こういう意味だ。
この世じゃない何処かにいる。
そして、改変は誰が行ったのか。
私は早速、花子さんに尋ねた。
「それはね。直接、華音様に聞くといいよ。」
『桜』には少女が眠っている。
そして、その少女は守っている。
『桜』の下に眠るこの世に災厄をもたらす存在をから。
「『桜』の近くに祠があるのをでしょう?」
祠・・・確か、花子さんのチカラで『桜』に行った時に出た所だと思う。
でも、あそこってお店と繋がってるんじゃ?
「分かります。」
「其処に行って、結界を・・・」
「あ〜〜〜〜〜」
何かに気が付いたように大きな声を出す花子さん。
「・・・結界を解けるチカラを持ってる人がいないよ。」
「えっと、花子さんか・・・桜井さんでは駄目なんですか??」
「それなんだけどねぇ・・・子狐ちゃんは、華音様の所を離れられないと思うし・・・」
「・・・私も此処に縛られちゃってるのよ」
どうやら花子さんは、華音さんのチカラで此処から動けるようになり、姿も変えていたらしい。
華音さんがいなければ、このトイレの個室からは出られないって事みたい。
「相変わらず話が見えないけど・・・その結界?を解ける人物を探せばいいのね?」
「香奈。心当たりは??」
「心当たりって・・・そんな知り合いそうそういな・・・」
「・・・イカ娘さんは?」
「なに、その侵略しそうな娘は・・・??」
「まんまですね。」
「・・・コホン。海魔ちゃんなら、大丈夫だと思うよ。」
「あ、でも・・・陸上でも大丈夫なんですか??」
「あーうん、それも大丈夫だと思うよぉ?完全な人型になれるもん」
「ただ・・・何処にいるか分かんないよ??」
あ、確かに・・・海の何処かにいるんだろうけど・・・
「ま、まあ・・・それはいろいろやってみます。」
「ん、分かった。こっちも何か考えとくよ。困ったら呼んでね?」
「あ、それとね・・・別に夜じゃなくても呼べば出てこれるからね??」
へ?
それじゃあ、わざわざ夜まで待った私達って一体・・・
と、兎に角。明日はイカ娘さんを探さなきゃ。
花子さんに会って、疑問はさらに増えたけど・・・一歩前進した。
・・・と思う。




