『花の城の音姫』 ~香奈の章~ 其の三
「と言う訳で、『文化研究部』へようこそ♪」
「です。」
「へ?」
次の日の放課後。
昨日の話通り、旧校舎の教室で夜まで待機。って事になったのだけど・・・
「部室が旧校舎だから大丈夫ですよ?」
と双子の青い方が言い、赤い方に連れられやって来たのが『文化研究部』。
しかも旧校舎の1階、花子さんのトイレのすぐ近くだった。
「ここに来るのも、久しぶりねぇ♪」
「かおりん幽霊部員にも程があるよ!!」
「まあ、名前だけでも貸して〜って言ったの姉さんですけどね。」
「部活・・・入ってたんだ。」
家に帰って直ログインだから、やってないと思ってたよ・・・
「あれ?香奈は知らなかったんだっけ?」
「文化研究・・・と称して、くだらない事をPCでググルだけの部活よ。」
「失礼だよ!かおりん!!」
「この、『文化研究部』はねぇ・・・」
と、双子の赤い方は意気揚々と解説を始める。なんでも、日本における文化がなんちゃら・・・
・・・あ〜確かに香織ちゃんの説明であってる気がする。
兎に角私達は、夜まで部室で過ごそう。という事になったのだ。
って言うか、この前、旧校舎に来た時に教えてくれてもよかったのに・・・
「この前、何時頃だっけ?」
「確か、9時頃だったと思いますよ。」
「今からだと・・・お腹がすくわね。」
ぽちぽちっとスマホでゲームをやりながら香織ちゃんが答える。
確かに、お腹がすきそう。
「それなら大丈夫ですよ。」
ごそごそとやってるのは、双子の赤い方。
「じゃーん! 買い置きがたくさんあるよ!!」
出てきたのは、お菓子の山。
ポテトチップスにチョコレート・・・駄菓子もある。
「あら、これ懐かしいわね。昔近所にあった駄菓子屋で食べたわよ。」
スモモ??
何か良く分からない赤い液体に浸かった桃??梅みたいなのが2個入っている駄菓子だ。
「私、コレ好きなのよねぇ♪」
「あ、それはですね。この前の文化研究のお題だったんですよ?」
「駄菓子の研究でもしたの?」
「んにゃ。『すもももももももものうち』だよ。」
すもももももももものうち??これって、聞いた事あるけど、一体なんなんだろう??
私は、部室にあるPCでグーグル先生を立ち上げる。
「あ、もっかなー」
「ふっふっふ・・・もう解明できてるから、調べる必要は無いよ!!」
「え?解明??」
すもももももももものうちにどんな謎が・・・
「じゃあ、今日の部活はこの間のおさらいにします。」
「らじゃー」
ノリノリな双子達。
「そういえばさ、すもももももももものうちって言うじゃん?」
「・・・いきなりなんですか?姉さん。」
「えっと・・・この流れ何よ?」
香織ちゃんがツッコむ。
私も、ハテナマークが飛んでそうな感じの切り出しだと思う。
「何って、回想シーンだよ!!」
「暫く、お付き合いください。」
青い方も真面目なツッコミ役に見えて、こういうノリの時がよくある。
「桃が桃のうちなのは、あたりまえじゃん?」
「まあ、桃って言ってますからね。」
「でもさ、スモモはあきらかに桃じゃないよね?」
「駄菓子屋さんに売ってるあれって、梅??みたいな感じだよね??」
「あー確かにそうですよね。梅っぽい感じですよね。」
「でも、スモモって何なんでしょうね?」
「ちょっとググってみる!!」
「っと、ここでググったんだけど、詳細言って省略するね?」
スモモ(李、酢桃、学名:Prunus salicina)はバラ科サクラ属の落葉小高木。また、その果実のこと。中国原産。
スモモの果実は、桃に比べて酸味が強くうんぬん・・・
「あ、やっぱり桃じゃないんだ!」
「むしろさくらんぼとか、杏とか・・・やっぱり梅の親戚なんだね。」
「それは勉強になりました。」
「あ、って言う事は、すもももももももものうちって言うのは嘘なんですね。」
「じゃあ、なんでそんな言葉があるんでしょう?」
「はわわちゃん・・・これはきっと暗号か何かなんだよ!!」
「・・・途端に胡散臭くなりましたね。」
「例えばだよ・・・いっぱい使ってる『も』が怪しい!!コレを取って読むと・・・」
「す・・・のうちですね」
「近所の須之内さんが絡んでいたか・・・」
「・・・近所の須之内さんは関係ないと思います。」
「ですが、何かありそうですね!!」
「その通りだよ、はわわちゃん!!」
「では、うらにわにわにわにわにわにわにわとりがいる。はどうでしょう?」
「これは・・・にわ・・・いや、とり・・・にわ取りか!!にわととりを取って見よう!!」
「うら・・・がいる・・・裏ガイル!!」
「ナッシュの事かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ガイル?ナッシュ??外人さん??ガイルさんの裏がナッシュさん??
意味が分からない。
「はい、すとーーっぷ。」
「よーく分かったわ・・・」
「まだ途中だよ!?」
「です。」
「はぁ・・・もう、香奈がついてこれてないでしょ?」
「スト○ートファイターは、有名どころだと思うんだけどなぁ?」
「あはは」
「面白い部活だね。良かったら、私も入れてくれない?」
「やったよ・・・はわわちゃん・・・新入部員GETだよ!!」
「これで、来年も『文化研究部』は安泰だよ!!」
「・・・ちなみに、香奈さんも一緒に卒業するから、来年は部員0ですけどね。」
「しまったぁぁぁぁぁ!!」
とまあ、こんなノリでわいわいと夜まで過ごす事となった。
多分・・・私を元気づけてくれているんだよね?
「ちなみに、裏ロバートは、ダンだよね?」
「メーカーが違うわよ!!」
多分・・・




