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『霧島華音』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第2章 『船幽霊(もうれんやっさ)』
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『船幽霊(もうれんやっさ)』 其の一

此処は『霧島華音』。

『ココロード』という、閑静な商店街にある『不思議』を扱う『何でも屋』である。

普段は閑古鳥が鳴いている『霧島華音』だが、最近は来客が増えた。


「いらっしゃい、香奈ちゃん」


「こんにちは、花子さん」


先日の『壺』の件以来、香奈が顔を出すようになったからである。


「ん?また、ひやかしか?」


「あ、あはははー」


香奈も大分明るくなって、友達も出来た。


「でも、華音様ったら、「そろそろ、香奈が来る頃だから『さのや』買ってきて」

っとか、言うんですよ?」


「ちょ、花子、そ、それは内しょ・・・」


きぃぃぃぃぃ


その時、少し軋む扉を開けて、1人の男が入ってきた。


「あら、漁協の組合長さんじゃないですか。」


「か、華音様っ知恵をお貸しくださいっ」


「なんだ?藪から棒に・・・」


「はい、実は・・・」


組合長の話はこうである。

先日、釣りに出た船が沈没した。

乗っていた釣り人は、『もうれんやっさ』とか『いなが貸せ』とか言う

『白い大きな手』に船を沈められたと言っている。


「・・・『船幽霊もうれんやっさ』じゃないか。」


「ええ、それは私も承知です。」

「それで、底を抜いたひしゃくを貸すのも知っています。」


「それならば、沈められる事もあるまいて。」


「いえ、それが・・・」

「ひしゃくが足りないのです。」


「ひしゃくが足りない?」


「沢山の『白い大きな手』が出るそうです。」


「・・・ふむ」

「あ〜すまない、香奈。」


「あ、うん、今日は帰るね。」


「またね」と言って香奈は帰っていった。


「花子。」

「現地に行くぞ。」


「はい、華音様。」


さて、舞台は変わって船上である。

先日、船が沈められた現場へと向かっていた。

船幽霊もうれんやっさ』とは、お盆の頃に漁に出ると、

霧がかかり、もうれんやっさと言う掛け声と共に『白い大きな手』が現れ、

『いなが貸せ』と言い、いなが(ひしゃく)を貸すと船を沈められてしまう。

漁で船が転覆し、命を落とした漁師の霊が悪霊となり、仲間を増やそうとしている。

知っている者ならば、お盆の時期に漁に出ることは無い。

そして、『船幽霊もうれんやっさ』に出会った場合は、

『底の抜けたひしゃく』を貸すと船を沈められない。


「『昔』は、誰でも知っていたのだがな・・・」


「華音様?」


「いや、何でも無い。」


暫く進むと、濃い霧がたちこめてくる。

そして、霧の向こうから光と共に・・・


もうれんやっさ、もうれんやっさ・・・


うめく様な声が聞こえてきた。

それは、最初は一つ、

二つ、三つ、四つ、五つ・・・

光はどんどん増えていく。


もうれんやっさ、もうれんやっさ・・・


そして現れる大量の『白い大きな手』


「華音様っ」


「まあ、慌てるな組合長。」

鏡像幻影ミラー・ミラージュ


幻を作り出す『魔術』で『ひしゃく』を作り上げる。


「・・・花子、見える(・・・)か?」


「はい、ばっちりです。」


「ならば・・・」


大量の『白い大きな手』に大量の『底の抜けたひしゃく』

『白い大きな手』は『底の抜けたひしゃく』を持ち、

海水をすくうが、海水は当然すくえない。

そのうちに、一つ、二つ、三つと光は消え、『白い大きな手』も全て消えていった。


「ありがとうございます、華音様。」

「これで安心して漁に出られます。」


「いや、まだだ。」

「これは今を凌いだだけ。」

「原因となるものがある筈。」


本来、大量に出る筈が無いのだ。

大量の『船幽霊もうれんやっさ』を引き寄せる『何か』がある。


「花子、『霊波探知機』。」


「はい、華音様っ」


「それ・・・ゲーム○アに見えるんですが?」


「あ、組合長さん”通”ですね♪」


黒い携帯ゲーム機。

カラーの携帯ゲーム機の先駆けでTVも見れたりしたのだが、

単3電池6本で”3時間しか持たない”という、携帯に厳しい致命的な弱点があった。

まあ、『ソレ』なのである。


「カメラ屋の店長さんに貰ったんですよー」


其れは兎も角。

ゲーム○アを魔改造した『霊波探知機』により、周辺を探知してみる。


反応アリ。


「海底・・・水深20mといった所か。」

「霊的なモノを呼び寄せる何かがあるようだ。」

「・・・一旦、出直しだ。」


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