『花の城の音姫』 ~香奈の章~ 其の二
「あってるから感じる違和感??」
「そうです。」
「香奈さん。この中で”正解”はどれですか?」
正解・・・本当の『七不思議』。
それは・・・
「トイレの花子さん、後で分かった事だけど、『桜』・・・だよ。」
「あ、でも、花子さんは悪い霊じゃないから、”行かなかった3つ”を本当って事にしたんだ。」
「ええ、そうね。」
「私の認識もそれで合っているわ。」
でも、結果が同じなら他の事だって・・・
「気が付かない?」
と、双子の赤い方。
「私達も、花子さんは悪い霊じゃないから、”行かなかった3つ”を本当にしたんだよ?」
「つまり・・・」
花子さんに会ってる!!
「じゃあ、みんなは、花子さんの事・・・」
「「「覚えて無いわ。(よ。)(です。)」」」
え??でも、会っているから、悪い霊じゃないと分かったんじゃ・・・
みんなの言っている事が、さっぱり分からない。
「そう、覚えていなきゃおかしいんです。」
「え?」
「もっかなの話が真実なら、私達は花子さんに会っている。覚えている。」
「でも、私達にその記憶はありません。」
「三人揃って気絶してた?記憶喪失にでもなった??」
「そんな偶然なかなか無いわね。」
「えっとつまり・・・」
「『七不思議』・・・に何かしらのヒントがある。」
そこに、花子さん・・・もしかしたら華音さんも・・・
「そうと分かったら、早速行くわよ。」
「待って下さい。」
「学校にはどうやって入るんです?鍵が無いと夜の学校には入れませんよ??」
「っていうか、セキュリティーに引っかかるね?」
・・・言われてみればそうだよね。今は共学になったとは言え、昔はお嬢様学校だったこの学校には、当然セキュリティーがあるよね。
そっか、前はきっと、華音さんがその辺もどうにかしてくれていたんだ。
「みんなの記憶だと、前はどうしたの?」
「えっと・・・香奈が鍵を持っていたんじゃない?」
「理事長と・・・知り合いで??」
「鍵を開けて貰ったのでは?・・・理事長に・・・??」
「理事長??そういえば、あの時・・・もう一人・・・いた?」
「・・・ううん??、もう二人いた??」
う〜んと考え込む香織ちゃんと双子達。
やはり、知真ちゃんの考え通り、『七不思議』が鍵なのかも知れない。
暫くして、香織ちゃんが口を開いた。
「これは、いよいよ、おかしくなって来たわね。」
「記憶に矛盾がある・・・気がする。」
「そうですね。香奈さんの言う通り、”世の中には『不思議』な事が結構ある。”ならば、私達の記憶を変える『不思議』もあると言う事なのかも知れませんね。」
世の中に『不思議』な事が結構ある。
それは、華音さんと花子さん、桜井さんに出会って分かった事。
そんな『不思議』は、時に私の命を脅かし、時に親友と呼べる友を与えてくれた。
私はもう一度・・・華音さん達に会わなくてはならない・・・と思う。
理由は・・・私が華音さん達と・・・親友だから!!
「なら、なんとしても学校に行かなくてはならないわね。」
「夜の学校にどうやって忍び込むか・・・ですね。」
「そうだね。」
「・・・あのさ。ふと思ったんだけどさ。」
「「「何 (よ) (です)??」」」
「私ら、あの学校の生徒なんだから、夜まで学校の中に居ればよくね?」
「「「あ。」」」
言われてみれば、その通りだった。
それに旧校舎の方なら、セキュリティーもあまい・・・と思う。
旧校舎は部室棟になっているので、何処かの部室に隠れていれば・・・
「おk。それで行きましょう。」
「まったく・・・何で気が付かなかったのかしら・・・」
「「「らじゃ」」」
決行は明日。・・・また、華音さん達と会えるかも知れない。




