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『霧島華音』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第7章 『花の城の音姫』
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『花の城の音姫』 ~香奈の章~ 其の一

「香奈。この頃変よ?どうかしたの??」


「ちょっと疲れているようにも見えます。」


「ありがとう。大丈夫だから。」

「ちょっと探しているのよ・・・」


「探し物なら手伝うよ?」


「うん、本当に困ったらお願いするね?」


だって、私しか覚えていない人を探すなんて・・・きっと見つける事は、私にしか出来ないんだ。

だかせめて・・・香織ちゃんや双子達には、あまり心配を掛けたくない。

普段通りに・・・普段通りに。


「ところで、香織ちゃん。」

「グランドクエストはどうするの?」


「そうねぇ・・・これ以上進めるとなると、高レベルの魔術師と近接職が必要よねぇ?」

「・・・皆、当ては無い?」


当て・・・あるんだけどね。

華音さん・・・花子さん・・・桜井さん・・・今何処に・・・


「ホームルーム始めるぞ〜席に着け〜〜」


茨城先生が来て解散になる。

今日も一日、此処で過ごす『高等学校』の生徒として。


放課後。私は一度、寮に帰り、その後『霧島華音』があった場所に向かう。

あるのは閉店したスーパーマーケット。


「あんた、最近、良く見るねぇ?」


お婆さんに話しかけられる。


「ええ、探しているんです。」

「ところで、お婆さん。ここにあった店を知っていますか?」


「スーパーの事かい? もう、何年も前に潰れたんだよ。」

「今度、駐車場になるとか言ってたねぇ・・・」


「駐車場に?」

「・・・そうですか、ありがとうございます。」


私は、お婆さんにお礼を言うと、その場を後にする。

華音さん達が居なくなって1週間。

私は、『霧島華音』があった場所に来て、商店街・・・『ココロード』の方に話を聞いたり、華音さんを紹介してくれた住職さんにも話を聞いた。

結果はやはり、「知らない。」という事。

正直・・・行き詰っている。

やはり、明日、皆に相談してみようかなぁ?

あの3人なら、きっと真面目に話を聞いてくれる。

だって、華音さんのお蔭で出来た、初めての・・・本当の友達だから。


翌日の放課後。香織ちゃん、知真ちゃん、葉和ちゃんの3人に、私の部屋で話を聞いて貰った。

華音さんとの出会いから、今の状況まで全て。


「この前・・・言っていた人よね?」


「私達とも知り合い・・・友達だったんですか?」


「って、幽霊!?トイレの花子さん!?」


「そう、華音さんは多分だけど、昔、この辺りにあったお城に住んで居たお姫様の幽霊。」

「花子さんは、あの有名なトイレの花子さん。桜井さんは・・・妖狐って言ってたよ。」

「幽霊かも知れないけど・・・華音さん達は、確かにいたんだよ!」


「別に疑っている訳ではないわ。」


「ええ、香奈さんが嘘を言っているようには思えません。」


「あとねー、ちょっと気になる事があるんだ。」


「知真ちゃん、気になる事って?」


「そうね、私もそれは思ったわ。」


「はい、私もです。」


「え、え!?、皆、何か思い出したの!?」


「記憶の違いだよ。」


記憶の・・・違い??


「もっかなの話と、私の記憶では違う部分が多いんだよ。」

「結果は同じでも、華音さん達の存在が無い分、私ともっかなでは其処にたどり着くまでの過程が違うんだよ。」


無言で姉のおでこに手をやる妹の葉和ちゃん。


「熱は・・・無いみたいですね。」

「いえ、姉さんにしては真面目で・・・的を得ている話をしていたもので・・・」


「・・・失礼だよ葉和ちゃん!!」


「まあ、それは兎も角よ。」

「知真の言った通りよ。だから前に聞いた時は違和感程度だったのだけれど、詳しく聞いた今、それは違いとして出てきたのよ。」


「先ずですね、香奈さんが私達と友達になった・・・と言う話ですが、香奈さんの話では9月ですよね。」


「うん、華音さんにきっかけを作って貰って、話しかけたのが9月だよ。」


「これは、認識の違いかもしれませんが、私達は9月よりもっと前から、お友達だと思っていましたよ。」


確かに、双子達とは話した事はあったけど、香織ちゃんとは親しくは無かった・・・と思う。


「あと、私のお兄ちゃ・・兄の件は全然違うわね。」

「私の兄は重度の引き籠りで、ネトゲ廃人だったのを社会復帰させる手伝いをして貰ったのよ。」

「香奈には、いろいろ手を尽くして貰ったわ。」


「はい、私達も微力ながらお手伝いしました。」


「少なくとも、ゲームの世界に行ったりはしてないよねぇ♪」


「結果は、兄は自分の世界から帰ってきた。」


9月に友達になったが、元々友達だった。結果は今も友達。

香織ちゃんのお兄さんがゲームの世界から現実世界に帰ってきたが、引き籠りから社会復帰。結果、自分の世界から出た。

確かに・・・結果は同じ?なのかもしれない。


「極めつけは、肝試しだよ。」


「え?」


「七不思議・・・覚えていますか?」


「えっと確か・・・」


1、トイレの花子さん。

2、誰もいない体育館でボールの音がする。

3、音楽室の肖像画の目が動く。

4、衣装室の大鏡に姿が映らない。

5、階段が増える。

6、開かずの教室がある。

7、咲かない筈の『桜』が夜に花が咲く。


「だと思うけど?」


「ええ、それで”合って”います。」


「え?合っているんならいいんじゃ?」


「いいえ、合っているから・・・違和感を感じるんです。」


合っているから感じる違和感・・・皆の記憶と私の記憶を照らし合わせたからこそ出た違和感。

其処にこそ、鍵があるのかもしれない。



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