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『霧島華音』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第5章 『学校の七不思議』
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『学校の七不思議』 其の三

夜。

学校前に集まる私達。

私が来た頃には、もう全員集まっていた。

やはり花子さんは、後で合流するってことらしい。

華音さんの提案で回る順番が決まり、体育館、音楽室、衣装室と特別教室棟を回った後に旧校舎。

旧校舎でトイレ、階段とに行って、最後に開かずの教室。

『桜』は夜に山道は危険だから行かない。

という事になった。


「むむむ・・・確かに『桜』まで行けないかも?」

「でも、華音さんが外したって事は、それは正解じゃないって事だよね?」


「そうですね。」


と、双子達は納得したようだが、私は正解だから外したんじゃ?と思う。


「こういうのってドキドキするわね。」


香織ちゃんも結構気楽な感じ。

私だけが深刻に考えてるのかな??

そして、肝試しは始まった。



--------体育館--------



・誰もいない体育館でボールの音がする。


夜の校庭は、シーンと静まり返り、普段は何ともなくあるく渡り廊下ですら何か出るんじゃ?と思えてしまう。

そんな渡り廊下を歩いた先の体育館。

普段出入りしている扉は、夜なので当然閉まっている。

私達は、体育館の隅にある扉から中に入る。

入った場所は体育倉庫で、そこを通過して舞台袖を通り中へ入る事が出来た。


「夜の体育館って怖いですね・・・」


「わ、私は、へ、平気だし・・・」


とても平気そうに見えない。


「ほんと、何か出そうよね。」


香織ちゃんは結構余裕がありそう。


「先ずは、体育館でボールの音だったな。」


「う、うん。」

「私の聞いた話だと、遅くまで部活で残った帰りに扉が閉まってて、真っ暗な体育館からボールの音が・・・」


ターン・・・タンタンタン・・・


突如バスケットボールが跳ねる様な音がした。


「ひょわわわわわわわ〜〜〜〜〜〜」「きゃ」「・・・」


双子の赤い方の声の方がびっくりした。

青い方はすっかり固まっている。


タン、タン、タン


今度はドリブルをするような規則的な音。


「とまあ、こんな感じにだな・・・」


見ると華音さんが、バスケットボールでドリブルをしていた。


「ここは構造上、戸締りをしたら体育倉庫を通って表に出なければならない。」

「多分、戸締りをした先生が、倉庫の中のボールを落としたんだ。」

「体育館の音はよく響くからな。」


「華音さ〜〜〜んっほんとぉぉぉぉぉに怖かったよぉぉぉぉ」


「・・・」


「ほんと、人が悪いわ。」


「ん?だってこれ肝試しなんだろう?」

「脅かす役がいないとな♪」


あ、絶対わざとだ。

私は華音さんが途中で居なくなったの見てたから案外予想してたんだよね。

・・・ちょっとはビックリしたけど。


「じゃあ、これは違う!」

「次行こう、次!」


「・・・」


早くも立ち直った赤い方に急かされ、次の場所・・・音楽室へと向かうことになった。

・・・青い方はまだ固まっていた。


カチリ。


華音さんが扉に鍵を掛け、体育館を後にする。


ターン・・・タンタンタン・・・・


・・・遠くでボールの音が聞こえた気がした。



--------音楽室--------



・音楽室の肖像画の目が動く。


私達は渡り廊下を戻り、特別教室棟へと入る。

夜の校内は、昼間とは別の世界に思える。

音楽室は3階。

階段を上り、音楽室の前に立つ。

華音さんが鍵を開け、中に入る。

音楽室の壁には、音楽家の肖像画がズラリと並んでいる。

暗闇に浮かび上がる肖像画は、それだけで恐怖に思えた。


「よ、夜に見る肖像画ってすごく怖いんですけど・・・」


「・・・」


「そうね、カナリ怖い。」


皆も同じ感想だ。

夜のってだけで、なんか怖く感じる。


パチリ


「ひょうわっ」「っと」「・・・」「あ。」


不意に電気が点く。

華音さんが音楽室の電気のスイッチを入れたからだ。


「も、もう華音さん、ビックリしたよ!」


こくこく


双子の青い方はまだ復活していない。


「此れならば、怖くないだろう?」


確かに、夜でも明るい音楽室ならば怖くはない。


「人は視覚情報を断たれると”不安”になる。」

「ある種の恐怖を感じたり・・・まあ、気分の良いものではないな。」

「そういった時に、今動いた気がしたっとか思ったんだろう。」


「えっと、つまり気のせい?」


華音さんは何も答えない。


「つ、次に行きましょう、まだ2つ目ですし・・・」


漸く復活の兆しが見られる青い方に促され、次の場所・・・衣装室へと向かう。


パチリ


電気を消してもう一度見た肖像画の・・・目が・・・動いたのは気のせいなのだろう。



--------衣装室--------



・衣装室の大鏡に姿が映らない。


音楽室の近くにある衣装室。

被服室の準備室と兼用の部屋で、演劇部が部活で使う衣装なんかが収められている。

私達が入ることはまず無い。

演劇部の生徒が入るくらいだと思う。

華音さんが鍵を開け、中に入る。


パチリ


直ぐに電気を点ける。

流石に皆も2度目はビックリしなかったようだ。


「結構、衣装ってあるのね。」


「昔はうちの演劇部、結構有名だったんだぞ?」


「あ、そうなんだ?」


「初めて聞きました。」


私も聞いたことが無い。

ずっと前の話なのだろうか??


「これが、その大鏡だろう。」


布が被った大きな鏡台?の様な物がある。


「えっと・・・布とっちゃっていいですか?」


「構わんよ。」


私は鏡にかけられた布を取る。

そこには当然、私の姿が映っていた。

それを見た、双子達と香織ちゃんが鏡を覗き込む。

当然、3人の姿が映った。


「ま、まあ、映らなかったら鏡じゃないもんね。」


「鏡と言うものは、何かしらのチカラがあると考えられてきたんだ。」

「ありのままの姿を映す・・・それが真実を映すとなり、姿が見えない物が映ったり、または死んでいるものは映らない等の話が出来たと言われている」

「そういう話から、姿が映らないって『七不思議』が出来たんじゃないかと思う。」


「へーそういうものなんだ〜」


「勉強になります。」


「なんか、華音さんの怪談講座みたいになってきたわね。」

「じゃあ、次に行きましょうか。」


私は大鏡に布を掛け、電気を消し、衣装室を出る。

見えないものが映ったり、死んだ人は映らない・・・か・・・

あれ??・・・華音さん・・・一回も鏡の前に立たなかった気がする。


「ほら、香奈行くわよ。」


「あ、うん・・・」


香織ちゃんに促され、次の場所・・・旧校舎のトイレへと向かった。

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