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『霧島華音』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第3章 『黒歴史ノート』
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『黒歴史ノート』 其の十四

『ベータ』の正体は、数千年前にこの星を出た人間だった。

だが、それ以上の事を考える前に、戦闘は始まってしまった。


『コマンダーベータ』が手を振りかざすと、無数の光球が生まれる。

其れは、まるで意志を持ったかの様に、向かってくる。


「あれは・・・エネルギーボルト!?」


直哉は『パリィ』、花子は『受け流し』、香奈は『ハードシールド』を展開し回避。

香織と華音は、魔法をぶつけ消滅させた。

なおも生まれる光球。


「エネルギーボルトの威力じゃないですよぉ〜」

「『受け流し』たはずなのに、HP3割持ってかれてますよぉ〜」


回避に専念する花子。


「しかも・・・これは・・・」


光球をステップで回避する直哉。

だが、光球は的確に直哉に狙いをつける。


「『ポイントガード』」


直哉を狙った光球を香奈が弾く。


「物凄く、誘導性が高いです!」

「皆さん、光球を私に誘導してください!」


光球を引き付けた後、香奈の後ろに回る。

全ての光球が香奈めがけて飛んできた。


「『ゾーンシールド』」


広範囲に展開された『シールド』にぶつかり、全ての光球は消滅した。


「洒落にならないな。」


「私や華音さんは、直撃したら終わりね・・・」


またも手を振りかざすと、今度は漆黒の槍が生まれた。


「シャドウランスか」


「『アルティメットシールド』!!」


香奈の持つスキルの中で最も耐久力のある『アルティメットシールド』で漆黒の槍を受ける。

漆黒の槍は、『シールド』を抜けずに消滅した。


「・・・シールド耐久値が残り20%まで削られた!?」

「威力的には、『ガーディアンベータ』のレーザーの2倍!?」


「防御に回ったら、ジリ貧だ。」


再び手を振りかざそうとする『コマンダーベータ』


「させないですよぉ〜『セイクリッド・スキュア』」


花子は光を纏った槍を投擲する。

『コマンダーベータ』は、振りかざそうとした手を槍に向け・・・

・・・『シールド』の様な物を張り弾き返す。


「恐らく、ポイントガードです。」


「これならどうだぁぁぁぁ!!『グランドクロス』!!」


空いている方の手で『ハードシールド』を張りこれも弾き返す。


「お兄ちゃんっ離れて!『ヴォルケーノ』!」


広範囲に及ぶ香織の魔法も『ゾーンシールド』を張られ防がれる。


「『エクリプス』」


全てを包み込む闇は、『アルティメットシールド』に阻まれた。


「『シールドソーサー』!」


香奈の盾を素手で弾く。

僅かだが、『コマンダーベータ』にダメージが入る。


「・・・なるほど、そういう事かな?」


「どうしたの?香奈??」


「うん、多分だけど、アイツにもクールタイムがあると思うよ。」

「そして、多重展開は出来ないし、クールタイムも私達より長い。」

「私なら、あのタイミングで『ポイントガード』のクールタイム終わってるもん。」


「つまり・・・アイツも無敵ではないって事だな!」


ならば希望はある。

全員の最強スキルのクールタイム終了に合わせ連続攻撃し、たたみかければ何発かは通る。

その間に、『コマンダーベータ』は攻撃に転じる。

『コマンダーベータ』が両手を掲げると、巨大な炎球が生まれた。


「まずいっインフェルノよ・・・いえ、ノヴァかも!?」


「皆さん、後ろに!『アルティメットシールド』!」


炸裂する炎球・・・だが、『シールド』に阻まれ炎の柱は上がらない。


「駄目・・・持たない・・・」

「・・・重ねて、『ゾーンシールド』」


クールタイムの戻った『フラワーアレンジメント』により、多重に展開される『シールド』

大爆発は起こったが、『シールド』で爆炎を防ぎきった。


「・・・今です!」


香奈の合図に、4人が飛び出した。


「攻撃回数に物を言わせるっ『スピアー・レイン』」


槍による連続攻撃。

超スピードで繰り出される槍撃は100発にも及ぶ。

『コマンダーベータ』は『アルティメットシールド』でこれを防ぐ。


「ちぃっ抜けないかぁ〜華音様!」


「『メ・ギド』」


複数の漆黒の塊を打ち出す闇属性魔法。

『コマンダーベータ』は『ハードシールド』を展開するも、数に対応しきれずダメージを受けた。


「直哉頼む。」


「おうっ 行くぜ!『オーバー・エンド』」


一撃の威力を重視した大剣スキル。

その攻撃力は、この世界において最強クラスである。

しかし、『コマンダーベータ』は『ポイントガード』を張るにとどまり、当然防ぎきれない。


「まだ、『ゾーンシールド』のクールタイムが終わっていないみたいだよ!」


「香奈っ『シールド』をお願い!」


「へ?香織ちゃん??」


「究極魔法を発動するわ!『フレア』!!」


「え?えぇぇ〜『ゾーンシールド』!!」


最初は小さな光だった。

その光が『コマンダーベータ』に触れると、膨張。

それは凄まじい熱量を生み、すべてを飲み込む光となって弾ける。


「なんなんですかーーー」


「太陽で起こる爆発が『フレア』だ。」

「威力は水素爆弾1億個と同等で、数千万度の熱が・・・」


「まあ、ゲームなので、そんな威力ありませんけどねぇ」

「でも、周りにも被害が出る禁呪的魔法なんですよぉ〜」


「・・・うっかり使うと、パーティ崩壊するからな。」


「洒落になってませんってーーーー」


熱風は数秒で収まり、香奈の『シールド』も消える。

『コマンダーベータ』は倒れていない。

しかし、そのHPを残り10%にまで減少していた。


「お兄ちゃん!」


「おうっ!」

「これで、終わりにしようぜ?『ライトニング・バースト・ストーム』!!」


大剣で片手剣の様な速度でのラッシュを仕掛ける。

唐竹、袈裟斬り、逆袈裟・・・さまざまな連撃が『コマンダーベータ』のHPを削る。

5%・・・4%・・・3%・・・2%・・・1%・・・

止めとなる直哉の一撃が・・・

・・・寸前で止まる。


「何故、止めをささない?」


覇皇龍斬剣”皇”を首元にピタリと止め・・・


「・・・お前達も、同じ人間だからだ。」


直哉は静かに語る。


「ここは、俺達の世界だ。そして、お前達の故郷でもある。」

「この世界に対する思いは同じ・・・だと思う。」

「ならば、武力による解決ではなく、対話による解決の道もある筈だ。」


「・・・偽善者め。」


「私は、この世界が好きよ。」

「そして、プレイヤー・・・いえ、この世界の住人全てがこの世界が好きだと思う。」

「その世界を戦火の炎で焼く事は、みんな望んではいないよ。」


香織が続くと、


「私、始めたばかりだけど、この世界が大好きになりました。」


「当然私もですよぉ〜」


「うむ」


香奈、花子、華音も其れに続いた。

ついには、『ウインドチャット』で、他の場所にいる面々も次々と思いを語った。


「・・・やはり、揃いも揃って偽善者ばかりのようだな。」


『コマンダーベータ』は、すっと立ち上がると背を向ける。


「・・・全軍。撤退」

「以降、指示のあるまで待機せよ。」

「・・・我らも、お前等も祖先は同じ。」

「そういう未来もあるかも知れんな・・・」


言うと、『コマンダーベータ』は光と共に消えた。


(コングラッチュレーション! 『ベータ大侵略作戦』クリア!)

(『ファンタジースターオンライン』における全てのコンテンツをクリアしました。)


「・・・終わったの?」


「ああ、終わったな。」


「これから、この世界はどうなるんでしょう?」


「それは・・・きっとこの世界の住人が決めることだろう。」

「だが、願わくば、争いの無い平和な世界になって欲しいものだ。」


「・・・そうですね、華音様」


夕焼けの空に、ゆっくりとスタッフロールが流れていた。

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