『黒歴史ノート』 其の十一
『ベータ大侵攻作戦』開始まであと5分。
「総員、配置についたな?」
「我の方はおっけーじゃ。」「『幻影』部隊、配置完了だ。」「『深海』、準備良し。」「・・・・」
「『白狼』、何か言え!!」
「『漆黒』、準備完了だ。」
かつてこの世界で戦った戦友達は、5つ部隊を作り、攻撃ポイントで待機していた。
『神羅』他2人、『幻影』他2人、『深海』他3人、『白狼』他3人。
そして、本隊には、直哉、香織、華音、香奈、花子の5人である。
「って言うか、風属性の魔法・・・案外便利ね。」
「これがあれば、すぐに凍夜兄ぃ(直哉)と合流できたのに・・・」
離れた場所のフレンドと会話する風属性の魔法『ウインドチャット』である。
攻撃重視の火属性、闇属性と違いこういった補助的な魔法も多い。
「ギルマスの必須魔法じゃぞ?」
「兄と”イチャラブ”プレイばかりしておるから・・・」
「し、してないって!!」
「まったく、緊張感がありませんねぇ〜」
「あ、華音様、お茶です。」
「うむ、頂こう。」
「花子さん達も緊張感ないからーーー」
力いっぱい叫ぶ香奈。
その時・・・
『ベータ大侵攻作戦』開始・・・ステージ1・・・スタート。
「皆の健闘を祈る。」
「「「「了解ッ!!」」」」
この『ベータ大侵攻作戦』は、5つのステージに分かれている。
それぞれのステージで侵攻してくる『ベータ』を殲滅させるというものだ。
そして、最終ステージには、各所ボスが出現する。
メインとなる『ベータ本隊』の所には、『ベータ指揮官』が現れ、
それを含む各所全ボスの撃破ができればクリア・・・
・・・と言う事になるらしい。
「『ベータ』確認・・・近接タイプ20です!」
「まずは小手調べって訳か・・・」
「俺と香奈、花子さんは、前衛・・・香織、華音さんアタック宜しく!」
これまで通りのフォーメーションに新たに、花子を加えたものだ。
なお、パーティは4人までなので、直哉、香織組と、華音、香奈、花子の組に分かれている。
「全員のHPが目視が出来ない状況なので、華音様と、香織さんはHPの管理の情報共有をお願いしますね〜」
「言われんでも、分かっておる。」
「彼の者たちの動きを封じよ!『シャドウバインド』」
無数の影が、『ベータ』の動きを封じる。
「燃やし尽くせ紅蓮の業火・・・『クリムゾン』!!」
其処に香織の火属性魔法が炸裂する。
中心程威力の高くなる魔法である『クリムゾン』の外周部分では、
何体かの『ベータ』が残った。
「雷光一線・・・『スラント』!」
「雷槍一線・・・『スライド』!」
大剣と槍。
それぞれ対となるスキル『スラント』と『スライド』
この2つのスキルで、残った『ベータ』も一掃する。
「この、『烈光』の技の冴え・・・見たか!」
伝説級の槍『グングニル』をヒュンヒュンっと回し、ポーズを決める花子。
この動作も『演武』という、槍のスキルで次の攻撃の攻撃力及び効果範囲を上げる。
「花子さんっかっこいいです!!」
「っと、来ますっ近接20に遠距離タイプ10・・・」
ヒュンヒュンヒュン・・・
遠距離タイプ『ベータ』のレーザー攻撃が降り注ぐ。
「通しませんっ!『ゾーンシールド』!!」
が、香奈の盾スキルによって、全て弾かれる。
「必殺の一撃を受けよっ! 『スライド・エンド』!!」
先程の『スライド』をさらに高威力、広範囲にしたスキルが炸裂する。
「やるな!『烈光』!!」
「こちらも行くぞ・・・『ハイ・スラント』!!」
対となる大剣のスキルを発動する直哉。
「なんか、前の方が楽しそうだな。」
「お兄ちゃんの浮気者ーーーーッ『ヴォルケーノ』!!」
巻き起こるマグマの渦が遠距離タイプを焼き尽くす。
「妹よ・・・浮気者って表現に疑問を感じるのだが・・・」
「気にしたら負けっ!」
「ブラコン・・・」「ブラコンだよね?」「ブラコンだな。」
(エマージェンシー・・・エマージェンシー)
機械的な音声と共に、ステージ1のボスが現れる。
「なんだ、『サイクロベータ』じゃない。」
「復活怪人は、雑魚なのよっ『クリムゾン・ノヴァ』」
「うむ、『エクリプス』」
「だよなぁ・・・『ライトニング・エッジ』」
出現するや否や、スキル、魔法を叩き込まれる『サイクロベータ』
(ステージ1・・・クリア。)
(10分のインターバル後、ステージ2を開始します。)
あっさりと、ボスを撃退した。
「・・・ところで、復活怪人ってなんですか?」
一人取り残される香奈だった。




