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『霧島華音』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第3章 『黒歴史ノート』
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『黒歴史ノート』 其の九

「『ゾーンシールド』・・・駄目っ持たない・・・」

「重ねて・・・『アルティメットシールド』!!」


パリィィィィィン



『ゾーンシールド』が音を立てて砕け散る。


シャーーー


次に、重ね掛けしておいた『アルティメットシールド』が光の柱を受ける。


「あちっ」


「皆さん、効果範囲が狭くなるので、なるべく密着してください。」


「密着って・・・」

「お兄ちゃんっ華音さんにくっつきすぎ!」


「しょうがないだろ!!」

「ってか、お兄ちゃんって呼び方が昔に戻ってるぞ!?」


「・・・お兄ちゃん、ロリコン?」


「ロリコンじゃねーよ!!」


「誰がロリか!」


「あーん、こっちは必至なのに〜〜〜」

「ととと、重ね掛け・・・『ハードシールド』」


『アルティメットシールド』も破られ、『ハードシールド』を展開する。

さらに、効果範囲が狭くなる。


「あわわわわ・・・もう持たない『ポイントガード』」

「クールタイム・・・早くっ早く・・・」


「『ハードシールド』・・・もう一回『ポイントガード』!!」


まるで、花びらの様に展開される『シールド』


「よしっ戻った!『アルティメットシールド』」


クールタイムが終わり、再び『アルティメットシールド』が展開される。

一番クールタイムの長い『ゾーンシールド』は、まだ展開できない。


「・・・ちょっと待て。」

「香奈は何故、『シールド』の重ね掛けが出来る?」


「え?割と普通にやってたわよ?」


「近接の事はあまり知らんのだが、レベルが上がれば出来るんじゃないのか?」


「いや、補助系のスキル以外は、重ね掛けなんて出来ない。」


見上げると香奈は、さらに『ゾーンシールド』を展開したところだった。


「綺麗・・・まるで花びらの様ね。」


「花びら・・・まさか・・・」


「どうした?『深闇』」


「・・・香奈のサブ職業だ。」

「香奈のサブ職業・・・『花屋』・・・」

「おそらくアレは・・・」


『花屋』のスキル『フラワーアレンジメント』

『フラワーアレンジメント』とは、花を用いて、良い構成を工夫し、配置・配列・編成する事。

香奈は無意識に、『シールド』を花に見立て、配置・配列・編成をしていたのだ。


ピキ・・・ピキピキ・・・


香奈のシールドでは無い、何かに”ひび”の入るような音がした。


「見て! 『ガーディアンベータ』のバリアに”ひび”が!」


「そうか・・・この光の柱は『ガーディアンベータ』にも有効なんだ。」

「それで、発射前にバリアを展開した・・・つまり・・・」


「「「「耐えきれば、勝ち!!」」」」


「という訳で香奈、あなたの双肩に掛かっているわ。」


「プレッシャー掛けないでーーー」


そして・・・


ピキ・・・ピキピキ・・・パリーーーン


シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ


(温度警告・・・強制冷却・・・)


バリアが砕け散ると同時に、光の柱も消えた。

『ガーディアンベータ』は全身から煙をだし、動かない。


「っはぁ・・はぁ・・・耐えきった・・・」

「み、みなさん・・後はお願いします・・・」


HPの残りわずか、スキルも撃ち尽くした香奈はその場に倒れる。


「ありがとう、香奈。」

「凍夜兄ぃ!!行こうっ!!」


「『オーバーエンド』!!」


「『クリムゾン・ノヴァ』!!」


二人の攻撃が硬直中の『ガーディアンベータ』に直撃する。


(システム・・・エラー・・・エラー・・・エr・・・)


ズゥゥゥゥゥン


『ガーディアンベータ』の巨体は崩れ落ち・・・欠片となって消えた。


(『ベータ最終拠点』の攻略に成功しました。)

(これより、4時間後・・・『ベータ大侵略作戦』が実行されます。)

(イベント概要をご確認ください。)


「ちょ、4時間後!?」

「ほぼ連戦じゃない!!」


「それより、これだ・・・」

「本隊を含めて・・・5か所同時攻撃。」


「一人一ヶ所行っても、人数が足りない・・・」

「あ、いや、私、クリアできる自信・・・ないけど・・・」


「兎に角、時間がない。」

「直ぐにでも町に戻り、準備を整え、作戦を練ろう。」


「おっけ」「はいっ」「うむ。」


「・・・花子、間に合わんか?」



『ベータ大侵略作戦』開始まで、あと4時間。


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