プロローグ
空は黒雲に覆われ、激しい雨が打ち付けていた。
時折閃光が走ったかと思うと、地鳴りのような轟音が耳をさく。
嵐が来ていた。
そんな悪天候の中、雨でぬかるんだ山道を走る四騎の騎影があった。騎手はフードの付いた黒いマントで体をすっぽりと覆った男たちだ。
彼らは足場の悪い山道にもかかわらず、まるで何かに追われるように馬を走らせていた。
彼らの走る山道は、東のバールリンド王国と西のジアン王国、そして、その両国に挟まれたアムランという小さな公国の三国にまたがる山脈にあった。
ジアンを発って既に五日。ようやく彼らはアムランの領土に入っていた。ここからさらに二日も馬を飛ばせば、彼らの母国バールリンドの領土に入る。
彼らは絶望的な状況の中で、どうにかここまで逃げ延びてきたのだ。アムランは中立国であり、ジアンの者たちとて迂闊なことはできないはずだった。
それでも油断はできない。最悪の状況はどうにか脱したが、バールリンドに入るまでは、決して気を抜いてはならないのだ。
四人の男たちがそれぞれに気を引き締めた時、雷とは異なる轟音が響いた。そして、誰かがアッと声を上げたのと同時に、四騎は地滑りに巻き込まれていた。
森の木々をなぎ倒した土砂は、そのまま為す術もない男たちを飲み込んだのだった。
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