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第十三話 乾坤・中編

 一台の車が闇の中を疾走していく。運転席に座る男は口元を真一文字に引き締め、ただならぬ眼光を飛ばしていた。ヘッドライトをつけなくとも、彼の目は確実に闇の中の情報を察知している。フレイソードだ。fs-04のナンバーをもつ、フレイシリーズの一人である。

 その彼が、新堂にも告げずに車を飛ばしている。最終目的地、自分を生み出した施設の本拠地へと戻っていた。

 彼は怒っている。これまでにないほど、強い怒りに縛られていた。

 仲間が死んでいったことがその原因である。だが、この動機の全てがそれであるとは言い難い。死んだ仲間に鞭打つような真似をした者が、敵の中にいたことがその動機の大半であるといえた。

 自分で、自分が冷静さを失っていることはわかっている。しかしそんなことはどうでもいい。どうでもよかった。ただこの怒りをぶつけられる相手を探しているだけである。

 フレイソードの車は、すぐに目的地に到着した。闇の中だが、以前にやってきたところと全く同じ場所。敵の本拠に最も近い最寄り駅に着いた。車を路上駐車し、彼はエンジンキーを刺しっぱなしにしたまま車を降りた。キーは閉じこんでしまったことになる。しかし、彼は戻るつもりがなかった。車はもう使わない。

 腰に下げた片刃の剣を確かめて、彼は敵の本拠へ向けて歩みを進めていった。

 背丈の高い草木に囲まれた道を歩んでいく。それが途切れた頃に、目の前に山道が広がる。

 そこには、小屋があったはずだ。中に入ったことはある。そこに何があるのか、自分は知っている。思い出すたびに怒りが湧きあがるだろう。彼はしばらく小屋を外から睨んでいたが、その彼に気付く者があった。

 フレイスピアほどではないが、敵の気配には敏感なフレイソードは、すぐにそれを察知。振り返った。

 闇の中に、懐中電灯を持って立っている姿が目についた。敵はすぐに、こちらに懐中電灯を向けてくる。咄嗟に手をかざして眩しさから目を守ったが、敵の姿は見えない。

 しかし、フレイソードには敵が何名か、というところまで見えていた。すぐさま彼は飛び上がり、腰から剣を抜いた。

 敵との距離は三メートルほど離れていたが、彼にとっては一足一刀の距離だといえる。一秒もかかるものか。

 突進した彼は、見張りらしきその敵を一撃で刺し貫く。腹部中央を差した剣は敵の大動脈を切断した。ほんの数秒で敵は完全に失血死に至る。

 フレイソードが懐中電灯を踏み潰すと、周囲は再び闇に落ちる。

 敵は銃を持った、ただの兵士であった。フレイ・リベンジではない。闇の中でフレイソードを探り当てたところを見るとかなり優れた兵士だったらしいが、それが仇となった。気付かなければ、殺すこともなかったのにとフレイソードは彼の体から剣を抜きながら思う。

 死体を小屋の中に押し込み、できるだけ小屋の中を見ないようにしながらすぐに外に出た。

 すぐに周囲に気を配り、人の気配を探る。見張りはどうやら、これ以上は存在しないらしい。しかし、殺してしまった以上はすぐに何者かがここにやってきたことはばれてしまうだろう。その前に、目的を達成しなければならない。

 その目的はただ一人、fr-02ソードバイスを殺すこと。

 フレイソードは、彼にただならぬ怒りを覚えていた。こうすることは、決めていた。あの小屋の中を見てしまった瞬間からだ。本来なら、すぐさま行動にうつりたかったのだがフレイアックスが必死に引き止めた。彼の説得でなんとか即行動は思いとどまったが、そのフレイアックスも彼らに殺されてしまった。

 フレイアックスの死にソードバイスは関係ないのだが、そのようなことは些事に過ぎない。今は、自分の怒りの矛先を向けるべきものがあるというだけで十分だ。

 そうしなければならないという義務感はない。

 フレイソードは剣を握り締めた。彼が頼るものはこの剣一本だけだ。彼の目には、既に窓の光る建物が見えていた。

 そこへ歩んでいくだけである。建物の中に目的の男がいることは間違いないのだ。

 どんなに卑怯な手段でも構わない、と彼は考えていない。あくまでも正面から挑んで、打ち倒すつもりなのだ。そのために彼を探している。

 建物までは何事もなくたどり着いた。そこは地上二階建ての建物で、入り口も特に警備されていない。よほどこの場所の秘匿性に自信があるらしいが、その秘密もいまや筒抜けになっている。少なくとも自分たちには。

 正面玄関らしきところに入る。警報でも鳴るだろうかと思ったが、意外にも平穏なものだ。



 建物の中には、当然ながらフレイ・リベンジがいた。fr-05フレイマーを加えて、四人もいる。

 フレイソードが建物に近づいてきたとき、二階のテラスにはアックスツヴァイがいた。彼女は友人が苦手だったコーヒーを飲みながら、黒くなったストールを眺めている。

 このストールは元々は白いものだったはずだ。それが血に濡れて黒く見えてしまっている。アックスツヴァイはこれを水で洗って絞ったが、どうあっても黒いままだった。落ちようはずもない。持ち主の命がかえらないのと同じように、ストールは白くならないのだ。

 アックスツヴァイにとって最も親しい友人だったのは、間違いなくスピアエルダーだった。何も用事がないときは常に一緒にいた。同じ境遇、気の合う仲間。それを失って、悲しくないはずはない。

 しかし、結局アックスツヴァイは涙を流すことはなかった。悲しくないなどということはないし、戦士の誇りから無理やりに我慢したわけでもない。実際のところ自分でも不思議ながら、彼女はついに泣くことができなかった。思ったより自分は薄情な人間だったのかもしれないと自嘲気味に思いながら、苦いコーヒーをすする。

 すっかりコーヒーがなくなってしまうと、手に持っていたストールを縦に引き裂いた。細長い二つの布となったその片方を、額に巻きつける。まだ少し水に濡れて冷たいストールが、アックスツヴァイの頭をわずかに冷やした。

 もう片方の布地は、自分の武器に巻きつけた。脇においていたツーハンドアックスを持ち出して、その柄にぐるぐる巻きにしてしまう。少々不恰好にはなるが、これでスピアエルダーのことは忘れない。

 コーヒーのカップを片付けようと、彼女は立ち上がる。

 だがそのとき、外にある気配に気付いた。何者かがこの施設に向かってやってくる気配。

 あれは誰だ、わからない。しかし、ここを知っているのは自分たち施設側の人間でなければ新堂たちとしか考えられない。彼らが、早くも仕掛けてきたというのだろうか。

 それはよくない。新堂やフレイサイズの実力は認めるが、それでも恐らくまだサイズウルフと対等に戦うのが精一杯のはずだ。そこにフレイマーが加わった今、新堂たちの敗北は決定的なものだといえる。

 止めなくては、と思った。フレイ・リベンジであるはずの自分がなぜそのようなことを思うのか、などとは考えない。知らないうちにコーヒーカップを放り出し、武器を掴んでいた。

 テラスから飛び降りて、地面に着地する。やってきた気配を追って、その後を追う。

 侵入者は真正面、本当に正面玄関から建物に入ろうとしているようだ。そのような無謀なことを、と思わずにいられなかった。


「そんなところで何をしているんだい、あんたは」


 侵入者の背後から、そう声をかける。ここで、ようやくアックスツヴァイは侵入者の正体を知った。fs-04フレイソードだ。



 振り返る前から、背後に誰かが近づいているのはわかっていた。フレイソードはゆっくり振り返る。


「私の邪魔をするつもりですか、あなたも」


 血走った目でにらみ返されて、アックスツヴァイはぴくりと片眉を上げた。このような凄まじい眼光を放つような男だっただろうかと思う。どちらかといえば惰弱そうな、そうでないにしてもあまり積極的に行動を起こすような感じには見えなかった。フレイスピア、フレイアックスを殺されたことがそれほどこの男を変えたのだろうかと思う。

 いや、と彼女は考えを変える。フレイソードはあの小屋の中を見たのだ。そのためにこれほど怒っているのだろう、と考えられた。


「それとも、フレイスピアをあのような姿にしたのはあなたなのですか」


 そう思っているとあちらからその推理を確信に変えるようなセリフを吐かれる。やはりそうか、と納得しながらアックスツヴァイは片手を振った。


「違う。あんたは誰がやったのか想像がついているんだろうに。いちいち訊かないでもらいたいね」

「ソードバイスですね。あれをやったのは。そうでしょう」

「身内の恥はあまり言いたくないって、あのとき言ったじゃないか。それより何しに来たんだい、こんな時間に」


 アックスツヴァイはそう訊ねたが、フレイソードの睨みは続けられ、彼は何も言わない。しかしその態度から考えても、ソードバイスを狙ってやってきたことに間違いはないだろう。

 ひとまず、ここにはいないと言ってお引取り願った方がいいだろう。そう考え、アックスツヴァイは虚言を吐こうとした。


「ソードバイスなら」


 しかし、その一瞬でフレイソードはアックスツヴァイに切りかかった。不意を突かれた形になったアックスツヴァイだが、そこはさすがにフレイ・リベンジ、すぐさま背後に下がってフレイソードの攻撃を避ける。

 追撃をかける。フレイソードはアックスツヴァイがソードバイスを護ろうとしたことを見抜いていた。彼を庇うなら、アックスツヴァイも同罪だ。この場で切り伏せてやろうと思ったのである。

 しかしアックスツヴァイもただ黙ってやられてしまうわけにはいかなかった。施設の中から誰かが見ているという可能性も考えられる。加えて、フレイマーがいる。多分フレイスピアやスピアエルダーなみの索敵能力をもっているに違いない。

 その手前、戦わないわけにはいかなかった。

 フレイソードの振り回す剣をかいくぐって、アックスツヴァイは山道に降りた。持っていたツーハンドアックスを構えて盾のように剣を防ぐ。しかし、フレイソードはしつこくアックスツヴァイを追い込み、剣を振り回す。彼は超接近戦を手数で挑む。

 ツーハンドアックスの一撃は重いが、容易く振り回すことはできない。アックスツヴァイは舌打ちをしながらも防戦一方になってしまう。こうも手数で攻められてしまうと、電撃を練り上げる暇もない。

 しかし焦っているのはフレイソードも同じだ。剣はそれほど頑丈なものではない。このように斧に打ち付けるような使い方をしていてはすぐに刃こぼれするだろうし、最悪、折れてしまうだろう。そうならないためには、無闇に剣を振らず、相手の防御の隙をついていかねばならない。だが、手数で押さなければ相手は電撃を使える。電気を溜める時間を与えてしまっては、終わりだ。

 そのような両者の思考の末に、先に打開策を打ってきたのはアックスツヴァイであった。防御のために斧を構えた瞬間、足を振り上げて敵の腹部を強く蹴り上げたのだ。

 この打開策は成功した。フレイソードは剣を振り上げたところであったため、まともに蹴りを食らった。自分から後ろに飛んで威力を殺そうとしたが、あまり成功していないようだ。いずれにせよ、距離が開いた。

 不利な状況を打開した上、自分に優位な状況を形成したことになる。アックスツヴァイは片目を閉じて右手に電撃を溜め込んだ。帯電し、わずかな放電が起こる。なんとか動き出そうともがいているフレイソードを一撃で仕留められるほど、強く電気を溜める。

 しかし、フレイソードは予想外に早く起き上がって、そのまま一直線に突進をかけてきた。腰だめに剣を構えて、馬鹿正直な攻撃をかけてきたのである。ほんのわずかな間だけアックスツヴァイは呆気にとられたが、すぐさま向かってくる敵に対し、電撃を放射した。即座に電撃はフレイソードに命中した。直撃だといえる。一瞬の稲光が直撃し、空気との摩擦音が鳴り響いた。

 しかし、彼は意にも介さずにそのまま直進してきた。アックスツヴァイは今度こそ驚愕する。普通なら神経が焼かれて立っていられないはずだ。しかし目の前に白刃がせまっているのは間違いのない事実。かわさなければならない。身を開いて白刃をよけるが、紙一重だった。白衣の袖が切り裂かれる。

 直後にフレイソードは急ブレーキをかけながら剣をターンさせる。これは斧を引き戻して防ぐことが可能だ。がつんと響く衝撃を耐えるが、直後に斧に向けて蹴りを放たれる。押し込むような力が働き、アックスツヴァイは足を踏ん張らざるを得ない。しかし、同時に電撃を練る。

 斧を残して、アックスツヴァイは自分だけ背後に下がった。距離をとって、再び電撃を打ち込む構えである。

 残された斧がその場に倒れると、フレイソードはすぐにアックスツヴァイへ向けて突進をかけた。同じパターンだが、全く迷いのない正直な攻撃だといえる。だが、物陰に隠れるわけでもないその攻撃は、アックスツヴァイから見れば的でしかない。

 突っ込んでくる彼に、先ほどよりも強力な電流を打ち込もうとしたが、放つ寸前に電気がかき消された。まるで静電気を逃がすように、横から霧散させられてしまったのである。

 誰がこのようなことをしたのか、とアックスツヴァイは振り返る。そこに立っていたのは、背丈の低い少年だった。レザーコートを着込んでいる。


「フレイマー!」

「すまないね」


 フレイマーは全く悪びれずにそう言ってのけ、邪気のない笑みを浮かべた。

 彼がどういう意図でそうした行動をしたのかわからないが、アックスツヴァイは今徒手空拳だ。加えて電撃を練り直す時間はない。フレイソードは目の前に迫っている。


「君もフレイ・リベンジなら、彼くらい素手で撃退できるだろう。ちょっとその力を見せてもらいたいな」


 フレイソードの攻撃に備える彼女に、フレイマーの声が届く。袈裟懸けにする一撃を、フレイソードは見舞うつもりらしい。もう剣を振り上げている。アックスツヴァイは舌打ちをして、剣の動きを読む。

 次の一瞬、フレイソードの剣とアックスツヴァイの蹴りがぶつかりあった。

 瞬間的な判断で繰り出したアックスツヴァイの蹴りは、フレイソードの右手首の辺りに食い込んでいた。これにより彼の持つ剣はそれ以上、下がらない。

 状況を把握するや、すぐさまフレイソードは次の一撃を繰り出した。一気に心臓を刺し貫く、刺突だ。

 しかしその攻撃でもアックスツヴァイはとらえられなかった。彼女も機敏に動き、フレイソードに攻撃を決めさせない。

 その傍らに立っているフレイマーは、なぜかこの状況を見ても動かなかった。最初にアックスツヴァイの邪魔をしてから、一貫して傍観者になりつづけている。


「ちょっとあんた、どういうつもりなんだい」


 と文句の一言も言ってやりたいが、その余裕がない。

 しかし、すぐに彼の目的は明らかになった。そこに頭を掻きながらやってきた者があったのだ。その者こそ、フレイソードの目的の人物、ソードバイスだった。


「なんです、俺の力が必要だって言うから来てみたら。フレイソードが一人だけとはね」


 彼はいつものとおり、軽い口調でそんなことを言った。

 ソードバイスの登場に気付いたフレイソードは、アックスツヴァイを追い立てる手を止めた。同時に、アックスツヴァイも味方がやってきたことに気がつく。


「ソードバイス」


 やってきた彼は、ポケットに手を入れてつまらなそうにしていた。


「こんなところに、一人だけで御用だとは思えませんがね。陽動じゃないんですか、センセイ」

「陽動じゃない。近くには他に誰もいないんだよ。思うに、彼の単独行動だね。狙いは、ずばり言って君の、ソードバイスの命だと思う」


 フレイマーはそう言って、ソードバイスの顔を見上げた。見上げられたソードバイスはふんふんと勝手に納得したような顔をして、腰から剣を抜いた。両刃で幅広のもので、ブロードソードと呼ばれるもののようだ。


「姐さん、どいていてください。そいつの狙いは俺なんでしょう」


 剣を構えて、ソードバイスはフレイソードを睨んだ。


「フレイソード」


 思わず、アックスツヴァイがフレイソードを心配した。二人の実力の差は歴然としている。加えて、横にいるフレイマーは桁違いの実力者だ。

 しかし、この状況はフレイソードにとっては願ってもない。これこそ望んだ状況だった。一対一で、ソードバイスとの対決ができるのであれば、何も問題はない。あとは彼を始末するだけだ。

 剣を構えなおし、ソードバイスを睨み返す。こいつこそ許せない、最も殺すべき敵だ。

 フレイソードはソードバイスを倒した後のことを何も考えていない。この戦いだけに、全力を注いで構わないと考えていた。その気迫は、もはや誰が何を言っても曲げられそうにない。


「好きにしなさい。私は、手を出さないから。あんたがやられかかってもね。それでいいんでしょう」


 アックスツヴァイは降参するように両手を上げてそう言った。ソードバイスはすぐに頷く。


「そう、それでいいんです。決して手を出さないで下さい」

「フレイマー、あなたもそうするつもりでしょう」


 二人の傍から撤退しながら、フレイマーにも訊ねた。彼は微笑みながら頷く。


「そのつもりだよ。どっちが勝っても、楽しいことになりそうだ」

「じゃあ、私は腰を下ろしてゆっくり見物させてもらいましょうか」


 アックスツヴァイはフレイマーの隣に腰を下ろした。片膝を立てる行儀の悪い座り方だが、そのようなことに注意をする者はここにいなかった。

 フレイマーも彼女に倣って腰を下ろす。両膝を立てた三角座りで、微笑を絶やさないままで決闘する二人を見つめている。

 剣を構えたまま睨みあうフレイソードとソードバイスは、やや距離が離れている。踏み込んで切りつけたとしても、届かない。そのためにお互いに間合いを詰めようとしている。

 フレイソードの方が、慎重に間合いを探っている。彼は怒りに燃えてはいたが、実力の差は無論承知していた。その壁をのりこえて彼を倒すために、神経を研ぎ澄ませている。正面から彼を斬り殺さねばならないと心から思っているのだ。

 一方ソードバイスも相手が自分より実力に劣る相手だと知っている。力に差があることは承知の上だが、彼はそのためにやや力を抜いていた。全力を出すこともないだろうと思っている。追い込まれた人間が、普段以上の力を出すこともあるということを、彼は忘れていたのかもしれない。


「窮鼠猫を噛む、というとおりになるかもしれないね」


 フレイマーは両者を分析して、そのようにのんきな感想をもらした。それに対して、隣で座っているアックスツヴァイが怪訝な表情を浮かべる。


「いいのかい、味方が倒れるかもしれないなんて言っちゃって」

「構わないじゃないか。だって、油断して倒れるような奴なら、最初からいらないしね」


 相変わらず邪気の見えない笑みを浮かべて、彼はそう言った。

 あどけない姿とは裏腹に、かなり腹黒い。アックスツヴァイはフレイマーに出会って数時間足らずでそのような感想を抱かざるを得なかった。

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