表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/46

第十二話 自害・前編

 スピアエルダーは血に染まっていた。槍を振り、足を開いてするりと構える。どうやらフレイサイズの登場を見て、悠長に刃を下げてはいられなくなったのだろう。しかし、敵意は発散していても、すぐに襲い掛かってくるつもりではないらしい。

 恐らく今なら、彼女を倒せる。

 新堂はそう判断した。自分とフレイサイズならスピアエルダーを圧倒できる。恐らく勝利可能だ。


「なぜ警察官を殺している」


 すぐに襲い掛かることを選択せず、新堂はそう訊ねた。槍を左手に持ち替えて、自分の左手首に仕込まれた短剣に手をやりながらである。

 スピアエルダーは一歩足を引いて、ゆっくりとこたえた。


「上からの命令で、仕方がありません」

「命令か。お前は命令なら何でも従うのか」


 新堂は思わずそう問うてしまったが、この質問は全く無意味だった。新堂自身も予想したとおりの答えが返ってくるだけであったからだ。


「そのとおりです」


 舌打ちをして、新堂はフレイサイズに目をやった。スピアエルダーはここで足止めをしていられるが、ここを襲撃しているフレイ・リベンジはもう一人いる。サイズウルフが今もまだ、殺人を続けているかもしれなかった。

 フレイサイズを行かせるべきか、否か。

 問題はフレイサイズとサイズウルフの実力である。今までのところ、フレイサイズはサイズウルフに押し負けている。時間を稼ぐことは出来ても、勝利するには至らない。

 彼女を完全におさえようと思うのならば、自分も加勢しなければならないだろう。そのためには、今目の前にいるスピアエルダーが邪魔だ。有無をも言わさず、二人で飛び掛って彼女を無力化し、そのあとでサイズウルフを探せばよい。


「フレイダガー、やるつもりですか」


 スピアエルダーはフレイサイズと新堂を交互に睨んだ。


「当然だ。警察組織は俺たちにとって必要だからな。これ以上破壊されるわけにはいかない」


 冷静に新堂はそうこたえて、彼女に槍を向ける。

 スピアエルダーは新堂たちが何をしようとしているか察している。無論のこと、彼らの思惑通りになるわけにはいかない。この場を脱出してサイズウルフと合流する必要があった。

 新堂たちはすぐにでも飛び掛ってくるだろう。スピアエルダーは慎重に構えを解いて、ポケットの中に手を入れた。同時に、時間を稼ぐために話しかける。


「フレイダガー、あなたは警察を頼るというのですか。私たちとぶつかれば、このように多数の死者が出ると知っていながら、彼らを頼るというのですか」


 だが、その質問が時間稼ぎにすぎないことを見抜いた新堂は即座に飛びかかった。フレイスピアの槍を振り、一挙に突きかかる。スピアエルダーはその一撃をなんとか回避したものの、わずかな間もおかずに、フレイサイズも飛び込んできているのが目に入った。これは回避できるのかどうか、非常にあやしいものがある。

 フレイサイズは一足飛びに、鎌を振り下ろしていた。この一撃は、新堂の攻撃を回避する敵の動きを予測したものである。普通ならば全く避けようのない攻撃だった。しかし、スピアエルダーとて、普通ではない。

 振り下ろされる鎌の一撃に、槍を振り上げた。二つの武器は激しくかち合い、それぞれの運動エネルギーを殺しあう。つまり、フレイサイズの一撃は受け止められた。

 フレイサイズは、今の一撃が止められるとは思っていなかった。だが驚きに心を奪われず、すぐに鎌を引いてもう一度攻撃を繰り出した。

 フレイサイズの二撃目は一撃目の攻撃ほど洗練されてはいない。スピアエルダーは背後に下がってその攻撃をかわした。

 しかし、ここに繰り出された新堂の追撃が命中する。

 振り上げるような槍での攻撃が敵の右腕を切り裂いた。傷は浅くない。スピアエルダーの二の腕から鮮血が飛ぶ。

 だが、スピアエルダーは意にも介さずに槍を持ち直した。確実に追い詰められてはいるのだが、決して諦めてはいない。なんとしても、サイズウルフがやってくるまで持ちこたえようという気概で足を踏ん張る。

 踏ん張った足が、何かに触れた。横目で確認すると、壁だ。背後は、壁。

 どうやら、追い込まれたらしい。前にいる新堂、フレイサイズの二人はまともにぶつかって勝てる相手でもない。


「投降しろ、スピアエルダー。でなければお前を殺さなければならない」


 新堂はそう言って槍を突き出した。殺人者ではあるが落ち着いた雰囲気をもち、丁寧な言葉遣いをするこのスピアエルダーを殺してしまうことは避けたかったのである。


「私を殺すことを、なぜ恐れるのですか」


 動けなくなったスピアエルダーが、問いかける。こうまで完全に追い込みながら、その槍を突かない理由。それが彼女にはわからないらしい。fr-03スピアエルダーはフレイスピアを手にかけた存在である。仲間のカタキなのだ。憎みこそすれ、命を惜しむ理由など見当たらない。

 しかし、新堂は槍を下ろした。


「助けても、無駄ですよ。私はフレイ・リベンジですから」

「そんなことはわかっている」


 下ろした槍を滑らせて、新堂はスピアエルダーの右足を裂いた。ぶちりと音が聞こえる。

 彼は、敵のアキレス腱を切断したのだった。

 スピアエルダーは槍を立てて、杖とする。そうすることで倒れることを避けた。しかし、これは無駄といえる。新堂は左のアキレス腱も切るだろう。さすがに両脚を封じられては、立っていられない。

 しかし覚悟を決めた一瞬、ついに願いは通じた。


「いらっしゃい、というべきか」


 部屋の扉が開いて、サイズウルフが入ってきたのだ。

 彼女は身体のあちこちに返り血を浴びていたが、無傷だった。いつもの作業服に、ジャケットを着込んだ姿である。武器である鎌もその手に握り、一仕事してきたという姿である。

 新堂はすぐに振り返り、槍をサイズウルフに向けた。同時に飛び掛っていく。


「なんだそれは」


 サイズウルフは鎌を振るって新堂の攻撃をさばいた。かなり余裕をもっている。

 反撃に武器を振り回す。新堂の腰の辺りを掻っ捌く一撃だ。さすがにこれを食らうことはできない。槍を戻して鎌を防ごうとするものの、余裕はない。はね飛ばされないように、足で槍を押さえ込む必要さえあった。

 やはり、サイズウルフを相手にしてこの槍だけで何とかしようなどと、思わない方がよさそうだ。新堂は一度バックステップをふんで距離を置こうとする。同時に左手から短剣を引き抜いた。

 背に腹は変えられない。

 身体強化ユニットが新堂の血管を流れ出す。

 フレイサイズもサイズウルフがやってきた瞬間、素早く鎌を振るっていた。スピアエルダーの左足を切断するためである。彼女を完全に無力化しておかなければ、サイズウルフに二人でかかることはできない。

 しかしスピアエルダーもそれは知っている。ここで自分が完全に両脚を封じられれば、サイズウルフに負担がかかる。それを防がなければならない。さすがのサイズウルフも、フレイダガーとフレイサイズの二人にかかられてはまずい。杖にしていた槍を振って、フレイサイズの攻撃をかわそうと身をよじる。ほとんど倒れこむような格好になりながら、鎌の一撃を防御する。

 槍が鎌を弾いた。

 スピアエルダーの左足は、なんとか護られた。とはいえ、彼女自身は床に倒れこみ、まさにまな板の上の鯉である。

 わずかの躊躇もなく、フレイサイズは鎌を振り上げて、スピアエルダーの身体に振り下ろそうとした。そうしなければ、新堂が一人でサイズウルフの相手をし続けなければならなくなるからだ。



 瞬間、サイズウルフが飛んだ。

 バックステップを踏んだ新堂にも構わず、一気に跳躍してスピアエルダーの元へ飛び込んでいた。

 彼女を殺そうとしているフレイサイズを真っ二つにする鎌の一撃と共に吹っ飛ぶような速度で襲い掛かる。これに気付いたフレイサイズは、振り上げた鎌を防御にまわさざるを得なくなった。そうしなければスピアエルダーを殺すことはできても、自分が死んでしまう。

 鎌と鎌がかち合い、両者を弾いた。

 次の一瞬でサイズウルフが足を振り上げた。目の前の、邪魔な猫を突き飛ばすための前蹴りだ。敵の鎌の動きに注意を払っていたフレイサイズはこれに反応できず、腹部に受けてしまう。

 六十キロあるはずの大きな猫は、簡単に宙に浮いた。こうなれば踏ん張りも効かず、彼女は背後に吹っ飛ばされる。

 それを見届けもせずにサイズウルフは倒れているスピアエルダーを乱暴に抱きかかえた。そしてすぐに、その部屋から飛び出して行く。

 逃げるつもりか、と新堂は思った。ここでの用は全て終ったので退却をしようというのだろうか。

 追うべきか。いや、どうせ追いつけまい。サイズウルフの全力疾走に追いつこうなどと、無茶もいいところだ。新堂はサイズウルフの一撃で吹き飛ばされたフレイサイズを見やった。いくつかの長机を巻き込んで倒れてしまっているが、それくらいでまいってしまうほど柔弱ではないはずだ。とりあえず、身体の上に崩れ落ちている机をどかして、立たせてやった。


「大丈夫か?」


 一応そう問いかけてみる。フレイサイズは右の耳をぴくぴくと動かし、自分の腹部を何度かさすってから、顔を上げた。いつもの通り、まるで着ぐるみのような無表情。そのままでコクリと頷く。


「よし、ならちょっとこの建物の中を探ってみるか。まだ生きている人がいるかもしれない」

 猫を連れて、新堂は部屋を出た。通路は幅がそれほど広くはない。三人が横に並べば手狭になるほどの広さしかない。通路での戦闘は、やりにくくなることだろう。だがそれはフレイ・リベンジとしても同じはずだ。

 灯りはついている。武器を構えたまま、二人は通路を歩いていく。ざっと見渡しただけで、通路にも三人ほど倒れていた。いずれも血だまりの中に沈み、ぴくりとも動いていない。銃を手に持っている者もあった。

 まずは会議室の隣の部屋から調べることにした。


「誰かいるかな」


 新堂はドアノブに手をかけて、開こうとした。しかし、カギがかかっているらしく開かない。

 どうやら重要な書類や備品などを保管する倉庫であるらしい。新堂はまだ左手から短剣を抜いたままだ。ノブを握る手に力をこめて無理やりに回す。すると中でべきべきと金属が変形、破損する音が聞こえてきた。力で無理やりこじ開けるというのは賢くないやり方だが、他に方法はない。

 次いで、ドアを蹴りつける。金属製のドアだったが、大きな反響音を残して勢いよく開いた。

 中の灯りは消えている。入り口付近にスイッチはあるはずだ。新堂は手探りでスイッチを入れた。

 パチリと軽い音とともに、天井に備えられた蛍光灯が光る。金属製の整理棚がいくつか置かれていて、書類が入っているらしい段ボールがあちこちに積まれていた。人影はない。

 無駄足だったようだ。新堂はドアを閉じようとした。しかし、その手をフレイサイズがさえぎる。

 閉じようとするドアを、フレイサイズが押し開けている。どういうつもりなのかと彼女を見ると、猫はすっと手を伸ばして一点を指差した。

 思わずそちらに目をやると、段ボール箱があった。やけに大きなものであった。


「あれか。何かにおうのか」


 新堂の問いにフレイサイズが頷く。そこで新堂は中に入って、くだんの段ボール箱を軽く叩いた。非常に軽い音がする。少なくとも中は空洞らしい。

 フレイ・リベンジが開けると爆発するというようなトラップを仕掛けた可能性もあるが、いちいちドアにカギをかけるということはないだろう。フレイサイズがこれを指差したことも新堂の推論を後押しする。


「中に誰かいるのかな。俺たちは警官じゃないが、敵でもない。何か知っていることがあれば教えて欲しい。あの二人組みはいつ頃やってきたんだ」


 倉庫のドアを閉めて、新堂は段ボール箱に話しかけた。しかし、段ボール箱はわずかにふるえただけで、返答はなかった。

 誰かが中にいるのは確実だが、新堂の問いに返答ができないでいるらしい。仕方がないので新堂は段ボール箱をつかんで持ち上げた。

 段ボール箱がびくりと震えて、小さな悲鳴が聞こえた。

 警察官にしては随分肝が小さいものだと思ったが、この状況では仕方がないとも思える。新堂はさっさと段ボールをはぎとってやった。中から現れたのは制服を着たままの若い男だった。


「公僕がこんなところに隠れててどうするんだ」


 新堂のその言葉にも、男はまるで反応しなかった。驚きと恐怖の目で、ただ新堂とフレイサイズを見つめるだけだ。どうやらかなり精神的に追い詰められているらしい。

 どうしようもなかった。仕方がないので新堂は彼をそのままそこにおいておくことにした。助けてやりたいのはやまやまだが、あれを連れて歩くのは至難の業だ。それに、サイズウルフたちはもうここを離れたかもしれないのだ。ため息をついて、首を振る。

 倉庫を出て、その隣はエレベーターだ。エレベーターは開きっぱなしで、死体がその隙間に倒れこんでいるせいで扉は閉じられなくなっている。新堂は制服をきっちりと着込んでいるその男の死体を廊下へと退避させてやった。ドアは閉じ、静寂が戻る。

 さらにエレベーターの隣は、どうやらトイレらしい。後ろをちらりと警戒してから、新堂はトイレに入る。男子トイレから探ったが、ここには誰もいない。

 男子トイレを出て、女子トイレに入ろうとする。すると、後ろからフレイサイズが服を引っ張ってくる。何か新しい発見があったのかと思ったが、その猫はトイレの入り口に描かれた、女子専用を意味する赤いマークを指差していた。新堂がここに入ることを咎めているらしい。


「今そんなこと言っている場合か」


 小声で新堂はそう言って、軽くフレイサイズを小突いた。

 ともかく、二人は女子トイレにも人がいないかどうか探ったのである。

 一番手前の個室の扉が閉まっている。そこをノックしてみる。返事はない。


「すまない、俺たちは敵じゃない。話を聞かせてもらえないか」


 そこで、できるだけ優しい声で呼びかけてみる。


「誰です」


 しばらく後、かなり小さな声で返事があった。その声は、少なくともフレイ・リベンジたちのものではない。新堂は遠慮なく質問をぶつけた。


「悪いが警官じゃない。ここにやってきた二人組みとちょっと縁のある人間だ。彼女達を追っているんだ。教えてくれ、あいつらはいつ頃ここにやってきたんだ」

「騒ぎが起こったのは、ちょっと前です。二十分か三十分くらい前だと思います。拳銃でも太刀打ちできなくて、ここへ逃げ込んでしまいました」


 震えるような声でそう言ってくる。

 フレイ・リベンジたちがやってきたのが三十分前だとしても、驚異的なことだった。たった三十分で警察署の中の人間をあらかた殺してしまったのである。


「そうか、ありがとう。どこかに連絡は?」

「隣の警察署へ緊急連絡をしました。まだ通話は切っていません」


 新堂はぎくりと身を震わせた。自分たちがここにいるということが、もう隠しようのないことになってしまったからである。何人かの人間に出会っただけなら、その人間の戯言で片付けられる可能性もあるが、通話の切られていない電話があるなどと、予想外もいいところだった。

 しかしこうなれば仕方がない。後悔などしている暇はなかった。とにかく、腹を決めていかねばならないようだ。

 そう思った瞬間、外から何かけたたましい音が聞こえてきた。

 サイレンだ。赤い回転灯の光も窓から見えた。

 これはどう考えても、パトカー。それも、一台や二台ではない。


「どうやら助けがきたようだな。もうドアを開けてもいいんじゃないか。それとも用を足しているのか」


 これはもしかするとまずい事態になっているのではないかと新堂は考えながら、それでも軽い冗談をとばしてみせた。


「い、いえ。開けます」


 トイレのドアが開いた。中にいたのは若い婦警であった。髪の短い、やや釣り目気味の顔立ちだ。精神的な疲労のためか顔が少し青ざめているが、おおよそ外傷もなく、元気である。

 彼女は新堂が着ている作業服を見て、ハッとした。


「ニューフレイ製薬の関係者の方ですか」


 さすがに警察関係者だけあって、例の事件のこともよく調べているらしい。普通は作業服だけで会社関係者だとはわからない。なんと言い訳したものかと、新堂が言葉を濁そうとしたが瞬間、彼女はフレイサイズの姿を直視してしまっていた。今のフレイサイズはフードもかぶっておらず、猫の耳も顔に入り込んだタビーもまるで隠していない。


「あっ」


 新堂はそのときになってやっとのその事実に気付いたが、すでに遅かった。自分が見慣れていたのですっかり忘れてしまっていたのである。

 婦警は、完全に顔をひきつらせている。失神寸前といたところである。


「大丈夫だ、こいつは完全に人畜無害。話すことこそできないが、こちらの言葉は理解してくれている」


 新堂はそう言いながらフレイサイズの頭を撫でてやる。猫はゆっくりと瞬きをして、それから頷いた。


「そしてあいつらに対抗できる存在でもある。とにかく、信用してくれていい。無関係の人間に襲い掛かったりすることはない」

「はあ」


 とはいえサイズウルフの姿を見ているからだろう、その若い婦警は、釈然としない様子だった。

 ある程度仕方がない、これ以上何か言っても無駄だろうと新堂は判断する。


「それと、俺はニューフレイ製薬とは何の関係もない。奴らの人体実験の材料にされていただけだ。こっちの猫もな。そうびくびくしないでいい。こっちの倉庫に警官が一人隠れていたから、彼と合流してくれ」


 新堂はそう言って、先ほどの倉庫を指差した。そうしておいて、一度女子トイレから出る。外にフレイ・リベンジの気配はなかった。婦警は恐る恐るといった調子でトイレから出てきた。やがて彼女はあちこちに広がっている血痕と、倒れている死体に怯えながらも倉庫に向かって歩いていく。

 サイレンは近づいてきて、止まった。しかし、次々と新たなサイレンが近づいてきている。かなりの数のパトカーがやってきているようだ。

 この警察署という建物を完全に包囲するように、次々とパトカーはやってきている。

 すっかり、包囲陣ができつつあるようだ。フレイ・リベンジは既に脱出して、警察署から出て行ってしまっただろうか。もし、そうでないとしたら派手なことになりそうだ。

 いくらサイズウルフとはいえ、この囲みはそう簡単に脱出できるものではない。助走して一気にジャンプして、包囲陣の頭上を通り過ぎてさようなら、というわけにもいくまい。そう都合よくいってたまるものか。新堂は鳴り止まないサイレンの中で、考えをめぐらせる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ