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貴方の隣  作者: 夕月綾乃
9/12

第9話⇔すれ違う思い。

頭が真っ白…。


私達…キスした。


帰りの車でも、何も話せず無言。


でも…このまま理由も聞かずに帰るのはイヤだし。


そう考えてたら家の前…。


『凌。』 『亜美。』


二人の声が重なる。


『亜美から言って?』


凌の優しい声。


恥ずかしくて下を向く私。


『あの…ね』


(………♪♪♪♪)


もう…こんな時に携帯の着信。


『出たら?』


優しい声に促され電話に出た。


『もしもし?亜美ちゃん!』


あれっ?


『智くん??』


二人で顔を見合わせる。


《俺は居ない事に!!》


身振り、手振りで伝える凌。

そりゃあね…この状況、説明しにくいよ。


『昨日さぁ〜凌のやつ!ホテルから亜美ちゃん捜索?で飛び出してさぁ…連絡取れ無いんだよ!!』


何?ホテル?


黙ってる私に追い打ちを掛ける言葉…


『凌、彼女の両親にあってたんだけど!!それが…』

どう言う事?


気分が悪い…。


血の気が引くってこう言う事言うんだよね…。


私は冷静を装い電話に答える。


『智くん…凌は迎えに来て帰ったから…。ゴメン、切るね!』


『えっ??亜美ちゃん!!』


智くんの声は聞こえたけど…。

それだけ言って電話を切った。


彼女?


両親?


何?


さっきまでの事は夢なの?

幸せだった気分が音を起てて崩れる。


『亜美?智なんだって?』


普通の顔で話かける凌に気持ち悪くなった。


平気な顔で…話かけないで!!


私に近寄らないで!!


『凌…気分悪いから、帰るわ。ありがとう。じゃあね!!』


『あっ亜美?』


凌の声を無視し車を降りた。


あのキスは何だったの?


そう心で唱えながら…。




『亜美?大丈夫?』


砂耶は心配そうにコーヒーを容れてくれた。


私はあの日以来、凌と話てない…。と言うより会っても居ない。

電話やメールは着信拒否。

そんなに強く無い私には、今ある電話やメールは本当にきつい…。


あの日は泣いた…。涙が枯れるんじゃないかと思うくらい…。

自分の気持ちに気付いた途端に現実を突き付けられ…。

今まで凌と言うぬるま湯に浸かってた自分にも嫌気がさした。


『一ヶ月だよ?そろそろ…家に帰らないと?』


そうだよね…。


あの日、家に帰り荷物を持ち飛び出し、一人暮らしの砂耶の家に転がり込んでる。


『ゴメン…迷惑かけて。』


『私は良いけど…。凌ちゃんとも話さないとね?』


逃げてばかりじゃいけないのは分かる…。


でも…凌の本心を聞くのが怖い。


『まぁ…亜美が話したい時でも良いか!』


優しい手で私の背中を軽く叩いてくれた。



『あんたって子は…!』


母親の小言…。


連絡を入れてたとは言え、一ヶ月も家出状態には心の広い母親もさすがにね!


『すみません…。』


謝りますよ…。


『お父さんが居ないから良かったけど…』


うちの父親は単身赴任中。

はい…。おかげで助かりました。


あの父親にバレたら…。


怖いよ!!


我が家に女の子は私だけだから…可愛いみたい。


兄貴は県外だし…。


『あっ!凌ちゃん…昨日挨拶に来たわよ』


凌が挨拶?


『挨拶?』


『あぁ…あんたも知ってるでしょ?』


ん?知ってる?


『何が?』


母親の驚いた顔!!


『凌ちゃん。先週引越したのよ』


『…。』


引越し?


『まさか?知らなかったの』


知らない!!!


家を飛びだし、三軒隣の凌の家。


ピンポン!


ピンポン!!


何度も鳴らすけど…


無言のインターホン。


『凌…』


私がいけないんだ…。


何も聞かず、無視して。


罰が当たったんだ…。


本当に何もかも無くしてしまった。


私は答える事の無いインターホン越しに、泣き崩れるしか無かった。

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