第6話⇔凌SIDE 壊したい関係。
『おいおい…ここで食事か???』
智が驚くのも分かるよ…
俺もびっくりだ!!!
超一流ホテルに到着し、中に入った途端に目に飛び込んできたシャンデリア!!
『あぁ…ここのロビーで待ち合わせ。』
今日は優子さんの《嘘》に付き合う予定。
『俺は離れた所で待ってるよ!!レストランは敷居が高い!』
そりゃ〜な…
俺も同じ立場なら、そうするよ。
『凌くん!!』
『こんばんは…』
大人だよなぁ…。
黒のタイトなスーツに小振りのアクセサリー。
少し派手めな顔の彼女にはシックなスーツがよく似合ってる。
『今日はゴメンね…こんな事を頼んで。』
『良いですよ…。お友達を連れて店にいらっしゃってくれれば。』
微笑んだ。
『分かってるわ。それにしても…凌くんって本当にいい男ね。スーツも似合ってる。』
ふう…。ネクタイが苦しい。
スーツってみんな良い男に見えるんだろうな?
『親御さんは?』
『もうすぐ着くと思うけど。』
彼女は時計を見た。
俺も時間があるなら…
『少し電話してきます。』
昨日から亜美と話てない。
声が聞きたい…
(トゥルルル…)
二回目の呼び出し音。
プツ…
(プープープー…)
あれ?切られた?
切れたのか?
(トゥルルル…)
もう一度コール…
『もしもし…』
『亜美??』
やっと…声が聞けた。
飲み会中らしい…
あいつ…飲めないのに。
『きゃあ!!』
ん??亜美の声!!!
『亜美!大丈夫か?』
おいおい…大丈夫かよ!!
『切るね!』
プツ…
えぇ?!マジ!!
切れた携帯を見つめる俺。
大丈夫かよ…
『凌くん?親が着いたけど…ちょっと?顔色悪いわよ。』
心配だし…顔色も悪くなるよ。
『あ…大丈夫です。行きましょう。』
すごく気になってるけど、彼女と一緒にホテル内のレストランに向かった。
彼女の親御さんは金持ち(娘が実業家になれるくらいだし)。
感じは良い人達で嘘を付くのが悪い気がする。
でも…心の中は
亜美は大丈夫か…?
そればかりが頭を回る。
『凌くん?』
腕を優子さんに引っ張られ、話を聞いて無い自分に気付いた。
『あっ…すみません…。』
俺ってバカ?!
亜美の事になると他に気が回らなくなる。
昔からなんだよな…。
ブルル…
携帯に気付く。
(着信…亜美)
マジかよ!!!
『すみません…ちょっと電話なんで!!』
不思議そうなみんなを余所に俺は席を立ち電話を急いでとった。
『もしもし!!亜美?何かあったのか?』
亜美の声が奮えてる!!
泣いてるのか??
何とか場所を聞きだし、智の待つロビーへ…
『あれっ?終わったのか!!』
終わった?じゃないよ…。お前!!!呑気にコーヒー飲む場合じゃねぇーよ!!
『智!!車の鍵をかせっ!!』
『はぁ?!』
『はぁ?じゃねぇーって!!亜美に何かあったんだよ。』
俺の剣幕に押されて、鍵を差し出す智。
鍵をもらって、先を急ぐ。
ヤバッ!!俺…優子さんに何も言って無い!!
しょ〜がない…
後は、智任せたぞ!!!
何処に居るんだよ…。
車を公園の駐車場に置き、さっきから捜してるけど見つからない。
携帯かけるかぁ…
あれ??
街灯の下でベンチにうずくまる人影。
『亜美!!!』
泣き顔のまま、走って来る。
そして、俺の腕の中にしっかり抱きしめた。
腕の中で泣きじゃくる彼女が愛しくて、抱きしめる腕が強くなる。
亜美…ずっと側に居て。
俺から…離れないで。
心の中で呟き、願うしかない。
俺が暖かい?
違うよ…亜美。心の中は欲に満ちてる。
亜美の安心してる顔…。
壊したくなる!!
俺の物にしたいよ…亜美。