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貴方の隣  作者: 夕月綾乃
5/12

第5話⇔気付いた気持ち。

『終わったぁ〜??』


『う〜ん。後は来週に回すよ!』


私は書類をファイルに入れ、パソコンの電源を落とした。


コンパの日が今日。さっきから砂耶が私を急かしてた。


『それで?今日のコンパの相手はどんな人達なの?』


行く手前気になるし…。


『あぁ!うちの姉貴の知り合いらしくて、外資系の商社マンらしいよ!!』


砂耶は化粧直しを念入りに始めた。


商社マンかぁ…。かっこよさ気な雰囲気だよ!


でも…。


凌も負けて無い!!カッコいいし、精神面は大人だし!!!


何で???


私…凌の事をこんなに考えてるんだろ??…


ううん…凌の事は考え無いようにしなきゃ!!


この歳になっても。凌から独り立ちをして無いなんて…。


でも…良い機会!!!いい加減、離れる準備しなきゃ。うんうん…


『亜美?首振ってどうしたの??』


無意識に振ってた?私…


『いや!何も…』


とだけ言い私も化粧直しを始めた。




『今日は本当に可愛い子ばっかで嬉しいよ!!』


メンバーは3対3。人数的には少ないかな。砂耶と私と同じ会社の受付の安藤さん。私以外はみんな美人…。

相手の人達も《大人の男性》って感じ!!みんな優しそうだし…。

でも…大人過ぎて気後れしちゃう。


『亜美ちゃんどうしたの??』


ん…??私ボーッとしてた?


隣に座ってる男の人が心配してくれる。彼は佐藤秀樹さん。カッコいいと言うより雰囲気が大人な感じで優しい人!さっきも酔っ払った友人を介抱してた。


『ちょっと酔っ払ったみたいです。でも!大丈夫ですよ!!』


最近は男の人が凌しか近くに居なかったから、他の男性って緊張する。


『大丈夫なら良いけど…』


『気分悪かったら言ってね?!』まで付け加えてくれるなんて…優しい!!


(ブルルル…)


ん??携帯??


パカッ。(着信…凌ちゃん)



プツッ!切っちゃった。


今は出れないし…


(ブルルル…)


また??


もう!!


『もしもし…』


とうとう片耳を押さえて出る。


『亜美??』


一日ぶりの凌の声。


『今日は無事に行けたか??』


心配しすぎ…


『うん!行けたわよ。』


『あれ?周り騒がしく無いか…』


やっぱり気付いた?


『あぁ!!飲み会だよ。』


『へぇ〜。亜美が飲み会に出るって珍しいな!砂耶さんと一緒?』


ハハハッ…。コンパです!


なんて…なんとなく言えない。


『一緒よ…。あれ?凌も外なの?』


何か…クラシックが流れてるけど?


『俺は…智と食事中!』


ふ〜ん。


『きゃあ!!』


『亜美ちゃ〜ん!何処に電話してんのぉ〜??』


うわ!酔っ払い!!!しかも抱き着いてくるし!!!!


『亜美?どうした!!!』


『な・何でも無い!!!凌、切るね!じゃあ』


プツッ…


んも…何なの!!この酔っ払い!!!


『やめて下さい!!!』


ヤダヤダヤダ!!!胸元に手が…!…


『いい加減にしなよ!!』


砂耶が乱入!!


『お前やめろ!!』


佐藤さん乱入!!


それでも酔っ払いはエスカレートしてキスしようとしてくる。


『亜美!もう!!こいつ危ないから店を出な!!』


砂耶の一言にバッグを掴んで、砂耶に合図して店を出た。


気持ち悪い。胸を触られた感触残ってるし…最悪


うっ!!!涙が…。


凌に、で…電話しよう。指が震えてうまく押せないよ…。


(プルルル…)


(プルルル…)


凌、出て…


(プルルル…)


『もしもし!!亜美?何かあったのか?!』


『うっ…』


凌の声聞いたら安心して涙が止まらない…


『亜美?落ち着いて!!』


『今どこだ?!!!』


今…?えっと…


『〇〇街の…〇〇こっ…公園のベンチ。』



『すぐ行くから!!そこから動くな!!!分かった?』


うっ…。


頷くしか出来ないよ!!!


『亜美!大丈夫だから…』


不思議…凌の《大丈夫!》は本当に安心する。


電話は切れてるけど…

携帯を握りしめた。


やっぱり…私、凌に頼ってしまうんだよね。



『亜美!!』


凌の声だ…


街灯の横を走ってくる影。影がドンドン近くなる。


『りょう〜!!!』


凌の胸に飛び込んだ。凌の心臓がすごいスピードで音をたててる。


きっと…私の為に急いでくれたんだ。


そう考えると、安心して一気に涙が込み上げる。


『あぁ―――ん。』



頭を撫でる凌の手には優しさが滲み出てて、守られてるのがよく分かった。


暖かい…


すごく落ち着く…


『凌の胸ってこんなに暖かかったんだぁ…。』


背の高い凌を見上げ呟く。

本当に安心出来るから…


『ハハハッ…今頃、気付いた?』


泣き止んだ私を見つめ笑う。


今、すごく痛感した。


私には凌が1番なのかも。この笑顔を独り占めしたい…。


実は…心の中では昔から、そう思い、願ってたのかもしれない。

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