第3話⇔独り立ち。
遅い…。
いつも早いくせに今日は連絡無しで迎えにこない。
『凌ちゃん。遅いわね??』
母の心配そうな声。
そんな母に、
『子供じゃないんだから、そんなに心配する事無いんじゃない??』
私の素っ気ない言葉に『この子は…』と母は私を睨む。
だって本当の事じゃん…
『もぅ〜私、会社に行く!』
そう言って玄関に向かった。
『凌のバカ…』
確かに迎えに来なくなるのは良いけど…急にはムカつく!!
『行ってきます!!』
見送る母に告げ、靴を履く私の後ろで…
『はいはい。凌ちゃん居なくて淋しくせに!フフッ』
母の嫌な笑いにまたムカ!!
『じゃあ〜ね!』
(バンッ!!)
玄関のドアをおもいっきり閉じた。
淋しい??
せいせいする!!
私は引きずる足を踏み鳴らしながら会社へと急いだ。
『亜美!明日、コンパあるけど行かない??』
同僚の金井砂耶が声かけてきた。
『どうしよっかなぁ〜。』
ちょっと考えたけど、
『う〜ん。やっぱり止めとく!』
またか…って砂耶の顔。
『いい加減、男を作りなさい!!』
心配されてるよね…私。
『気が向いたらね!』
『凌ちゃんでしょ??』
ん…?何故そこに凌??
『亜美さぁ…贅沢よ!あんな良い男を野放しにして。』
『の・野放し?凌と私は関係無いから、当たり前でしょ?』
そうそう当たり前!!
『じゃあ?凌ちゃんに彼女が出来たら?』
彼女…
その手の話は今まで殆ど触れた事無いから彼女ぐらいは居たとは思うけど。
『別に…関係無いし。彼女が出来たら、万々歳だよ!!』
『亜美さん。ムキになりすぎ。』
砂耶の一言に頬を手で覆う。
ムキになる?
なってないし…
『顔まで赤くして!可愛い!!』
茶化す砂耶を軽く睨んで
『分かりました!!行きます。』
結局、行く事にしてしまった。
(今日は本当にゴメン!)
凌からのメール。
(明日も来なくて良いから)
簡単な返信をする。
すぐメール音
(いや!明日は絶対に行くから!)
はやっ!早過ぎ…
(もう眠る。)
一言メールして電源を落とした。
キャーーーッ!!!
しまった!!眠ってた。
昨日はアレから…。
急いで準備をする。
きっと凌が迎えに来るからその前に家を出る!!
『あらっ?早いわね?凌ちゃん来るんでしょ!!』
と言う母の声を無視し、家を出た。
良いタイミングなのよ!凌と私の関係を断ち切るには…。そして凌の責任を軽くする為にも…。
ずっと思ってたけど…今まで行動出来なかった事。
お互いの為に…
そう言い聞かせ駅まで早足で歩いた。