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貴方の隣  作者: 夕月綾乃
12/12

第12話⇔凌SIDE 偶然の再会。

『はぁ…』


でかい溜息も出るよ…


亜美に会えなくなって2ケ月。


強くなろう!と思ってはいるけど…ダメな俺。


情けない?


だよなぁ…。


大人になる為に離れたのに禁断症状でまくりだし。


『守田く〜ん!駅前のパネル見たわよぉ〜!』


久々に大学に出てみたら、甲高い声の女達。

はっきり言ってダルい…

優子さんの頼みを聞いてアクセサリーのモデルをしてから声掛けられるのが多くなった。かなりだるい…。


『あぁ…』


一言だけ返す。


『クールだよね♪♪そこも良いけど…』


代わる代わる話続ける。


クールじゃなくて…


ダルいんだよ!!


『そうだ!最近、送り迎えして無いの??』


おいおい…。


何で知ってんだ?


ストーカーかよ。


って言うか…


お前らには関係無いし…


まじで!!


『…うざっ』


『守田くん?何。』


聞こえて無いのか?!


だから!!


『凌ち〜ん♪帰るぞぃ!』


智!!良い所に来たよっ。


『おぉ!!』


女達の引き止めを払い除けて教室を後にした。




バイト先に俺の運転で向かう。

まぁ〜助手席には智。


『お前さぁ…タイミング良すぎ。』


マジで怒鳴る所だったし。


『あ〜っ。アレ?遠くで見てたからな…ぶはっ!ちょっと面白かったし♪でも、お前キレそうになったから♪♪』


面白い?


そう言う事ですか…


面白かったわけね?


ゴツ!!


『イテッ!何すんだよ。』


助手席で頭を押さえ、悪態をつく智。


『制裁だよ…』


俺の言葉に智は苦笑いした。


『ちょっと、そこ右に曲がって!!』


急に智が叫ぶ。


バイトの時間遅れるってのに…


『何処に行くんだよ!』


右に曲がったけど?


『ここ!!』


えっ?!


『ここって!』


まさか…


優子さんのマンション?

どう言う事?


『悪い…亜美ちゃんの事が合ったから言えなくてさぁ…』


智…顔赤いんだけど…?


『付き合ってんだ…』


『はぁ?』


いやいや…マジ驚きですが。


『優子さんと…』


幸せそうな笑顔を俺に向けた。


『そうかぁ!!良かったなぁ!!』


俺の一言に智は満面の笑みを見せた。


あぁ…俺も幸せになりたい。


『と言う事でバイト頑張れよ!』


『えっ!智っ!!』


バタン…


車から降り外で手を振ってる。


『バイト休む気かよ…。しょうがねぇ〜な!』


幸せそうな顔みたら、何も言えないし。


分かったと手を上げて車を走らせた。




『智のせいで…』


遅刻するし、幸せを見せつけられるし…苛々するし、淋しいし…


『はぁ〜辛いよなぁ…』


店の裏口を開け中に入る。遅刻しても怒られないけど(智の兄貴の店だし。)

少し悪い気がして他の店員に頭を下げ下げ、カウンターへ…


『あ…っ』


カウンターでオーダーしてる人!!常連さんの佐藤さん発見!!


いつ見ても大人だよなぁ…。


スーツにネクタイ!!カッコ良いよ。男の俺から見ても…。


『こんばんは…』


俺はそう思いながらたわいも無い会話をする。


あれ??佐藤さんの連れの人調子悪そう…。


『佐藤さん…。お連れの方大丈夫ですか?』


何か気分が悪そうに見えるんだけど…?


下向いてるし。俺の問い掛けに、ゆっくり彼女は顔を上げた。…!!!!


『あ…亜美!!!』


きっとこの時の俺の顔は…


鳩が豆鉄砲…と言う言葉が当て嵌まったと思う。


髪も伸び、可愛さも増し、最高に《良い女》になってる。


抱きしめたい…。


一瞬眩暈がする。


可愛い過ぎ…。


でも…。


やばくないかぁ?


焦点の合わない目で酔っ払ってるのが分かる。


俺にも気付かないし?!


って言うか!!!

少し…ショックだよ。


『お酒まだ…?』


亜美の声にさすがにプツンと切れた。


『いい加減しろ…亜美。』


お前何やってんだよ!!!


『りょ…う?』


やっと我に返ったらしい。


『佐藤さん…すみません。亜美借ります!』


俺の言葉に驚いて、佐藤さんはア然とした顔。


『亜美!ちょっと来い…』


俺は亜美を抱き上げ外に連れ出した。


『亜美…お前飲めないだろ?』


下を向いてる亜美を覗き込む。


えっ?!


亜美の顔が怒ってる?


『…じゃない』


『亜美?何?』


何か呟いたよなぁ?


何で怒ってるんだ?


ドンッ!!!


『凌には関係無いじゃない!!!』


亜美はおもいっきり俺を突き飛ばした。


そして…


『私がどうなろうと…。今さら心配しないでよ!!!』


関係無い…


心配しないで…


久々に逢って、さすがにその言葉はきつい…。


『ゴメン…』


謝るしか無いよ。怒ってる理由も分からない。


逢えた喜びも何処かに飛んで行く。


『話はそれだけよ。じゃあ…』


『嫌だ…』


店に戻ろうとする亜美を力いっぱい抱き寄せた。


離したくない…


行かせたくも無い…


側にいたい…


『ゴメン…佐藤さんには悪いけど、もう限界。』


抱きしめた腕の中で亜美は驚き俺を見上げてる。


『…逢いたかった。』


亜美を強く抱きしめ呟いた。

二度と離したくない。怒ってるなら理由聞いて何度でも謝る。


『そんな事言わないでよ!!彼女が居るじゃない。』


彼女?!俺に??


頭の中をグチャグチャに回して考えた。

やっぱり…偽装お見合いの事を誤解してる?!


ここではっきり言わないと!


『居ないよ…』


俺は抱きしめた腕を少し緩めて亜美の顔を見つめた。


驚いた顔。まだ少し酔ってるのか頬がほんのり赤くて妙に色っぽい!!!


そんな顔が可愛すぎて…


キスをした。


優しく。そして徐々に深く。


途中で亜美の言葉が入るけど今の俺には周りの事なんてどうでも良い…。

ただ今は亜美を感じたかった。


『亜美…』


そっと唇を離して


『ずっと…好きだった。二度と離れたくない…。』


今1番彼女に伝えたかった事を真剣に言葉にした。


抱きしめてた腕を強くする。

彼女もゆっくり顔を上げて


『私も絶対に離れない…』


俺の背中に回されてた腕が強くなった。


今度は大丈夫だよな…。


回り道して辿り着いた幸せ。もう何も心配する事はな…


あれっ!


って言うか!!!


『亜美!!!佐藤さんとはどう言う関係!?』



俺は大事な事を忘れてた。


『やばい!!!忘れてた…。ゴメン!凌、店に戻るよ!!!』


本当に忘れてたみたいで、腕から離れ店に戻ろうとしてる。亜美…答えになってないし。


『だから…どう言う関係?!』


後ろから追い掛け問いただす。


『あぁ!砂耶が紹介してくれた人だよ。』


し…紹介!!!


マジで?!


『おいっ!亜…』


チュッ…


亜美からの不意打ちのキス!!!


『大丈夫だよ!元々断るつもりだったから///。』


真っ赤な顔で店内に戻る彼女の後ろ姿を見送った。


俺は嬉しさのあまり足が動かない。


ヤバい。か…可愛すぎだよ。


『凌さぁーん!どうしたんっすか?突っ立って。っつうか…顔真っ赤!!!』


ちょうど店に来た大学の後輩が俺に話掛けてくる。


『うるせぇーよ!!!早く店入れ!!』


後輩は不思議そうな顔して店に入って行った。


真っ赤…か?!


『俺…やばっ!今、亜美の顔見れねぇーよ…』


俺はその場にしゃがみ込んだ。

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