第11話⇔偶然の再会。
凌が居なくなって早二ヶ月。周りはクリスマスモード一色。
2ケ月かぁ…。
イルミネーションとカップルを横目に呟く。
ふと意識が遠退くと思い出すのは二回のキスと凌の胸の温もり…。
凌を捜そうと思えば出来る。
でも…私は何もしてない。
あの時の彼女とどうなってるか?
その話題を笑って話せる自信が無いから…。
最近は涙も枯れて、時間を生かせなかった後悔だけが胸を過ぎり、痛みに胸を押さえる日々。
凌…今何してる?
元気?
彼女とは?
胸の中でいつも質問。
でも…私ってバカだよね?
凌にそんな人居たのに気付かないなんて…。
『亜美!お待たせ…』
小走りで駆け寄る砂耶。
『大丈夫。今、着いた所。』
今日は砂耶のお願い?で男の人と逢う事になってる。
まだ、気分的には厳しいんだけど…
砂耶の《前向き》に行かないと!!
って言葉に促されちゃった。最近の私を心配してくれたんだろうけど…。
『どんな人なの?』
私を知ってる人…って聞いたけど?
『あぁ〜一度会ってるよ♪♪』
ふ〜ん…。
『あっ!!居た。あの人よ!!!』
佐藤さん??
一度だけ行ったコンパに居た人。
『そうよ!!亜美の事気にいってたの!!』
砂耶さん…そんなに力説しないで
『ほら!!さっさと行く!!後は自分で頑張って♪♪』
ポンッ。
押さないでよ…薄情者!
砂耶を睨み、一人彼の方へ歩く。
『こんばんは…』
緊張…
『こんばんは!!今日はゴメンね。』
本当に良い人だなぁ…。前もそう思ったけど…。
『いえ!前回は助けてもらって…ありがとうございました。』
『大丈夫だったの?』
あの時…凌が助けてくれたっけ。
『亜美ちゃん?』
『あっ…すみません。ぼーっとしちゃって。』
また凌の事考えちゃった。ダメね…私。これで前向きになれるのかなぁ…。
『腹減ったし、食事でもする?』
佐藤さんの問い掛けに元気よく頷いた。
食事は美味しいイタリアン。
少しだけワインを飲んじゃって、ほろ酔い気分♪♪♪
そして二人で恋愛についての話題。
『毎日逢うと飽き無い?少し時間開ける方が新鮮な気持ちになれるじゃない。』
佐藤さんとの恋愛感の違いに驚く。
私は凌とほぼ毎日会ってたけど…飽きた事ない。まぁ…ムカつく事はあったけど…。
佐藤さんの考え方って大人の考えなのかなぁ…?
『まぁ〜この話は終わりにして…この後、時間ある?いい店あるんだ!』
明日休みだし…行っちゃいますか!!
佐藤さんに連れられ行きつけのBarに到着!!
暗めの店内でジャズとか流れてる。
『良い雰囲気ですね!』
こんな所には縁無かったから、すごい新鮮!!!
『最近、よく来るんだ。』
二人でカウンターに座る。
へぇ…。やっぱり大人だなぁ〜。
一人感心。
『あれ?今日は作る人、違うんだね。』
佐藤さんはカウンターでお酒を作ってる人に話かけてる。
『あぁ…少し遅れてるみたいですね。』
バーテンさんは静かに答えた。
『亜美ちゃん。いつもの子カッコ良いんだよ!!』
微笑んで一口お酒を含んだ。
『そうなんですか…。』
カッコ良いのは…
もう嫌!
平凡が一番。
でも…考え込む自分が一番嫌!!
『亜美ちゃん?次は何飲む?』
また…私、別世界に行ってたみたい。
でも?お酒ってこんなに美味しかった?
日頃、飲まないけど!
何かいい気分♪♪
嫌な事とかも忘れられそう…。
『同じ物で!!』
ピンク色の甘目のカクテルが気にいった私。
『少しペース落とさないと、後にくるからね?』
もぅ…佐藤さんも心配性なんだから。
『大丈夫です♪♪』
と言ったけど…
あれ?
何か…目が?
霞んでる…?
下を向く私。
酔っちゃったのかな…。
『こんばんは…』
ん…?
『こんばんは。今日は今から?』
バーテンさん代わったみたい。
二人で話してる。
私は眠い…。
頭が起き上がら無いし。やっぱり帰った方が良いかな…
『佐藤さん…お連れの方、大丈夫ですか?』
バーテンさんの心配そうな声。私の事?
『大丈夫ですよ♪♪』
下を向いてた私は頭をゆっくり上げた。
『…あ…亜美!!!』
目の前に凌が見えるんだけど…。
目を擦って見る。
凌が居るわけ無いじゃない!!
私って救いようの無いバカ?!
凌が見えるなんて…
酔っ払い?
これは…飲まないと!!私、幻覚が見えるなんて…
病気だわ…
『佐藤さん…お酒はまだですかぁ?』
お酒を催促する。困惑顔の佐藤さんを横目に止まらない私。
『亜美ちゃん…少し酔い冷ました方が…』
もぅ…心配しすぎ。
『だい…じょ…』
『いい加減にしろよ…亜美!』
ビクッ!!!
この声…
やっぱり…
『りょ…う?』
『ちょっと来い…』
カウンターから出て来た凌は私を抱き抱えるように外に連れ出す。
何でここに居るの…。
本物?
思考回路…私可笑しくなってる?
私は店の外に連れ出された。
真っ直ぐ見つめる凌の目が恥ずかしくて見れない…。
『亜美…お前飲めないだろ?』
怒ってた声が心配そうな声に変化する。
その声は私の中で何かを弾け飛ばした。
『…じゃない』
今さら何よ…
『亜美?何?』
『凌には関係ないじゃない!!!』
そう言って、抱き抱えられてた凌の胸を突き飛ばした。
本当はこんな事を言いたかったんじゃない…。
でも…お酒の力?口が止まってくれない…。
『私がどうなろうと…。今さら心配しないでよ!!!』
彼女居るくせに…
私の前から居なくなったくせに…
心の中も目もグルグル回る。
『ゴメン…』
やっぱり謝るんだ…。
『話しはそれだけよ。じゃあ…佐藤さんが待ってるから』
凌に背を向けた。
フワッ…
『…!!!』
『嫌だ…』
抱きしめ…られてる?!
『ゴメン…佐藤さんには悪いけど、もう限界。』
耳元で響く甘い声。
『げ…ん…かい?』
抱きしめられた腕の中で聞き返す。
『そう…逢いたかった。』
逢いたかった??
『そんな事言わないで!!彼女が居るじゃない。』
凌の顔を見上げ一番聞きたかった事を聞く。
『居ないよ…』
微笑ながら呟く。
『でもっ!ん…っ』
優しいキス…。
始めは啄む(ついば)ように…。そして深く…。巧みに私の口内を荒らされ、頭の中が真っ白になる。
通り過ぎる人達の視線を感じ…
『凌…みんなが見てる』
少し唇を外し伝える私。
『いいよ…見てもらおう。』
『でも…』
『亜美…黙って』
そしてまた深いキス…。
『凌…苦しいよ』
また唇を離し
ふぅ…。一息。
私慣れて無いんだから…。
『ダメ…』
そして、また私にキスの雨。
『うっ…ん』
言葉にならない私の声。
恥ずかしい///
チュッ
最後に軽くキス。
『亜美…マジ可愛い。』
強く抱きしめる。
『もう…凌!ヤラしい…』
酔いも冷めるよ!!!
『今頃、気付いた?』
////…。私は無言。
『顔、真っ赤!!』
覗き込まないで!!
『亜美…』
急に凌が真剣な顔になり
『なに…?』
私も真剣に答えた。
そして、凌は強く私を抱きしめ
『ずっと…好きだった。二度と離れたくない…。』
一言呟く。
そして…
『私も絶対に離れない…』
そう呟いて、彼の胸に顔を埋めた。