僕たちはこの星を浄化する…
この作品は『僕たちは漆黒の宇宙の上をあるいている…』の姉妹品です!ですが別にどっちだけでも大丈夫です!(笑)じゃぁ、是非読んでください!
僕たちがこの星を創りなおすのは…
何回目になるんだろう…
幾度も幾度も創りなおしてきた…
そのたびに生まれた生き物はこの星を汚して、死んでいった…
そのたびに僕たちはこの星を再生させる。
草木を茂らせ、粒のような光を放つ清流、白いベールのような雲、暖かい世界。
夜空に星を浮かべ…夜風に舞う桜なんか創ったり━…そんなかんじ。
『おーい!』
「ん〜?」
『そっちどうよ!?』
僕たちはお互いに姿が見えない。砂塵が橙の壁を作っていた。
声だけを風に乗せて僕は返事した。
「うん!まだまだ!」
『え゛っ…!?』
「だってさぁ…大気も地中も汚れてて修復には時間かかるね」
『早くしてくれなきゃ゛水゛だってつくらなきゃいけないんだぞ!』
「おう!頑張るからちょっと待って!」
僕はちょっと力を強めて大地を震わせた。
大地は呼応し、反応した。
僕は汗を拭い歩き出した。
僕が歩くと大地から草木が生えてきた。
僕は宛てもなく歩き続けた。
ふと後ろを振り向いたら翠の道が出来ていてそのすぐ左右には砂塵が舞う大地があった。
大地に呼び掛けながら考えた。
なんでこんなことしなきゃなんないのかな━…?
創って破壊されて、また創って破壊されて━…繰り返しだ。
この星はこんなに泣いているのに━…
僕たちがやっていることは罪なのかな?
この星は美しく綺麗だ━…
宇宙の風に乗って浮かぶから。
暗闇に浮かぶ涙のような星だから。
僕たちはこの星で生まれた━…
ただ、普通じゃない生を送ってきた━…
考えても考えても答えは出ない━…
僕は歩き続けた。後ろには翠の道…前には砂塵の壁、死んだ大地、渇いた空気…
夕日に照らされたこの世界は綺麗だ。
砂塵は1つ1つ茜の光に呼応して光を放つ━…
僕を包む、優しい光…
ふと、涙が出た。
ポロボロ大地に溢れた…
猛ける砂塵の壁でも綺麗なのに、
こんなに綺麗な世界なのに…
宇宙から見ても、大地の上で見ても綺麗なのに!
……僕たちは無知で無力だ。
創りものの浄化された世界を創り、自己満足なのだろうか?
ここには創りものじゃない優しい光があった。大気があった。大地があった。
たとえ汚された世界でも…
愛しかった。
涙は大地を濡らし大地はそれに呼応する。
僕は立ち止まり、座った。
草木は僕を中心に急速に広がっていく…
僕は膝で顔を隠して泣き続けた…
しばらくすると茜の空は闇に溶けこんでいった━…
僕はまだ膝を抱えて涙を流して天を仰いでいた。
空には宝石のような沢山の星たち…
闇に浮かぶ涙…
僕たちは涙に包まれていた━…
大地は゛浄化゛されていた━…
でも全然綺麗じゃない。
しばらくすると向こうから彼が闇に浮かぶ星を背に受けて走ってきた。
息は切れていて、白かった。
『おい!どうしたん…』
僕が泣いていて驚いたんだろう。
『な、なんかあったか…?』
「ううん…座りなよ、星が綺麗だよ」
『あ、ああ。』
そういうと彼は僕の隣に座った。彼が大地に力を加えると清流が出来る。
清流に星が浮かんだ。
『こうして見るとなんだか俺たち、星を上から見てるみたいだな…清流に浮かぶ星をさ』
僕は涙を拭って清流を見つめた。
「綺麗だ…」
『ああ』
僕は指を清流に包ませた。
冷たい…
星は波紋で踊っている…
「本当に綺麗だ…」
彼は目をくりくりさせ天を仰ぎながら言った。
『こ、この星も綺麗にしなきゃ!俺たちが綺麗にしよう』
彼は優しい…僕の涙に触れないで暖かくしてくれる…
「僕さ…」
『うん?』
「この世界は綺麗だと思う。」
彼は口を開けてポカンとしている。
僕は清流に浮かぶ星を踊らせる。
『この世界が…?』
「ん…」
『今はまだいいけどさっきまで砂嵐ばっかで視界は悪いは大気は汚れてるわ…』
「うん…それでも、さ」
『そんなもんかな?』
「うん」
しばらく黙って僕が口を開いた
「なんだかさ、疲れたよ」
『何に?』
「僕たちの行為に…」
『俺も何回かそう思ったよ…』
僕は彼に視線を向けた。天を仰いでいる彼の目には星が浮かんでいた。
『こんなことしてなんになるのかな━…って!』
「それで…?」
『見付からなかった…砂嵐に隠されちゃったかな?』
彼はちょっと笑うと僕をみた。
『結局俺たちには世界を創る力があってそれの使い道がある』
「僕たちには世界を創る力があってそれの使い道がある」
『ああ』
『俺たちのやってることは正しいとか正しくないとか…わからない。誰も俺たちには言ってくれないんだ。神様には悩みを聞いてくれる人はいないから…』
彼はそういうと草木に寝転んだ。
「神様に悩みを聞いてくれる友達はいない…か」
彼は天を仰いでいる…星を浮かばせ星明かりを受けている…
「だから使える力を使う…それがだれの為とか為じゃないとか…わからないから」
『ああ…』
「でも僕たちは神様にはなれないよ」
彼は黙っていた。
「僕たちには偽物を敷きつめるだけだ」
『誰もわからないさ』
「僕たちだけが知ってるよ?」
『成分とかを言えば゛本物゛なんだけど…』
僕が口を開いた瞬間彼が静止した。
『わかってるよ。わかってる』
僕は清流を見つめていた。清流に浮かぶ星は踊りを止めて静かにたたずんでいる━…
『わかるけど仕方がない…』
「まぁ、ね」
『力があったら使わなければならないなんて言いたくないけど、ほっとけないからな…』
「うん…辛いね」
『誰も答えを示してくれないからな』
「僕たちは完璧じゃないしね」
『そう…だな』
彼は目を閉じて深呼吸した。
僕も同じ事をした。
僕は目を開けると彼を見た。
彼も僕をみた。
『できたな』
「できたね」
草木はこの星の裏側まで敷きつめ終っていた。
彼は清流から海を創りだし、
僕たちは゛浄化した世界゛を完成させた━…
後は゛勝手にやってくれる゛
『そろそろ行くか?』
彼はゆっくり立つと寝転んでいる僕を見つめた。
彼はまた星をしょっているようにみえた…
「うん…」
彼は手をさしのべると僕はそれをつかみ立ち上がった。
僕の涙はもう消えていた…
『今度は…』
「うん?」
『今度はうまく行くさ!』
「なんで?」
『お前の涙が大地に溶けたからさ!』
僕は目を見開いて吹き出した。
「なぁにそれ!?」
『わかんない!でもそんな気がする。それだけ』
彼は優しい…
「だといいね!」
僕は笑って答えた。
『あ、早く行かなきゃ!お前がちんたらしたせいで前の時は存在がバレかけたんだぞ!』
僕は笑いながら
「そうだったね!なんだっけ…二人の…う〜ん」
『アダムとイヴ』
「そうそう!それ!」
『どっちがイヴだと思う?』
「う〜ん…」
『お前だよ!』
彼は笑うと走り出した。
草木を踏みながら二人で走り出した。
天には綺麗な星たち…
地には゛偽物゛の大地…
走る僕たち…
そして………
優しく綺麗なこの世界━……
読んでくれてありがとうございました!感謝です!感想など頂いたらうれしぃです!ありがとうございました