第2話 日常
9歳になったー。――――――
みんなの前では、隠しているが日々鍛錬と勉強だけは行った。
旅に出るつもりなのでその前に兄弟との関係を離していこうと思い、いつも実力のない引きこもりな兄を演じる羽目になったが。
そのおかげか、分家の方は騙された。分家のやつらと勝負し適度に負けたからだ。
桜には、「しっかりやりなさい!」と怒鳴られた。理由を聞くと、
私に1度勝ったからだそうだ。どんだけ、自分すごいんだと思ったが、客観的にみても姉は、家族の中で3番目に強い。
母>父>姉>弟>分家>俺?
うむ、いいや。勝敗なんて俺には関係ないし。スルーしておこう。
夜――――すなわち俺の時間。
昼は夜のために体力温存しているが、夜は、思いっきり体を動かす。
念、モード鬼人化――――目を閉じて妖気を精製する。(この時、目が赤くなっているが本人知らない。)
そして、妖気の純度を底上げしたところで保つ。
この保つ練習が大変なのだ。気を抜くとすぐに質が落ちるので集中力がかなり必要なのだ。
初めの頃は、保つだけで精いっぱいだったが今はだいぶ慣れてきて動きながらでもできるようになった。
「――――――――――――――――――っは!」「せいっ――――――――――――」
鬼頭流の型の中にある肉弾戦の殴る蹴るといった、ものをある程度こなしていった。
基本をしっかりこなすのが大切だよね!!
それを何十回何百回と繰り返して、終了。
周囲が明るくなってきたのでそそくさと部屋に戻る俺。
♢ ♢ ♢ ♢
翌朝、お付きの一人に起こされてしぶしぶ食堂に行く俺。
今日も、また分家にあーだこーだ言われるだろうなと憂鬱になりながらも手は勝手に動いていき口に入っていく。
そしたら、母がおもむろに
「今日は、あなたたち3人と分家の精鋭たちのみなさんと一緒に陰りの森にはいってもらい魔物と戦ってもらいます」といいだした。
心中穏やかでないみなさま。分家の一人が
「当主さま。私たちは、大丈夫ですがこの子たち3人にはまだ早いのでは?」
「いえ。逆に遅いくらいですよ。私の時では、6歳で行ったのですから大丈夫です。森のなかにいる下位のブチウルフを倒せばいいだけですから」とのたまいやがった。
せめて弟だけは危険から抜けてほしい、と思い俺が進言してみたら
「しかたないですね、いいでしょう。しかし、一花あなたは、2匹倒してきなさい」
ひいぃ。母さん怖い。さすが、母さん当主なだけある。威圧感が半端ない。
父が始終黙りっぱなしだ。父さんどうやって結婚したのだろう?勢いにのまれてしたのかな……不思議だ。
生まれたときの優しい母はどこに行ったのだろうか――――続く。
♢ ♢ ♢ ♢
みんなが出て行ったあと、
父母の様子――
「藍、お前のことだから何か考えがあるのかもしれないがまだ、あの子たちには、早いんじゃないのか?――――――――
一応お前が当主だから黙っていたが危険には変わりないと思うぞ。ブチウルフといっても魔物なんだ。それにあそこは陰りの森だ。かつて鬼がいた場所なだけあって、全体に妖気が流れ突然変異している魔物が少なくはないんだ」
「東仙、あの子たちの実力を測ったことがあります?すでにあの二人は、分家なんてとっくに抜いているのよ」
「なに!?―――――桜は、わかるが一花もなのか……」
「ふふふ。とくに、一花のほうが興味深いわよ~巧妙に隠しているけど妖気の量だったら私に迫っているわね」
「……化けるかもな。一花は」
「ええ、そのためにもちょっと覚醒してもらわないとー」
と母は、ニコニコしていた。