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16px:USA  作者: 和風つな
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 そういえば……あなたにはわたしの声はどのように聞こえているのですか。あなたの声ですか。それとも、誰かの声なのでしょうか。文章を読む時というのは、頭の中で読み上げていくものだとわたしは認識しているのですが、どうやらそうでない方もいるようで。

 どうせなら、わたしのこの文字は可愛い声で再生してくださいませんか?きゅるんとした、アイドルみたいな……なんて、まあ言うだけならタダですよね。…………お願いしますよっ?ふふ、なんか変な感じですね。

 少し話が逸れましたが、わたしが気になっているのは文字が文字として、脳内で声が自動再生されないヒトのことです。根本的になにかが違う気さえしています。思い返せば、国語の授業で丸読みをしている時、勝手に先の方を読んでいたりしていたのですが、されない方というのはそのままそこを集中的に「読む」ことをしているんでしょうか。わたしは丸読みの時は「より自然に声に出す」ことだけを意識していた記憶があります。理解のために指を上に滑らせて文字を追ったり、読み上げて理解することがあまりなかったので、そうでない状態というのに興味があります。

 なぜ急にこんな話をしているかって?嫌ですね、今わたしとあなたにとってはとても重要なことなのです。わたしとあなたの繋がりというのはずっとこの文字と稀な挿絵だけ。それもわたしから一方的に話しているばかりではありませんか。その「話す」行為の設定画面について語ることのなにが不自然だと思うのですか。ねえ、教えてくださいよ。本当に、あなたの声が聞こえたらいいのに……わたしの文字は、声になっていますか。なっていなくても、わたしという存在は伝わっておりますか。もし伝わっているのだとしたら、あなたを数少ない友人の一人としてもいいのかもしれません。嫌だって思っていても、わたしは勝手にそう思います。わたしを現状見てくれているのですから。



――ピコン


挿絵(By みてみん)




 やっぱり、なんの音なんですかね。おや……………ええ、うそ、わたし、消えてる?ピコンって鳴ると、消えていたのですか!

 この調子だと……ピクセルの分割数が4等分であることを察するに、あと2回でわたしは消えてしまいます!…………それにしても、2回ですか。意外と短い、なんて思いませんか。あなたと一方的にですがお話するのは楽しいですが、正直な話不可抗力に消えられるのはちょっと嬉しくもあったりします。自分より強い存在に、痛み無く消して欲しい時に消してもらう。安楽死のようなものではありませんか。

わたしは今首から下が消失しましたが、痛みはありません。そもそも感覚がないのですけれど、痛みだけあるとかそういう意地悪はないようでよかったです。ちょっと考えてみたのですけれど、これって途中で口が消失したら喋れなくなるのでしょうか。いや、目も口も機能していない状態なのですが、うーん、説明が難しいですね。とにかく、機能上問題がないか心配ですね。もしなにか問題が起きたらあなたに相談したいものですから。


 ……そうですね、なぜわたしがあなたにこんなに無条件の信頼を置いているかもお話しましょうか。わたしの現状の無害性は先程お伝えした通りですが……あなたもわたしにとって現状では無害な存在なのです。直接の会話ができないことを悔やんでおりましたが、会話というのは時に包丁よりも……鋭利にヒトを傷つけたりえるのですから。それがなく、ただ存在だけがあるというのは、傷つきはしないというわけなのです。だからあなたを信用します。あなたがわたしを見るように、わたしもあなたの存在を見るのですから、わすれないで。


◻︎


 またひとつ、わたしの一部が砕け散りましたね。これは、死の再放送と言うわけですか。てっきりわたしは最初のほうに申した感じで永遠にこの状態で苦しめることが目的だと思っていたのですが、消えられるのでしょうか。いや、もしかしたら消えてもまた……ああ、ああ、考えないようにしましょう。悪い方向にばかり考えすぎてしまうんですよ。そうしないといけなかったからなのもありますが。わたしの消失については一旦考えないことにしましょう。嫌でも終わりは来るのですからね。


 それでは、楽しい話でも致しましょうか……

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