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というわけで、挿絵がきたので挿絵ありきで語らせて頂きますが……前髪がヘルメットのようになっていることが気になります。確かにわたしはぱっつんとした前髪でしたが、こう見るとヘルメットとしか言いようがありません。横髪の姫カットの部分だけは奇跡的にちゃんと残っているのが唯一の救いです。横髪というのはかなり重要なのです。小顔効果になりますからね。もうそういう次元の話ではありませんけれど、ドット絵的にも。
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この身体であって困ることも多いですが、良いことも少しはあるのですよ。変化をしないことです。空腹もなく、老化もない。これは良いことです。苦しみがないということですよ。この部分では。ええ、この部分では、です。やっぱり困る事ったら、表情が変わりません。手足もこの位置から動かせません。大困りです。大変ですよ。本当にわたしは文字通り1枚絵なのです。
そんなわたしが、今あなたと活字として向き合っているのは何故でしょう?
……正直なところ、はっきりと正確には分からないです。わたしの推測では、殺したヒトが実は電脳化に精通していて……というのが有力でありますが真意は不明です。もう確かめようがありません。ここではないどこかへ消えてしまったのですから。死というのは、わたしは消失だと思うのですよ。つまり、消失していないわたしというのはまだ生きていると思ってます。肉体の喪失はあれど、わたしという意識をわたしが持っていればそれはすなわち生きていることとおなじことなのです。
この不自由なピクセルになった理由はきっと、わたしを罰するためなのでしょう。悠久を無為に過ごさせることで、反省を促して促しまくってもう精神が散り散りになったとしてもまだ悠久の地獄を続けさせるためでしかないのでしょう。わたしはそう分析しました。それしかすることがなかったものですから……罪人の癖に投獄されずに死ぬのなんて、ヒトビトからは認められないのでしょうから。これは受け入れなくてはなりません。わたしの意思に関係なく、受け入れざるを得ない状況であるからです。
しかし、特異点が生まれました。あなたです。あなたと直接会話ができないのが残念でたまりませんが、あなたはわたしを現に今、見ているでしょう。わたしはそれを知覚し、平坦だった感情を静かに激しく沸き上がらせていますよ。
わたしの平凡な日常はとっくに破壊をしていましたが、物語としては他者の視点がありませんでした。カメラの存在があって初めて、わたしはわたしという存在に自信が持てる気がするのです。いえ、実際に持っています。まるで役者にでもなったかのようで、なんだか良い気持ちです。こんな思いしてしまっていいのでしょうか。といっても、あともうしばらくはお付き合い頂きたい所存です。よろしくお願いしますね。
さて、わたしはここから文字通り一歩も動けないわけですが……わたしという人間の独白により厚みを持たせることはできるでしょう。そう、奥行きのない世界にだって、厚みを持たせられるのです。概念の話にはなりますが、まあ聞いてくださいな。それしか出来ることがないのですから。あなたも、活字に飢えてここに来たのでしょうから。お互いの利害を一致させましょう…………!




