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8 か、かんらんしゃ?

 

「うわぁー!!観覧車だぁー!!」


 遊園地に来たサンちゃんがとっても嬉しそうな顔でそう言った。


 それを楽しそうに眺める俺……いいねぇ、幸せそうで……


 ここはショッピングモールに併設されている遊園地。そんなに広くないが、観覧車とメリーゴーランドはそれなりにちゃんとしたのが用意されている。

 それにしてもどうやって動かしてるんだろうなぁ。まぁ、おそらく魔法なんだろうけど、あの巨大な鉄の塊が動いているのを見ると魔法みたいだなぁって思う。まぁ、魔法なんだろうけど。


「楽しそう!!のりたいのりたいのりたい!!」


「ホンマやね。まぁ、僕は乗らへんけど」


「うぇ!?乗らないの!?」


 乗らないんかい!


 乗ってくれよ、こんなに乗りたそうにしてるんだからさ。


 てか、サンちゃんって観覧車乗れるのかな?

 観覧車なら乗れるか。


「ホンマに申しわけないわぁ。僕、高いところ苦手なんや。高いところに行くともう涙が止まらんくて止まらんくて……情けないわぁ、男として情けないわぁ~」


「そうなんだ……それなら仕方がないかぁ……」


「絶対に嘘だろ。絶対に乗るのがめんどいだけだろ」 


 サンちゃんはやっぱり子供だ。


 こんなの絶対に嘘に決まってるのにしっかりと騙されてる。


 ベルギの性格の悪さって意外とみんなにバレてないみたいなんだよな。

 まぁ、あんまり人付き合いよくないけどね、俺たち。


「酷い男やわぁ。サン?こんな人の心がないような人になったらアカンで?」


「それはお前だろ!俺には人の心あるわ!」


「もー!どっちでもいいから観覧車乗りたーい!」


 しびれを切らしたサンちゃんがそう言った。


 なんかもう三人とも子供みたいだな。


 いや、子供三人だったとしてももう少しちゃんとしてると思うわ。


「そのお願い、人の心があるアシヤはんが叶えてくれるんやて?よかったなぁ」


「やったー!いこー!」


「まぁ、いいよ!別に俺は元々乗るつもりだったからね?ベルギに言われなくてもね?」


 というわけで、ベルギを置いて二人で観覧車へ。


 てか、その間はアイツなにしてんだろ?


 本当に高いところ苦手とかある?


 そんなことを思いながら観覧車に乗った。


「うわぁー!すごーい!」


「……うわ、ヤバイかも……これヤバイかも……」


「どうしたの?もしかして高いところ苦手?」


「うわぁ……やめとけばよかったかも……ヤバイかも……」


 乗ったのはいいものの、ほとんど地獄の時間だった。


 よくよく考えたらモンスターとまともに戦えない俺に度胸があるはずもなかった。なので、ほとんど目をつぶりながら、なんだったらサンちゃんに心配されながら狭い個室で“ジッ”と地上へ戻るのを待っていた。ホントに俺はなにをしてんだろ。みっともない……


「ごめんね?なんか付き合わせちゃって……」


「いや全然?……いや全然?……」


「ダメだ。機械みたいになっちゃった」


 思ったよりもヤバい俺は近くにあったベンチに座ることに。


 もうダメだー。マジで、高所無理だー。


 俺はもうなんにもできないくらいに憔悴してしまっていた。

 その間にサンちゃんにお金を渡して二人分のアイスを買ってきてもらった。

 本当は三人分買わないといけないんだけど、いいだろ。

 ちょうどいいから今の内に買ってまえ!


「買ってきたよー。バニラでよかったんだよね?」


「いやー、ありがとう。ちょっとこれ食べ終わるまでゆっくりしてよう」


「そうだね。でも、ベルギはどこ行っちゃったのかな?」


 そうなんだよ。


 アイス買わなくてもいいのは都合がいいんだけど、どこ行ったんだろ?


 なんか行きたい場所でもあったのかな?

 まぁ、一緒に居ない方がなんか買わされることもないしありがたいけどね。


「……来ないね。なんだろ」


「連絡してみる?魔法で」


「まぁ、いいんじゃない?別にどっかで買い物してるだけだろうし」


 俺たちはアイスクリームを食べ終わった。


 それなのに、アイツはなぜか帰ってこない。


 これって本当にどういうこと?ホントになんか企んでるとかあるかな?もしくは、なんか予定をダブルブッキングしちゃったとか?どっか近くの場所で別の友人と遊んでたりとかする?そんなわけねぇか。


「ちょっと私!探してくるよ!」


「そう。なら俺はここで……ってそんなわけにはいかないか」


「いいんだよ?ムリそうならここで待っててもいいよ?」


 そんなわけにはいくまい。


 だって、こんな小さい女の子を一人で歩かせるわけにもいかんでしょ。


 はぁ……気が乗らねぇ。けど、もし仮に変なことかあったら俺も困るから探しに行ってみるかぁ。


「よっしゃ!それじゃあ、探しに行ってみますかぁ。ごめんな?アイツが自分勝手なばかりにこんなことになっちゃってさ」


「もしかしたら事件に巻き込まれてるのかもしれないじゃん!あんまりそういうこと言っちゃダメだよ!」


「それもそうですな。すみませんね」


 あんまり正論言わんでくださいな。


 こんな小さい子に正論言われるとちょっと落ち込んでしまう。


 でもなぁ、絶対に探しに行く意味ないんだよなぁ。

 なんかそんなにヤワな人間なはずがないからな、アイツ。



他にもたくさん同時連載してます!

もしよかったらみてみてね?

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