EP71
「こんな夜明けに似合わないことをしてる連中が居ると思ったら、
その二人共が顔見知りだったからビックリしたわ」
ミカエルはそれぞれ俺と不良少女に目を配ると腕に掛けていたレジ袋に手を突っ込むと、
買ったばかりであろうコンビニのシュークリームを開け食べ始めた。
「え、こいつ美香さんの知り合いなんすか!?」
信じられないと言わんばかりの声量でミカエルに確認をする不良少女の目を見て
ミカエルはリスの様に頬を膨らませ無言で頷いた。
口に中に放り込んだシュー生地とクリームを咀嚼もせずあっという間に
「ごっくん」と大きな喉音と共に飲み込むとミカエルは答える。
「えぇ、そうだけど・・・そんな事よりも貴方たち二人の間に何があったのよ」
まぁ、知り合いの一方がもう一方に羽交い絞めにされてればそんなことも聞きたくもなるよな。
「こ、こいつが睨んできたんすよ」
「はぁ・・・呆れた。貴方なんの為に奈乃先輩の元で働かせてもらってるのよ。
そうやってカツアゲ紛いのことをしなくても手元に一定のお金が入ってくる為でしょう?」
「い、いや!違うんすよ!
財布を取ろうとしたのはせっかくだからついでにやったまでで、あくまでおまけです!
メインはガン飛ばしてきたのがムカついたからで」
「なら尚更タチが悪いじゃない」
ミカエルは更に呆れた表情を強め、シュークリームを持っていた方の
手の指に着いたクリームを舐めとりつつもう片方の拳で不良少女の頭を小突いた。
「というか、貴方はいつまで地面で寝ているつもりよ起きなさい」
きつい口調でそう言いつつもミカエルは先ほど小突いた拳を広げ横たわる俺に差し出してくれた。
「悪いな、よこらっせと」
「うわー、貴方ジジ臭いわよ」
「全身が痛いんだから仕方ないだろ、
というかお前とこの子顔見知りみたいだけど、どういう関係なんだ?」
俺は特に痛みのヒドイ下半身の腰やもも擦り労りながら気になっていたことを尋ねた。
「少し前に、知り合いの人と街を歩いてたらその子に絡まれて相手をしてあげてからの仲よ」
「どんな仲だよ」
それ、因縁とかそういう類のやつじゃないのか?
にしては、不良少女の方から聞こえた声には親しみが込められてた様にも聞こえたのだが。
「何よ、貴方と私の初めも似たようなものじゃない」
あぁ、そういえば俺初めの方ミカエルに殺されかけたんだったな。
ーーーーー
「まさか美香さんのお知り合いの方だったとは、本当にすンませんでしたッ!!!
俺、掌良と言って美香さんの舎弟をさせてもらっている者です!」
「いや、いいんだ。訳あって普通の人間より頑丈だからこんな怪我もすぐに治るよ。
それよりもこんな華奢な女の子に負けたっていう事実の方が傷つくよ」
「圭吾、掌は男よ」
まさかの事実に驚き思わず良ちゃん・・・じゃなくて、
良君の顔を見ると少し恥ずかしそうに俯き気味に答えてくれた。
「じ、実はそうなんすよ。紛らわしくてなんか、ホントすんませン」
「それよりも、掌?私、言ったわよね。普段からもっと可愛い服を身に着けて生活しなさいって、
それなのに何よその無骨なジャージ上下は」
「え。い、いやぁ・・・。
これが落ち着くって言うか、スカートって股がスースーして変な感じなんですもん」
「それがいいんじゃないの」
「え、どういうことっすか?」
「その慣れていないスカートを履いた貴方の反応を楽しみために命じているだもの」
「なんすか、その悪趣味は。ホント、美香さんって悪魔みたいな人ですよね・・・」
「ふふ、勝手に言ってなさい。っと、もうこんな時間そろそろ朝の活動が活発的になるわね。
それじゃあ圭吾、また学校で会いましょう。掌もたまには中学校に行きなさいよ」
ミカエルの言葉に反応し携帯の時計を確認すると確かにそろそろ朝に向かって人が起き出す時間だった。
「悪い、俺もそろそろ家に帰らないと良君また今度ね」
「はい!俺普段喫茶店でバイトさせてもらってるんで良ければ美香さんと一緒に今度来てください!
美香さんのお知り合いならきっとマスターも腕ブン回してサービスしてくれますよ。
俺も精一杯接客させていただきます!」
ヤンキーには似合わないその屈託のない笑みを見る感じ良君の接客は期待が出来そうだ。
俺は良君の笑顔と身振りに笑顔で手を振り返すと自宅へと帰宅した。




