EP70
目が覚め枕元に置いている携帯の画面を光らせ確認すると時刻は午前3時。
学校が始まるまでまだ時間もあり二度寝をしようと試みるも中々に寝付けない。
隣で寝ているサタンを見てみるとヨダレを垂らして妬ましい程気持ちがよさそうに就寝している。
起きてから30分ほど経ってみ睡魔の気配が感じることが出来ない俺は着替え玄関へ向かうと
近所のコンビニに向かう眠っているサタンを起こさぬようにゆっくりと玄関のドアを閉めた。
普段出歩かない深夜の空気はとても澄んでいて夏が終わったことを感じさせるには十分だった。
夏休み期間巨大なイカと対峙したりと色々あったが無事秋を迎えることが出来た。
ただ、秋になってからかミカエルと遊ぶ機会が少し減っていて何だか寂しいうような気もする。
そんなことを考えていると目的地であるコンビニにたどり着いた。
このコンビニは一番近所にあるわけではないのだが一番気に入っている系列だから、
少し遠いが足を延ばした。
コンビニへ近づくと出入口付近に一人の柄の悪い少女がヤンキー座りでたむろしているのが見えた。
視界に入ったのでつい目線を向けてしまったのだが、
それが悪かったみたいでたまたま目が合ってしまった。
「・・・おい、なに見てんだよ」
「す、すいません」
「すいませんじゃなくて、なんで見てんだって聞いてんだよ」
俺がつい謝るとそれがまた逆撫でさせてしまったみたいでヤンキー座りをしていた柄の悪い少女は
ゆっくりと立ち上がると俺の額に自分の額をピタリとくっつけガンを飛ばしてきた。
「・・・こっちこいよ」
少女はしばらく黙って睨んだ後静かにそういうと俺の首根っこを掴むとコンビニ裏の人目がつかない
位置へと引きずり込んだ。
俺は内心とてつもなくメンドクサイ事になったなとは思いつつも、
自分が普通の人間よりも丈夫な身体で少し間へにも猟奇殺人やら、巨大イカと戦い勝った過去もある為
別に恐くはなかった。そんな自分がただの人間に負けるわけないからだ。
だから俺は仕方が無くその喧嘩を買うことにした。
ーーーーー
結果から言うと、俺は今ボロボロの状態で夜が明け始めた空を見ながら横たわっていた。
「ったく、痛い目見たくなきゃ二度とガン飛ばしてくんじゃねぇぞ」
倒れ込んだ俺の腰元のポケットから財布を抜き取ろうと腕を伸ばしながら不良少女は
そんな理不尽な事を俺へと言う。
だが今の俺にはそんな言葉に反論をすることすら出来ないぐらい冷静さが欠けていた。
(こんな小柄で非力な肉付きを感じさせる細い手足なのにどうして今の俺が勝てないんだ?)
始まる前はこんな喧嘩軽くいなして力の差をチラ見せさせれば恐れて足を巻くだろうと
考えていたが何故かこちらの攻撃を簡単に避けられ続け、
しまいには指へ大量に嵌めている銀アクセサリーを纏った拳から繰り出される攻撃の全てが
俺の顔や腹といった弱点へと的確にクリーンヒットし最初こそは持ち前の人並外れた
打たれ強さで耐えていたが一向にターンがこちらに渡らずペースを握られたまま今の体勢に至る。
俺は最後もの抵抗として腰ポケットを漁ろうとしている少女の手から逃げるよう腰を大蛇の様にくねらしていた。
「おい、お前。その気持ちの悪い動きを止めろ!」
その言葉に俺は反論もせず無言でひたすらくねりを続けた。
先ほどの喧嘩で口の中はとうに切れ散らかしていて喋ると口の中の傷口から血がさらに溢れ出し、
最悪な味が広がるのだ。
腫れ、半開きにしか出来ない目から立ち上がった少女を見上げると、
次に少女はまるでサッカーボールを蹴るかのようなフォームを取りだした。
衝撃で俺の身体の動きを止めようとしているのだろう、だが俺だって別に本当のボールという
わけではない振ってきた足を避けようと少しで身体を動かす。
少女の足が降り初めもう少しで俺の腹へと衝突するというタイミングで
「何をしているの貴方たちは・・・」と呆れを含んだ聞き馴染んだ声が聞こえてきた。
その声を聞いた瞬間かけられたのは俺だと思い振り向いたがその瞬間、
何故か不良少女の方も同じような顔をして同タイミングで振り向いていた。




