EP69
「な、生言ってすいやせんでしたぁ!!!」
頬に一筋の切り傷を作った不良少女はこれでもかと言わんばかり地面に額を擦り付けながら。
全力で土下座をして私の靴に向かって謝り倒した。
別に私としては敵意が無い目の前の人間にこれ以上執着するつもりもない。
「・・・まぁ、私はもういいわ。それよりも奈乃先輩ですよ」
「え、私?う~ん私も許してあげた方が良いと思う、だってなんか可哀想になってきたし」
まぁ、フッかけられた奈乃先輩本人がそういうのなら私もいいのだが。
「か、かたじけないです!!!」
見逃してもらえることになった不良少女は土下座の体勢から立ち上がり背筋を伸ばし
立ち上がり頭の位置で敬礼をした。
「俺、掌良。このご恩に報いる為是非、舎弟にしください!!!」
「・・・は?」
許したのだからさっさと立ち去れってくれればよいのに掌良は自ら軍門に下りたいと申してきた。
「俺雑用でも何でもやります!だから何卒宜しくお願い致します!」
「いや、だから別に要らないし・・・」
と、断るつもりだったがふと目の前のポケ~っとした面をしている奈乃先輩を見て思った。
きっとこの人は今後も街に来るたびこういう危ない人間に絡まれることも多くないはず、
それなら奈乃先輩を守る存在も必要だ。
「分かったわ、その代わりに条件があるわ」
「も、勿論!ドンっと来いです!!!」
「そこに居る奈乃先輩のボディーガードになって奈乃先輩の言うことをちゃんと聞くのなら
舎弟にしてあげる」
私がそう言いうと掌はノンストップで奈乃先輩の方に向き
「至らない点あるかと思いますが、よろしくお願いします!!!!!」
と、大きな声と共に綺麗なお辞儀を披露した。
奈乃先輩の方はとういうと何が何だかよく分かってないみたいだったが、
感覚的に友達が一人増えたと捉えているみたいで嬉しそうに「よろしくね、良ちゃん!」と
握手を求め手を差し出した。
だが、掌は先ほどの威勢の良さを途端に失うと急にもじもじとし始めた。
「良ちゃん、もしかして握手嫌だった?」
「その・・・俺、異性と触れ合った経験が全くなくてあ、握手も始めてでして」
「「え?」」
私と奈乃先輩同時に声が出た。
「あ、貴方もしかして・・・、女性じゃなくて」
「え、俺男ですよ」
「し、信じられないわ。ちょっと学生証を見せて」
「え、了解っす」
掌から受け取った学生証には確かに男性である事、
そしてこの付近の中学校に在学している事がしっかりと記載されていた。
顔が中性的で髪も長く声変わりしてないせいか声が普通の男性よりも高いので気が付かなかったが
どうやら本当に男性のようだ。
驚いている私と裏腹に奈乃先輩は嬉しそうにしている。
「わぁ、弟が増えたみたいで嬉しい。
それにビックリしたよ、だって良ちゃん女の子みたいなんだもん!」
大型犬を愛でるように奈乃先輩は掌をハグすると撫でまわし愛で始めた。
排気ガスの匂いが充満する路地には似つかわしくもないなんとも和やかな光景だ。
しばらくそんな事が続いたが奈乃先輩が撫でる手を止めた。掌の反応が少し前から無いのだ。
奈乃先輩が胸元から掌を解放すると掌は鼻血を吹き奈乃先輩の制服を真っ赤に汚し気絶していた。
ーーーーー
私が久しぶりにその店に入店すると、
ドアの上部に付けられたベルの音と共に馴染の声が出迎えてくれた。
「あー!美香ちゃん、お店の復活初日に来てくれたんだね。いらっしゃい」
「・・・悪かったね。わざわざご厚意にしてくれてるのに、
俺の怪我が原因でしばらく勝手だがお休みにさせてもらちゃって。いらっしゃい美香ちゃん」
私の姿を見ると奈乃先輩とマスターが快く出迎えてくれた。ただ一人を除いては。
「おい、初日から何してるんだ。早く入店してくれたお客さんに挨拶をしろ」
「うぅ・・・い、いらっしゃい・・・」
「『ませ』は?」
「・・・ま、ませ!」
ヒラヒラのウエイトレスの服を着た掌は手に持った銀のボンで顔を隠しながら恥ずかしそうに
お辞儀を披露し客である私を出迎えた。
「ふふふ、貴方その服似合ってわ。可愛いわよ」
「そんな言葉言われても、嬉しくないっすよぉ・・・」
嬉しくないと言いつつも掌は『可愛い』という言葉に反応し少し腰を引き前屈みになった。
何故、掌がここで働いているかと言うと奈乃先輩の提言だった
ーーーーー
「良ちゃん、お金が欲しくてカツアゲをするならアルバイトしてみない?」
「奈乃さん、お言葉は嬉しいんすけど俺はまだ中学生なんで無理なんすよ」
「実は、私が今働いてるお店ね私が中学生の頃から雇ってもらってるんから理由を離せば
良ちゃんも働けると思うの」
「ほ、本当すか!
それなら是非、やらしてください!自分どんなキツイ仕事でもこなしてみせます!!!」
ーーーーー
ということがあり。
吐いた言葉を飲み込むことも結局できずに、掌はこのお店に無事アルバイト入社が決まったのだった。
「ちょっ!?美香さん!スカートを捲るの止めてもらっていいすか」
「えぇ、なんでよ?」
「うち、そういうサービスやってないんすよ」
「でも、貴方私の舎弟で何でもしてくれるのよね?」
「・・・それはそうすけど」
その言葉に弱いらしく掌はスカートを掴んでいた手の力を抜き私の意のままに
スカートの中身を晒した。
最初は舎弟なんてメンドクサイ状況になる、と思ったけどこれは面白いおもちゃが手に入ったものね。




