EP67
学校が終わると放課後の日課として数多を連れスイーツ巡りに行く毎日だったが今日は
前日からあのゴーレムたちの様な発明品を作り続けているようで
「すまない、急いで帰らなければいけないんだ」断られてしまった。
仕方が無いので圭吾を誘うと思ったが今日に限ってはこちらが話しかける前に
教室を急いで飛び出してしまったらしく、探した時には既に教室内には居なかった。
あいつは(サタン)は論外なので机に突っ伏して涎を垂らしながら気持ちよさそうに眠っていたが
声を掛けることもせずスルーして私は教室を出ることにした。
「美~香~ちゃんっ!」
「ん?」
一人校門から下校しようとしていたところ、
聞き馴染のある声と共に私の背中にその人が抱きしめて来た。
「奈乃先輩、どうしてここに?」
「えへへ、ビックリした?」
正直言うほど、というか普段から命を狙われるているのでこれぐらい慣れっこなのだが。
自身ありげな顔でビックリしたかの確認を尋ねる奈乃先輩の顔を見ると正直言うのは申し訳なく感じる。
「・・・えぇ、まぁ。はい、ビックリしました」
「本当?じゃあ、大成功だねっ!」
奈乃先輩は人から私の気遣い等気にしてない様子で笑って利き手でVのサインを作ってみせた。
一体何がどうしたら大成功なのかよく分からなかったが奈乃先輩は満足そうに
私の隣を歩き始めた。恐らくしばらくは付いてくる気なのだろう、というより本来今の時間はバイト中のはず。
何か私へ予定があって離れた他校にまで足を運んで来たのだろう。
私は普段一人で歩く時よりも歩速を遅らせ奈乃先輩の隣をキープすることを心掛けた。
「それにしても奈乃先輩、この時間バイトは大丈夫なんですか?」
「実は、マスターが階段から落っこちちゃって利き手を骨折しちゃってね。
料理やコヒーの提供が出来なくなっちゃったからしばらくお店はお休みなんだ」
「それは、また・・・。奈乃先輩その分の収入は大丈夫なんですか」
「それがマスターが「自分の不注意の結果従業員の生活を脅かすのは申し訳ない」って普段入ってる時間と同じ時給を出してくれるらしくて。だからしばらくは私放課後暇なの」
あの店主初めて会った時から思っていたがとことん奈乃先輩に甘いな・・・。
「それなら私この後どこかのお店で甘い物を頂こうと思っているんですけど
一緒にどうですか?奢りますよ私」
「ほ、本当に!?
あ、いやでもやっぱり先輩の私が後輩の美香ちゃんにお金を出させるなんて申し訳ないし」
「いいんですか?この後行く予定のお店、
厚いのにふわっふわで口に入れたらすぐに溶けてしまう程軽くて有名なパンケーキのお店なんですが」
「ぱ、パンケーキ!?・・・でも私は先輩だし・・・うぅ、でもパンケーキ・・・」
奈乃先輩はしばらく涎を口から垂らしながら両手で頭を抱えていたが急に顔を上げると、
「美香ちゃんお世話になります!」と綺麗なお辞儀を披露した。
食べたいのなら初めから素直になればいいのにとも思ったが、
奈乃先輩を魅惑の言葉で誘惑し我ながら天使らしくなくどちらかと言えば悪魔の囁きの様な意地の悪いことをしてしまったなと少し反省をしつつ。
まるで小さな子供の様な純粋で面白い反応をする奈乃先輩に意地悪する楽しさを覚えてしまい
今後も奈乃先輩を弄る欲を抑えられる気がしないなと思った。
ーーーーー
「パンケーキっ♪パンケーキったらパンケーキっ♪」
学校からしばらく歩き街に入ったことでお店も近づきもう少しでパンケーキにありつける
奈乃先輩は上機嫌に即席で作り上げたであろうメロディーラインもガタガタな
オリジナルソングを歌い始め、時折合いの手として奈乃先輩のお腹が鳴ることもあった。
そういえば、奈乃先輩。昼ご飯と夜ご飯はお店で出る賄いで補っていて自分が一日一食にしている分
弟さんへしっかりとした量の食事を食べさせているなんてことを言っていた覚えがある。
それを踏まえれば腹を鳴らして鼻歌を奏でスキップになるのも仕方ないのかもしれない。
あと数分歩けばお店に着くのでそれまでもう少し辛抱してもらいたい。
「あ、ごめん美香ちゃん。私ちょっとお手洗いに行きたいからお店に着く前に寄り道してもいい?」
先ほどスキップをしてたと思えば、
今度はその場で足を止め奈乃先輩は両足をもじもじとさせ恥ずかしそうに言った。
「構いませんよ。ちょうどそこを曲がれば路地に公衆トイレがあったハズです。
私ここで待ってるので済まして来てください」
「えへへ、ありがとう。行ってくねすぐ戻るよ!」
言っていなかっただけで実は結構我慢していたのか、
奈乃先輩は忘れずに礼を言うとすぐに駆け足で路地にある公衆トイレへと向かって行った。
ーーーーー
携帯の時間を確認する。
既に時間は10分を経過しているのに奈乃先輩は戻って来る様子が無い。
行く際「すぐ戻る」とも言っていたのでてっきり花摘みと思ったのだが違うのだろうか?
私としてもお腹が空いているし何より早く甘い物を食べたい焦る気持ちもある。
最中に扉を叩き確認をするのは少し忍びないが私は路地の公衆トイレへと向かった。
路地を進むと公衆トイレの前では、
奈乃先輩が背丈の低い黒髪に金色メッシュが入ったヤンキーの少女に何やら絡まれている姿があった。




