表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/69

EP56

「ゴォン、ゴー!」と普段の俺の家からは聞こえてこない掃除機の稼働する音が

昼間から室内に鳴り響いていて何だか落ち着かない。

「ふぅ・・・まぁこんなものかしら」

どうやら掃除機の出番が終わったらしく、ミカエルは掃除機を元の位置に戻し充電のセットをすると

身体に付着した埃を落としにベランダへ出て行った。

パンパンッ!と埃をスカートから落とすミカエルの後姿をボーっと見ていると

埃を落とし終え室内に戻ろうと振り返ったミカエルと目が合った。


俺に目を合わせると何かを言いたげな顔をし、

ベランダに置いていたサンダルを脱ぎ揃えると室内に戻った。

「貴方ねぇ、せっかく実家を出た際にこんな立派な掃除機を持ってきたんだったら

定期的に掃除機を使用しなさいよね。

埃を吸って掃除する道具の掃除機が埃を被っているなんてどんな冗談よ」

俺がこっちへ越してくるときに実家から一緒に持ってきた掃除機は、

普段から母親が使っている姿を見て来た為相まってか、今のミカエルは母親にしか見えない。


エプロンの効果かミカエルを頭の中で母親だけでは

飽き足らず新妻に置き換えてしまっている自分が居る。

顔が良く、料理も出来て掃除もしてくれる。そして程よく尻に敷いてくる。

なんて理想なお嫁さんなのだろうかこの天使は。

なんて考えているとミカエルが俺の顔に

キッチン周りに使用する消毒液を俺の顔に向かって噴射してきた。

「ペッ、ペッ・・・いきなり何すんだよ」

「なんか気持ち悪いこと考えてそうな汚い顔をしてたから綺麗にしてあげただけよ」

「もしかして、天使って思考を読めたり・・・?」

「出来ないわよ、そんな事。というかそう言うってことはやっぱり図星じゃない貴方」

俺を蔑んだ目で見ると、ため息を残しミカエルはキッチンへ移動した。


「もー、何よこれ。このウィンナーの賞味期限とっくに過ぎてるじゃない」

キッチンへ行きすぐミカエルの悲鳴が聞こえた。

原因は普段料理をしない為掃除などをしない冷蔵庫から出て来たウィンナーだ。

「別に、賞味期限くらいいいだろ?」

「そういうレベルじゃないくらいには既に日が経ってるからこうして言ってるのよ!」

鼻をつまみ変声で叫んだミカエルはそのままウィンナーをゴミ袋へと突っ込んだ。

どうやら放置していた期間が長すぎて異臭を放っていたらしい。

その後もミカエルによる我が家の冷蔵庫抜き打ち検査は続いた。


「何よこれ」

「あぁ、それ?ちょっと高いカップ麵の残り汁」

「ちょっ・・・なんでそんな物を残してるのよ。浮いた油完全に固まってるじゃないの!」

「いつか、冷凍うどんを食べるときにその汁に入れるんだよ」

「キッッッッショ!!!身体にも悪いし気持ち悪いからやめなさいよね!」


「圭吾、貴方って確か普段料理しないはずよね?」

「そうだけど?」

「ならなんで、こんなに沢山のわけのわからない調味料がこのキッチンに配備されてるの?」

「普段しないけど、たまにネットの料理動画とか観てたらしたくなって色々と買っちゃうんだよ」

「料理しようとする心構えは褒めてあげる。でもね?こんなクミンやシナモンだったり、

その料理を作るときぐらいしか使わないような普段使いしづらい調味料を使う料理は自重しなさい」


「貴方、なんで飲み終える前に次のペットボトルを開ける?

同じペットボトルが3本も飲みかけの状態で放置されてるじゃないの・・・って、

一本蓋の締めが緩くて漏れてるじゃない!?布巾!布巾はどこに置いてるの!?」

「ほい」

「ありがとう。ふぅ、一先ず床に零れた分は綺麗に拭き取れたわ・・・。

ちょ、これ・・・布巾じゃなくてあ、貴方の下着じゃないの!?」

「布巾なんて用意してなくて、いつも適当な衣類で拭いてるから仕方ないだろ?」

「仕方ないワケないでしょうが!それに一体のどこに女性に自分の下着を掴ませる変態が居るのよ!」


「はぁー・・・疲れたわ」

一通りキッチン周りを掃除したミカエルは、他に溜まっていた衣類を先ほどの下着と一緒に

洗濯機に入れ回した後、育児に疲れたお母さんの様なぐったりとした表情で横になって床へと倒れた。

「お疲れ様」

「えぇ、貴方とサタンのせいでそれはもう、ドッと疲れたわ」

「これ、お礼に食べてよ」

「・・・あら、ケーキ?気が利くじゃない。でもいつの間に?」

「お前が掃除してくれてる間に近所で買って来たんだよ。一緒に食べようぜ」


さすがにあれほどの重労働をさせたままだと、ミカエルに怒られしまいそうだったので。

甘いモノ好きなミカエルに俺は労いのケーキをお礼として用意しておいたのだ。

俺達二人はちゃぶ台で向かい合う形で足を崩し昼下がりの小さな幸せとしてケーキを食べ進め始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ