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EP52

「何、そんな必死で数多の事を目で追いかけてるのよ」

しばらく眠っていたのか眠そうな声でミカエルが声を掛けてきた。

「な、そんなんじゃないって」

「普通の男なら胸のデカい今のサタンに見入ると思うんだけど・・・やっぱり圭吾貴方、

ロリコンなんあじゃないの?」

「だから違うって」


ミカエルの疑惑から逃げるように目線を変えるとその先には楽しそうにケルベロス三姉妹と

砂を弄る心の姿があった。

「・・・やっぱりロリコンじゃない」

「たまたまだよ!?」

「本当に?本能でそっちに向いたとかじゃなくて?」


俺がいくら否定しても引き下がらず疑惑の目を向けてくるミカエルに次の反論を考えていると、

「な、なんじゃこりゃー!」と興奮気味のサタンの大声と共に大きく海が割れる音がした。

なんだなんだと身をパラソルの陰から乗り出し海の方を見てみると。

そこには巨大なクラーケンが海から顔を出していた。・・・本当になんだよあれ!?


唐突な巨大イカ登場のに困惑していると砂場で城を作っていた心とケルベロス三姉妹が

海から離れたパラソルへと非難してきた。

「かなり近くに居たみたいだけど大丈夫だったか?」

「う、うん。三人が私を連れて避難してくれたから。

でも一体、海で何が起こってるのお兄ちゃん?凄い音がしてたけど」

目が見えない心は突然の出来事に困惑していた。

「信じられないかもしれないけどな今さっき海から巨大なイカ、クラーケンが顔を見せたんだ」

俺は状況の見えない心に先ほど起こった出来事をそのまま誇張なしに話した。


「な、何を言ってるの?お兄ちゃん・・・。

もしかして長い時間太陽の下に居たから熱中症にでもなちゃったの?」

「違うんだ、俺はおかしくなんかない。おかしいのはあのイカだけなんだ」

「ご主人。状況が状況なだけあって飲み込みずらいかもしれませんが、

圭吾様の言っている事がそのまま現実に起こったんですよ」

未だ疑っている心に信じてもらおうとマナも一緒になって事の重大さを伝える。

「ほ、本当なのマナ?」

マナの真剣な物言いにどうやら心も分かってくれたみたいで、

その声には恐怖の感情が入っていた。

怖がらせるのは当然趣味じゃないが、緊急事態の場においては

そこの感覚がマヒしてる方が逆に危険にさらされてしまう可能性が高い。


と、ここである事に気が付いた。

この皆が避難してきたパラソルにサタンと数多先輩の姿が見えない。

「あの二人はどこだ・・・?」

どこにいるのかと辺りを見渡す。

確かあの二人は海の浅瀬でビーチボールを使って遊んでいたはず。


「・・・?け、圭吾様あれを!」

普段冷静なレフがクラーケンの方に身を凝らしたと思ったら、

突然焦りながらそのクラーケンへ指を差した。

「あのクラーケンの触手の内二本にそれぞれサタン様と数多様が捉えられています!」

「なんだって!?」

よーく、よーく!目を凝らすと確かにクラーケンの触手に捕まったもがいている

二人の姿があった。

正確にはサタンは必死に抜け出そうとしているが、数多先輩は力尽きているのか

もう諦めた顔をしていた。

数多先輩に至ってはもっとあがけよ!人生の最後が巨大イカの触手の中でいいのかよ!


俺達は急いでパラソルから飛び出し砂場へと戻った。

「おーい!二人共無事か!」

「ケイゴ!今のところオレは無事だ。

けど、上手い事身体を触手に縛るような形で捕まってて身動きが取れないんだ!」

サタンはなんとか身体を動かし脱出を図るが触手はビクともしない様子だった。


「数多先輩そっちは大丈夫ですか!」

「あぁ、サタン君でも脱出が出来ないようなら。私の方はもう駄目かもしれないな。

きっと私はこのままこの触手に薄い本の様に酷い辱めを受けてしまうのだろう」

「いや、辱めとか。そんな生ぬるいもんじゃなくて、多分海に引きずり込もうとしてるんで

薄い本は本でもハードリョナ系みたいに水攻めで殺されますって!」

一応助けようとしているのだから、

数多先輩も助けられる側として最低限生きようとしてほしいんだが。


「ん、んんん?け、圭吾様ぁ!あ、あれれれっ見てください!」

何かを見つけたようでラトが俺にクラーケンの触手の内の一本を指差した。

「あ、あの触手に、な、何かリボンが巻き付けてありますぅ!」

うねる触手に注目すると確かにピンクの可愛いらしいリボンが触手に巻かれていた。


「ピンクのリボン?・・・ねぇ、お兄ちゃん。

そのリボンが巻いてある触手って、もしかして右から見て三番目?」

話を聞いていた心が見えていないというのにそのリボンが巻き付いてある触手の位置を言い当てた。

「そうだけど、どうしてわかったんだ?」

「その巨大なイカもしかしたら、

私がもっと幼かった頃に家族でこのプライベートビーチに訪れた時に

海で出会ったイカの「ゲソっち」かもしれない!当時小さかったあの子にお別れの時

私がピンクのリボンを付けてあげたのを覚えてる」


「え、てことはあのクラーケンは元を辿れば普通の小さなイカだったってことか?」

「そ、そういえばその時なんだけどね?

私のパパとママがその時の帰りの前に「また、次来た時もっと色んな海の生物を見たいから」って、

船の上からとある会社に作らせた特注の凄い効くって言ってた栄養剤を海に撒いてたよ」

って、ことは・・・諸悪の根源は心のお父さんとお母さんじゃなイカ!?

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