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EP49

今にも騒音の痛みから機能を停止してしまいそうな耳を優しく手で撫でながら

労わっていると被害を受けた俺達とは違い、

満足そうなサタンから「次、ケイゴの番な!」とマイクを渡された。


(こいつ・・・誰のせいでこうなっていると思ってるんだ)と

思いつつもカラオケボックスというのはハッチャケル場所である場所であることを考えると

(まぁ、仕方ないか)という気持ちが湧いてくる。

俺はサタンからマイクを受け取るとリモコンから今CMで起用され人気の流行りの曲を

そつなく歌い終えた。少しつまらないようにも思えるが普段歌う人間ではない俺にとって、

いざ選べと言われると出せる物はこれくらいだ。

ただこの場に居る者たちには以外にも受けが良かったみたいで、

「おー、よくテレビで聴く曲だ。それにしてもケイゴ上手いな!」

あまりこの世界の曲に詳しくない存在がオーディエンスの場合は一番良い選択だったようだ。


歌い終わり次に俺は数多先輩へマイクを渡す。

「次は僕の番か。いやぁ、初めてだから緊張するねぇ・・・キシシ!」

と言いながら数多先輩が選曲したのはいわゆる萌えソングだった。

リモコンからその曲の情報を見てみると2010年に放映されていたアニメのOPらしい。

歌詞もだが一番気になったのは数多先輩の声だった。

普段の数多先輩はいつも眠そうな低い声なのに萌えソングを歌っている時の

数多先輩はアニメ声に変わっておりその声は媚びっ媚びだった。

さらに踊りながら歌うのでまるでその様はアイドルの様にも見えた。


「~♪はぁ・・・はぁ・・・ご清聴どーも、ありがとう」

最後に決めポーズをビシッと取り決めた数多先輩の額には冷房が

ガンガンに効いている部屋とは思えないほど汗を流していた。

だがその顔は清々しくアイドルから今度はアスリートの姿をしていた。


「それじゃあ、次ミカエル君ね」

先ほどから歌っている俺や数多先輩の曲に見向きもせず

一心不乱にスイーツを食べては注文を繰り返していたミカエルに数多先輩は恐れも知らずに

マイクを手渡した。当然ミカエルは嫌そうな顔で聞き手に握るフォークを離そうとしなかったが

数多先輩のしつこいくらいの上目遣いに折れフォークからマイクへと持ち替えた。


そんなミカエルが選んだ曲は讃美歌だった。

特別宗教に興味が無い俺は(どういう選曲なんだ・・・?)と思っていると

サタンが突然暴れ出した。

「あ、あた!頭が割れr」

「ど、どうしたんだよいきなり」

暴れるサタンに困惑しているとミカエルがニヤリと笑った。

「フフフ・・・このまま貴方を浄化してあげるわ」


最近仲がいいのではと思い始めていたがミカエルはやっぱり悪魔が嫌いらしい。

というか、サタンから悪魔の力を分けてもらっているからか

俺の方も少し気分が悪くなってきたような・・・。

段々と身の危険を感じていると讃美歌にサビという概念があるかは分からないが

サビの様な盛り上がりパートに入り頭が割れるように痛み始めた所で

俺はリモコンからの操作で曲を途中終了させた。

結局その後体調が悪くなりカラオケボックスにこれ以上滞在できなくなった為

しばらくし今日は解散することにし、サタンはその後テストで無事赤点を取った。

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