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EP47

「ヤバイ、ヤバイぞ。ケイゴ!」

午前最後の授業が終わると同時に隣の席のサタンが俺の腕をグワングワンと揺らしながら

緊急事態であることを訴えてきた。

その訴えに応えサタンに振り向くと同時にこちらのターンを無視してサタンが続けた。


「ら、来週テストじゃないか!?」

「そら、そうだよ。もう夏休みだし」

「ど、どうしよう・・・」

焦りの色を見せながらサタンはボロボロの努力の跡が垣間見える教科書を取り出した。

「授業で学んだ内容何一つ覚えてないんだ!」

「ウッソだろ、お前・・・。

なら、そのボロボロの教科書は一体どうして出来上がったんだ?」

「投げて遊んでた」

「小学生か!」

それ今の娯楽で溢れた時代の高校生がやる遊びじゃないだろ。


何とかしてあげた気持ちもあるが、別に俺も平均的な学生よりズバ抜けて勉強が出来るわけでもない。

努力して何とかギリギリ平均点を維持しているレベルだ。

「け、ケイゴ。お、オレはどうすれば・・・」

「・・・こういうことは、あの二人に聞こう。幸い今から昼休憩だ」


いつもの階段に行く前に数多先輩宛に昼ご飯のお誘いをメッセージアプリで送り

俺と普段の気の強さが少し弱まったサタンは教室を後にした。


ーーーーー


「へぇ、そう・・・まぁ、せいぜい頑張りなさい」

予想通りミカエルはサタンの悩みに対し真面目に考えずむしろ鼻で笑った。

学業に関しても天使と悪魔は決して手を組まず敵対を維持するみたいだ。

「サタン君。実は僕の発明品の中に脳みそに直接差すことで生物の脳にデスクトップパソコンとしての

機能を付属できるUSB型の発明品があるんだが・・・どうだい?」

「どうだいじゃないですよ。悪魔に悪魔の囁きをするのは止めてください数多先輩・・・」

数多先輩に至ってはテクニカルなカンニングを提案してくるし・・・。


一瞬でも頼りになるかもと思った俺が馬鹿だった。

このままでは・・・せめて何かこの場で提案をしなければ。


「・・・あ!それなら、放課後皆でカラオケに行ってテスト対策の勉強会を開かないか?」

「勉強会?えぇ・・・私は別にいいかしら」

「僕は興味あるかな。カラオケって所に生まれてから一度も行ったことがなかったから興味がある」

「そう。なら三人で仲良く行くことね」

「ま、待ってくれミカエル。カラオケにもスイーツはあるぞ」

「でも、どうせ簡素なものでしょう?」

う・・・確かにそうだな。初めはフードコートのクレープで感激していたのに、

今や放課後に色んなお店に甘いモノを食べに行っているせいか舌が肥えて

カラオケのフードメニューじゃ今さら釣られないか。

でも、ここでミカエルに拒否されたらサタンの教師役が一人減ってしまう。

あわよくば俺の学力向上も助けてもらおうと思っていたのに・・・。


「ミカエル。放課後に仲間とカラオケに行くのも勉強会を開くのも一つの青春なんだ」

俺の「青春」という言葉にもうこちらに対し興味を示さず弁当を食べ進めていた。

ミカエルの手がピタリと止まった。

サタンからの命を受け俺の素晴らしい青春の手伝いをしているミカエルにとっては

聞き逃せない言葉。それが青春。

ミカエルは行儀悪く箸同士を「カチカチ」当て、しばらく唸った。そして、

「・・・はぁ、分かった。私も行くわよ」

相当サタンへの勉強指導が嫌だったみたいだが

ゼウスからの命令を無視することも出来ずミカエルは結局最後には折れたのだった。


ーーーーー


放課後になり校門前で集まると学校から一番近いカラオケ店ではなく、

ミカエルからの要望で少し離れたフードメニューの豊富さに富んだカラオケチェーンへと入店した。

店員さんから部屋に案内され皆で案内された部屋に入る。

カラオケなんて、あんまり行く機会もなく中学生の頃友達と休みの日に一度行ったのと

親戚のおじさんたちに連れられて行った一度、人生の中で二度しか経験が無く。

最後に行ってから時間も経っているので目に入る機材や、フードメニュー。

スタッフの方に繋がる受話器の一つ一つに対し新鮮さを感じる。


それは俺だけではなかったようで、数多先輩はカラオケの機材に興味津々の様で

「これを、組み込んで・・・歌唱ロボットや移動型のカラオケボックスを・・・」

刺激を受けさっそく新しい発明品を考え始めている。


ミカエルは「カラオケのスウィーツなんてチープでチンケな物でしょう?」と

散々馬鹿にしていたのにいざフードメニューを手に取ると、

そのきらびやかなプロモーションに目を奪われ、早速受話器から店員さんに

メニューの注文をし始めた。


そしてサタンは部屋内にあったマスカラやタンバリンを全身に身に着け、

サンバの様な踊りをしながら全力で騒音を奏でている。


今時チェーンのカラオケ店でこんだけ楽しめる集団なんて俺達以外に居るのだろうか。

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