EP45 VS首落沙苗4
「バレちゃったみたいだから、わざわざ隠す意味もないよね」
自身の真の武器であるサイコキネシスがバレた事により今までの闘いの中で演じていた
斧を持つ自然な仕草が必要で無くなった首落は、
斧を何もない宙に浮かばせるとジャグリングの如く宙で自由自在に動かした。
(器用だな・・・)
なーんて子供の頃ぶりに大道芸に口を開け驚いてると。
「圭吾様、来ます!」
ラトが叫んだと同時に宙を泳いでいた斧がこちらに向かって飛んできた。
勿論首落は微動だにしていない。斧だけが俺達に向かって飛んできている。
俺の方へと飛んでいた斧は直前で高度を下げ俺の足を横から刈り取るように仕掛けてきた!
寸でジャンプで飛び越える。
だが、避けてすぐに背後から嫌な気配がし振り返ると、
今度は俺の後ろで大きく縦に振りかぶりまるで薪を斬る様に俺に斬りかかろうとしてきている
巨大斧がそこには居た。
今度はそれを横に逃げ避ける。
「ガンッ!」と大きな音がしチラっと様子を見るとさっきまで居た場所の床が凹み
辺りに床だったモノの破片が飛ぶ散らかっていた。
ただ、どうやら首斧のサイコキネシスはピタリとは止まれないようで勢いを付けた分
空ぶった時は直ぐには止まれないし、見る限り反動も受ける様子だった。
今の俺がいくら身体能力や強度が悪魔の力で上がっているとは言え、
あんなん喰らえば一撃でお陀仏だ。
もはや今の状況はいわゆる「死ニゲー」に近い。
「け、圭吾様!右から来ます!
「左に避けてください!あ!こ、今度は上から!」
「次は左!?反対に避けてください!」
遠くから斧に狙われていないラトが指示を出してくる為、死ニゲーに近いとは思ったが
どちらかというと、プレイヤーではなくゲーム内のキャラクターに近いな。
ただ、こっちはゲームなんかじゃなくて現実だから強くてニューゲームなんて出来ないけど・・・。
しばらく避け続けていると攻撃が止んだ。
なんだ?と思い首落を見ると息が上がっていた。
「ぜぇ・・・はぁ・・・はぁはぁ・・・!ど、どんだけ体力あるんだよ!クソッ!」
斧の方もプルプルと震えていてどうやら様子を見る限りサイコキネシスには体力を消耗するみたいだ。
「もう、いい!」
俺の様子を見て仕留めるのに時間が掛かると考えたようで首落の斧の標的は
俺からラトに移った。
「え、ええええええええええええ!?な、ななななんで今になって私を狙うんですかー!?」
「うるさい、チワワ!黙って死ねぇ!!!」
大声で叫ぶ首落だったがラトも元が犬だけあってか
四足歩行で人間の姿なのにまるで犬の様な走り方で容易く斧を避け切っていた。
負けじと大暴れを見せる斧だったが
俺の目からその行動は首落の体力の限界で短期決戦を勝ち取りたいという思惑に見て取れた。
だがそれでも首落の斧捌きには隙が無かった。
何度も俺とラトが首落の本体を狙うがそれを巨大な斧に防がれてしまっていた。
「クソがぁ・・・っ!」
何度目か斧で俺の攻撃が防がれた時今までよりも斧が攻撃を受けきった時の反動が
大きくなっていっていることに気が付づき、
今の首落の姿はまさに”もう一押し”といった様子だった。
(なら、実際に押してみるか・・・)
その姿を見て、一つの妙案が浮かびあがった。
そこで俺はさらにもうしばらくラトに逃げ回ってもらうことにした。
「け、圭吾様~!そんな所で逃げ回る私を見てないで助け船の一つくらい
だ、出してくださいー!もしかして逃げ回る私を見ておっお楽しみなさって・・・。
ま、ままっま!まさか!そういうご趣味が!?そ、そういうことなら・・・お任せください!
私、そのご期待にお応えして見せます!」
ラトは何かこちらの思惑とは違う勘違いをしている様子だった。
(目的達成に近づいている。ま、まぁ構わない!首落の様子は・・・)
「はぁ・・・はぁ・・・!」
そろそろの様だ、次にチャンスが来たら”押す”!
そう思っているとそのチャンスはすぐに訪れた。
首落の斧がラトを追い回している過程でかなり距離が離れた。
その隙を見て俺は首落に助走を付け全力でライダーキックの様な蹴りを披露した。
首落は疲れからか若干の遅れが見えたが首落は俺の蹴りを防ごうと
自身の身体の方へとサイコキネシスで引き寄せた。
そして斧はしっかりと俺の蹴りを受け止めた。
「くッ・・・だ・か・ら!いくら攻撃しようって無駄だって!斧で全部届かないんだから!」
「それでいい!!!」
斧で防がれた後、その斧を足場に使い踏ん張り一度離れると、
俺は以前よりも成長した片翼を上手い事駆使し空中でUターンすると、
”再び斧を目掛けて”勢いよく蹴った。
結果、一度目の蹴りの際かなり反動を受け斧の身体に寄っていた斧は二度目の蹴りの反動を受け、
斧を盾にし後ろに下がっていた首落の身体をその刃で切り裂いた。
斧に斬られながら吹き飛ばされた首落は派手に転がり吹っ飛んでいくと
工場の壁に激突し腹部から多量の血を流しそのまま倒れ込んだ。




