EP44 VS首落沙苗3
「な、なんなんだ・・・?今になって突然。でも、このくらいの痛みならあって無いようなもの・・・」
「ドスン」と首落の喋りを遮るように何かが落ちた音がした。
その正体は首落の”左腕”だった。
「・・・た、確かに。私の口には牙がありません。ただ、一つ代わりに、ど、”毒”があります!」
「はぁ?毒って言ったて、
そんな人間の身体を腐らせる程の毒どこに仕込んでたんだよ、このセコチワワ!」
「・・・は、初めからです。この強力な毒は色んなお店で貰った後、
私の身体の中で独自に進化を遂げた殺人性病なんです!!!」
どうしてだろう。
目の前の苦戦している強敵にラトは一矢報いているというのに、全くかっこよくない!
ま、10割性病が原因なんだろうな。
「ちょと待って。じゃあ私は今、性病を身体に宿してるってことだよな?
ってことは私は未来の旦那とSEXがで、出来ないのか!?」
まさかの乙女チックな質問が首落の口から飛び出る。
「えぇ、もし、交尾なんてしようものなら。
あなたの膜に挿れた瞬間お相手の殿方の男性器は一瞬にして腐り落ちるでしょうね」
「ひぇ・・・」
俺の口から思わず悲鳴が漏れた。その場面を自分のモノで想像してしまったのだ。
(だ、大丈夫・・・腐り落ちてない!)
殺人鬼を目の前にしているというのに、その瞬間だけ、俺は自分のモノを弄った。
「さ、さぁ・・・これで、あっあ!あなたはもう武器である斧を持てないはず!
今すぐ降伏しろ!・・・し、してください!」
事実上無力化された首落にラトは探偵の様な張った人差し指でビシッと指を差し
降伏を促した。
まぁ、話を聞く限りじゃ今までも何人もの富裕層を殺してきたはずなので、
ここで降伏されても警察に突き出した後死刑になるだけだろうけど。
「・・・」
首落は黙り込み、動くのは首落の着るボロボロのドレスのみ。
「・・・はっ、ハハハハハ!」
状況に絶望しもう喋らないと思っていた中突然首落は自分の顔をくしゃくしゃにながら大笑いを始めた。
右手は顔をまるでチリ紙をくしゃくしゃに丸めるように。
肩から下が腐り落ち感覚や痛覚が無くなった左手は、
繋がっていた左肩だけが同じ動作で滅茶苦茶に動いていた。
「もう、左手が使えないから、斧が持てないから終わりだって?」
「だ、だから!そう言ってるんです!」
「・・・違うね。ここからやっと本当の真の戦いが始まるんだ。第二ラウンドがね」
「な、何を仰るんですか!?利き手で斧が持てなくなったあなたはもう終わりのはずです!
・・・それとも何ですか?実は両利きだ、とでも言い出す気ですか?」
「いいや、終わり?違うね、始まりさ。
なんせ、そもそも私は初めから斧なんて”持ってなかった”んだから」
(コイツ、何を言って・・・!)
首落の発言に困惑していると突然意味が分からない光景が目の前で起きた。
先ほどまで首落の左手側の地面に立たせる形で地面に差していた斧が浮かび始めたのだ。
(推定の域を出ないが、相当な重さのはず。そんな斧が浮かび上がるなんて・・・まさか!?)
始めて見た時からその体でどうやってそんな大きくて硬く頑丈な斧を持ち上げているのかと思ていたが、
そうか、首落の言っていることは本当なんだ。彼女は始めから斧を”持ってなんてなかった”。
”浮かばせたうえでまるで持っているかのように錯覚させていたんだ”!
「・・・ふふ、そこの片翼の君もやっと気が付いたみたいだね。
そう、私の真の武器はこの斧じゃなくて、超能力。”サイコキネシス”さ」
首落はまるでショーの中今まさに大技のマジックを成功させたマジシャンの様な
ポーズを取り自身の種を明かした。
そういえば戦いの中おかしい所はあった。
それは斧捌き、大きいのだから振ればその分抵抗を受けるはずなのに彼女の斧は減速していなかった。
いや、今考えればむしろ加速していた様な覚えもある。
サタンに斧で斬りつける・・・いや斧を叩きつけた時のあの異様なまでの重い一撃。
彼女は自身のサイコキネシスを操り斧を抵抗関係無しに自由自在に、そしてサイコキネシスで
無理やり斧に力を加えていたんだ。




