EP43 VS首落沙苗2
当たり前だが相手が一人に対してこちらは三人。
それに相手がただの猟奇殺人鬼に対してこちらは普通の人間じゃない三人だ。
普通なら数で圧倒してお終いのはず・・・なのだが対首落に至ってはそうはいかなかった。
その原因は首落の斧捌き。
あんなに大きい斧、ゲームなら普通「攻撃力は高いが攻撃速度は極端に低い」と描かれるはずだが、
実際現実、目の前に居る首落は軽々とまるで何も持っていないように器用に扱っていた。
何故だ・・・別に彼女が斧を持つ左腕は見てわかるような異常な発達をしているわけではないのに。
それに加え首落の斧の頑丈さは異常だった。
くどい様だが頑丈ならその分斧は、というか大抵の物の質量は重くなる傾向がある。
それなのに彼女の額には汗一つも流れていなかった。
サタンの繰り出す拳や炎もいくら強力でも、
攻撃が首落の身に届く前にその大きな斧を盾代わりにされ防がれてしまう。
(おかしい・・・。いくら頑丈な斧だとは言え拳はともかく、
炎までも防ぐだなんて、一体どんだけ頑丈で丈夫なんだ)
「ケイゴ!ラト!」
サタンの声に合わせ俺とラトはサタンと同時のタイミングで攻撃を合わせる。
いくらその斧が頑丈だろがデカかろうが三人同時に畳み掛ければ穴がつけるはずだ。
しかし、予想に反しその三人同時攻撃すらも首落は自慢の斧捌きで防いで見せた。
「・・・クッソ!」
敵の予想外の活躍にサタンも苦戦を強いられているようで苛立ちを表に見せる。
そんなサタンを見た首落は俺たちの攻撃が止んだ空きを見て、
サタンに向かて走り出し斧を振り下ろそうとした。
サタンも少し遅れたが反応し、急いで防御の姿勢を取った。
いくら直撃とはいえ自身の頑丈さなら問題ないと考えたのだろう。
それに反応に遅れたため避ける余裕はなかったのだ。
だが、そんな楽観的な予想に反しサタンはたったの一撃で吹き飛ばされ壁に激突してしまい
腹部から出血をしつつ、一撃でダウンしてしまった。
「サタン!」
「あの子・・・確かに強いかもしれないけど、戦闘が雑すぎ。
というかしっかりとした戦闘に慣れてないね、まるで防御がなってないよ?」
あれほどまでに強力な一撃を放ったにも関わらず首落は涼しい顔で酷評を言い放った。
「サタン様・・・!くっ、あなたッ!サタン様までもを!」
「・・・ナニさ?来んなら来なよ・・・そこのボンボンのガキみたいにボロッボロにしてあげる」
「こ、この・・・このクソ女がぁ!!!その首、嚙みちぎってやるッ!!!」
「おー、おー、恐い恐い。まるで怒ったチワワだ!」
サタンや心を貶されラトは恐ろしい程の声量を上げ一目散、
斧の盾なんか気にしないで首落に向かって飛び掛かった。
飛び掛かったラトだったが当然大きな斧で防がれてしまい、
斧とラトの顔面のぶつかる鈍い音が聞こえた。
しかし構わずラトは再び、そしてまた三度首落に向かって噛みつく。
何か計画性があるとはいえない行動に見るが何もせず立って居るわけには居られず
それに追従し俺も首落に、いや結果として首落の持つ斧に殴りかかる。
「ねぇー、意味ないって・・・分からないの?」
首落は相変わらず余裕な顔で斧を振り回し、
首をしつこく狙うラトとその逆に様々な急所を狙う俺の攻撃を全て防ぎきって見せた。
もはや子犬とじゃれ合う様な感覚の首落は、
防ぎきっている最中こちらを子馬鹿にするみたいに何度も笑った。
そんな中、突然ラトの狙う個所が首元から左腕に変わり初めてこちらの攻撃が首落に通った。
「ん?あなた牙が無いじゃない牙が無い犬に噛みつかれても、なぁーんにも痛くないわよ?」
言葉通り噛みつかれたにもよらず全く表情を変えていない首落はそのまま動きを止めず、
斧で俺とラトを振り払った。
首落の左腕には確かに噛みつかれ血が流れた跡が見えていることから本当にただラトの攻撃が
大したことがなかったようだった。
「こんな攻撃で、私の斧捌きを止められると思てるの~?
はぁ・・・もー、いいーや君たちを殺してそこのボンボンのガキの頭も潰す!」
俺達の手ごたえの無さに戦闘狂とも取れる発言をした首落はこの戦いにピリオドを打とうと
傍に置いていた巨大な斧に手を伸ばした。その時、
「痛っ!」
突然先ほど指を噛まれた左腕を掴みかなり遅れて首落が痛みを口にした。




