EP41
突然苦しみだしたラトに驚きつつも落ち着かせる為声を掛ける。
「お、おい。大丈夫か?どこか痛むのか?」
だが、ラトは俺の声かけにすぐに反応することができない状態の様だ。
「う・・・はぁ・・・苦しぃ・・・ぁ・・・ぁあっ!!!」
その姿を見て心配になり近寄ると同時にラトは身体を震えさせながら暴れ
ちゃぶ台の上の料理ごとひっくり返した。
「あ、あぁ・・・」
今日の食事を一番楽しみにしていたサタンはその台無しになっていく光景を見て
悲しそうな声を漏らす。
俺の方もラトが本当に手塩にかけ作っていたところを見ていたし、
「へ、へへ・・・け、圭吾様。楽しみにしててくっ、くださいねぇ」と
何度も嬉しそうに言われていたのでその光景に胸が締め上げられる。
しばらくし息が整うよりも前にラトは喋り出した。
「け、圭吾様・・・!ご、ご主人様が!心様に危険が襲ってきてます!」
その不穏な言葉に驚きの言葉、出会ってから初めて見たいつも不安そうだったラトの大きく見開いた目。
すぐに理解をしてあげたいがそうも行かない。
「心に危険がって、どういう・・・それになんでラト、お前が分かるんだよ」
「私の、い、いえ私たちケルベロス三人の感覚は全てとは言わなくても
元が一体のため一部共有されているのです。そして今私の身体に駆け巡った、この苦痛は
他二人、レフ、マナの生命の危機の意味。
そしてそれは主である心様の生命の危機に直結します・・・」
「まさか、ゼウスの意向に反発する、悪魔や天使!?な・・・で、でも何で?
俺ならともかく心が?それにケルベロスの二人だって弱くはないはずだろう?」
「圭吾様は分かっていらっしゃらないようですが・・・この世には人ならざるモノが沢山いるのです。
勿論、それは天使や悪魔以外にもですし。その生き方考えそして、人間を襲う理由も様々なのです。
少なくとも心様には「お金持ち」そして「少女」「一人暮らし」と襲う理由には困りません」
「な・・・」
「そうですよね、サタン様?」
まだ少し状況について行けてない俺から、部屋中の床に飛び散った食事を犬食いしていたサタンへと
ラトの目が移った。
「モグモグ・・・え?あ、あぁ!確かに、だな!ケイゴ、オマエたち人間が思っている以上に
この世は人外で溢れてる、例えば先日の回転巡流と糸竜のようなな。
例えば、岐阜県ってあるだろ?あの何もない場所、あそこはオマエたち人間が知らないだけで
実は既に岐阜県は異界のモノたちで溢れその人工80%が人外で形成されているんだ」
う、噓だろ・・・?岐阜県の現在はそんなことになってたのか。
きっと影が薄いし、魅力が無いから誰も気づかなかったのだろう。
まぁ、前述した通り魅力が無ければ
今後行く予定も無いしその人外たちが他県に流れて来なければ別にいいか。
「い、急ぎましょう圭吾様!」
息が整い落ちつきが見えるラトが俺の手を掴んだ。
「主が足を止めている時、引っ張て行くのが従者そして、犬の役目です!」
そして俺の返事を待たないままラトは俺を引っ張り外へと走り出した。
ーーーーー
初め向かう先は当然心の家だと思っていたが、俺を引っ張るラトが向かう先は
綺麗な一軒家が並ぶ高級住宅街では無く真逆の方角にある工業地帯だった。
ただ、その工場も今は稼働していないようで
三勤制の夜勤に勤しむ従業員の姿は一切に感じられなかった。
工業敷地内に入りしばらく走った後やっと手綱(腕)先の大型犬の足が止まった。
「はぁ・・・はぁ・・・どこだよここ、それに何だってこんな場所に」
「先ほどもお伝えした通り私含めケルベロス三人は感覚が繋がっています。
そしてその感覚を元に居場所を辿ることも出来るのです。
そして二人が居る場所であり心様が居るであろう場所がここなのです・・・。な、なんですぅ・・・」
取って付けたようなラトの普段通りの気弱な言葉使いに「なんだよそれ」と笑いつつ、
ラトが指さす二つ先の工場施設へと向かった。
向かった工場施設は電気が通っていなかったが、突き抜けの天井から月明かりが差し込まれており
施設内は月明かりに照らされ不気味に明るかった。
まるで映画で殺人鬼が登場するような恰好の舞台だった。




