EP37
「な?人間の姿にもなれるし知能もしっかりある。
家も見た感じ広いしガキ一人だと有り余らしてるだろうから丁度いいだろ?」
「う、うん!そのせいですっごく寂しかったから、こんなに賑やかになって嬉しいよ!」
「え、え、え?ご、ご主人様お、おお、おおお金持ちなんですか!?」
心の経済状況や持ち家について耳にした途端三人目の子が心の足元に駆け寄った。
「さ、さっきはあんな事を言ってしまっても、もももも申し訳ございませんでしたー!
え、えへっ・・・えへへへへ・・・こ、今後い、一生お慕いいたしますぅ~。へっへっへ・・・!」
心に対し上目遣いで媚びを売るような笑顔を向け犬のように「へっへっへ」と息を大げさに吐きながら
心の細い足に股を擦り付けていた。
「え?な、何をしてるんですか?サタンお慕い姉ちゃんこれケルベロス特有の愛情表現なんですか?」
「いやぁ、オレもさっぱりだ」
「・・・お三方、お見苦しいモノをお見せしてしまって何とお詫びしたらいいか、
本当に申し訳ございません。今、黙らせます」
一人目のクールな印象の子は心の足に向かって腰をヘコヘコさせ股を擦りつける
三人目の横腹に力強い蹴りを加え吹っ飛ばした。
「ふぐぅ・・・う、うぅ・・・」
「・・・申し訳ございません。
あの子魔界に居た頃からこっちに来ても水商売でしか稼ぎ方を知らなくて、
”ああいう”のを忠誠心の表れだと思ってるんです」
な、なかなか強烈だな。
「ねぇ、圭吾お兄ちゃん水商売ってなに?」
「え、えーと・・・」
まさか親になる前にこんなことを幼い子供から聞かれる日が来るなんて。
咄嗟の事で上手いかわし文句が浮かばない。
「あー!そんなことよりご主人?あたしたち三人ともまだ名前が無いんですよ!
今後暮らす上で名前が無いなんて不便極まりないんで是非、ご主人が決めてくださいよ。ねっ?」
「でも、私が決めていいの?」
「・・・勿論です。それに私たちが出来るのはあくまでも進言のみ。
別に、ご主人様が言えば名を付ける必要もありませんが」
「そんなの寂しいよ。せっかくなんだし、付けてあげる」
「・・・ありがとうございます、ご主人様」
付けてあげる理由が可愛らしいな、心・・・。
「あ、あの~わ、わわわ私はもうすでにお店から頂いた名前がぁ・・・」
「・・・あぁ?」
「う、うぅ・・・ぅあ。
は、はい!す、すすっす捨てます!捨てさせていただきますすすすす、す!!!。
ご主人様から頂いた名前が例え、べ、べべべ「便器」だったとしても!
今後一生胸を張ってそう名乗らせて頂いたきますっ!」
「・・・そうよね、それでいいのよ」
いや、よくはないだろ。なんであいつは1か100にしかメーターが振りきれないんだよ。
それに一人目の子に至っては異常にまで三人目に厳しすぎないか。
「それじゃあ、ご主人?よろしければあたしたちに名前を付けて頂いてもよろしいですか」
「うん!じゃあまずは、あなたから」
「・・・私ですか。はい、ご主人様のお好きな名を・・・」
「左首の子だから、左・・・レフト・・・うん!決めた、あなたは今日から「レフ」!」
「・・・ありがとうございます」
心から名前を貰ったレフだったが貰った直後に礼を言ったきり黙って下を向いてしまった。
(表情からして不服なのかな?)
と、不安だったがしばらくして床にポロポロと涙が零れていることに気が付きびっくりしていると。
「・・・す、すいません。感激のあまり涙が。
私、レフは今日以降ご主人様の為にこの牙を使いますので何なりとお申し付けください」
「うん、お互いよろしくね。レフ」
名前を付けてもらい涙するレフは一歩下がると今度は真ん中の首に当たる子が前に出てきた。
「じゃあ、ご主人。次はあたしに付けてよ」
「えーと、あなたは真ん中の子だから。
真ん中・・・まんなか・・・マナ!あなたは「マナ」に決めた!」
「マナか・・・うん。いい名前だね、気に入っちゃった♪よろしくね、ご主人」
名前を貰ったマナはその名前を復唱すると上機嫌に返事をし、
跪くと心の手を取りその甲に軽いキスをした。
「そ、その女の子同士とはいえ流石に恥ずかしいよぉ・・・」
「忠誠心の表れさ。親切のつもりで恥ずかしがらずに受け取ってくれ、ご主人」
恥ずかしがる心のことなんかお構いなしに心へとしっかり目を向けたままそのキスをした後の手の甲を
自身の手のひらで馴染ませる様に揉んだり擦ったりしていた。
「さ、あたしも名前を頂けたことだしご主人。最後はあの子に付けてあげて」
「うん」
マナのセリフに対し最後の右首に当たる子が「ビクッ」と
わざとらしくも見えるオーバーリアクションで反応した。
「私は便器私は便器私は便器私便器私は便器私は便器私は便器私は便器私は便器私は便器私は・・・」
「じゃあ、あなたは今日から「ラト」ね。ライトから文字を取って「ラト」」
「ら、らららららら「ラット」!?
あ、あぁ・・・わ、わたわわわ私はどこまで行っても所詮実験体止まりなんですね・・・」
なんか勝手に事実を湾曲して勝手に落ち込んでないか?
「「ラト」って可愛い名前だなって思ったんだけど。だ、ダメだった・・・かな?」
心が寂しそうに言うと、レフとマナがギロリとラト(仮)を睨んだ。
「え、あ、わ、わわわ、ら、「ラット」じゃなくて「ラト」ですね!し、失礼しましたぁ!
もーッ!全然ッ!おおおおおお気に入りましたぁ!!!
わたわたわた私は今後一生「ラト」を名乗らせていいいぃ頂きますぅ!ハイッ!」
その睨みに屈したラトはその場で一生を誓い心に向けお腹を見せ服従のポーズを披露して見せた。
(なんてこの子は自分が無い子なんだろうか・・・って)
「あれ?今気づいたけどラトさんって他のお二人と違って牙が無いんですね」
レフとマナには口を開けたらギラリと光る凶悪な見た目をした大きな牙が生えているのに対し、
ラトにはそれが見当たらない。
「あ、圭吾様。そ、それはですねぇ・・・あのぅ・・・
お店に来る殿方の”ソレ”を悦ばせるのにそのぉ・・・邪魔だったので、ぬ、抜いちゃいました・・・。
そ、そう!ヌく為に抜いちゃいました!て、テヘペロ♪」
この子、いや・・・こいつは、自分が無ければ牙もないのか。




