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EP35

(く、うぅ、俺はどうすれば・・・)

目の前に居る愛に飢えた幼い少女に俺はどう接してあげるのが正解なんだ・・・?

「お兄ちゃん・・・さ。

さっき出会った時襲われてたけど、あれってつまり一部の悪い人たちから狙われてるってことなんだよね?」

良い事思いついたと言いたいことが読み取れる表情で心はポツリと呟いた。

「まぁ、そんなところだけど・・・それがどうかしたのか?」

「お兄ちゃん、もし今後も一番に私を愛してくれるなら私の力で、

その悪い人たちからお兄ちゃんの事を私が守ってあげるよ」

「それは・・・」

その提案は物凄く魅力的だった。実際、今日も心があの時助けてくれてなければ俺は死んでいたし。

サタンやミカエル以上に強い敵に襲われたとしたら、つまりそれは俺の死を意味する。

だが、心が味方してくれるなら相手の強さなんて関係ない。

でも・・・、


「でも、それは出来・・・ない」

「ど、どうして・・・?どうしてなの?お兄ちゃん。

私の力があればお兄ちゃんの敵を全員殺せるんだよ?

お兄ちゃんをいじめる人もお兄ちゃんに近づく悪い虫も、私が心の中で願うだけ殺せちゃうんだよ?」

「今の俺は仮にも心ちゃんのお兄ちゃんなんだろ?だったら可笑しいじゃないか、

だって普通逆だろ?妹がお兄ちゃんを守るんじゃなくてお兄ちゃんが妹を守るモノだろ?」

「・・・」

俺の言葉に心はしばらく答えなかった。


「・・・の力ってさ・・・・・かな?」

しばらくしてボソッと心が元気の無い声で呟いた。

初めて会った時からの印象とは違い今の心には楽しそうに俺に学校での出来事を話していた時の、

年相応のはつらつさは消えていた。

「この力ってさ、自分にも使えるのかな?」

「何を言って・・・」

「・・・お兄ちゃん、決めて。今、私にハグをして応えるか。ここで一緒に死ぬか」

到底小学生には出来ない様な覚悟の決まった心の表情に情けない話ビビッてしまった。

こんな小学生にさせてはいけない表情にさせてしまったのは、俺が悪かったのだろうか。

それとも、その不幸にも授けられてしまった力のせいか。


「・・・応えてよ」

「そ、それは・・・」


「うりゃああああああああああ!二度目登場だー!!!」

天井付近の大きな窓ガラスが突如割れその破片と聞き馴染ある声がこちらへ向かって降ってきた。

その声の主に対し安堵感と、もっと別のやりようはなかったのかという苛立ちを覚えた。

「きゃッ!?」

その音に驚き心が俺の胸元に抱き着いてきた。

それを確認すると俺は心の上から被さった。

「・・・ッ!」

痛い、どうやら割れた破片の一部が背中に刺さってしまったみたいだ。

「お兄ちゃん今の声大丈夫!?あの人もしかしてお兄ちゃんを狙って・・・」


「・・・ん?ケイゴ何をうずくまって、というか勢いで来たけどここどこだ?」

この漫画のヒーローのようなド派手な登場を好む悪魔野郎に

「玄関というものを知らんのか」と文句を言ってもいいだろうか。

派手な音が鳴ってからしばらくして俺の胸元から心が脱出した。

「ま、まさかあの人もお兄ちゃんを狙う人・・・」

「待ってくれ心、あの大馬鹿野郎は俺の知り合いだ」

「・・・恋人ですか?」

「え、いやそういうのじゃ」


「やい、ガキ。オマエケイゴに何をしてる?」

サタンの「ガキ」呼びにムッと来たのか心は俺の胸元から脱出し、

サタンのビシッと指を突き立てた。

「あ、あなたこそ急に人の家の窓を割って何なんですか!」

「何だって言われたら、うーむ。正直に説明するとめんどくさいなー・・・。

あー、まー・・・そこのやつとまぁ、大人の関係ってやつだ!分かった?ガキ」

「ふぇ!?や、やっぱり、恋人じゃないですかー!?」

いつも助けに来てくれるのはありがたいんだがもう少し素直にありがとうを言える形で助けてほしいな。


「・・・恋人なら、あの人を”殺せば”・・・」

(マズイ!)

心のそんな呟きを聞いた瞬間俺は心に抱き着いた。

「きゃっ、お、お兄ちゃん・・・?」

少なくとも俺がこうして抱き着いている間は心の能力発動条件は満たしてないはず。

なら、一旦世間体なんて忘れてやる。


「・・・これって、私を愛してくれるってことでいいんだよね」

「・・・それは違う」

「なら、どうしてなの・・・?」

「・・・優しい君に俺の大事なやつを殺させて嫌いになりたくないからだ」

実際最初に俺を襲って来た悪魔の時とは違いサタンにはすぐに能力を使わなかったのは

俺の知り合いだと聞いたからだろう。だから若干の能力を使う事への躊躇が見えたんだ。

聞いた話通りなら、今までも一時の過ちでの殺害を除いて能力を使ったことはなかったのだろう。

心は両親から本来与えられるべきはずだった愛情を受けられなかったり。

普通に出来るはずだった友達との交流が、

またうっかり自分が能力を使ってしまうのではないかといった恐怖から愛情に飢えているだけで、

やはり心自身はとても優しい子なんだ。


だから、そんな心にここで取り返しのつかないことをさせたくない。

きっとここで心がサタンを殺せばいよいよリミッターが外れ能力を使うことに対しての

躊躇が無くなり壊れてしまう。

だから俺は心から離れない。


「・・・お兄ちゃん離れて」

「ごめんそれは出来ない、心のお兄ちゃんでまだ居たいから」

「そ、そうじゃなくて・・・」

「何を言ってもダメだ」

「ち、違くて」

「・・・ん?」

「ちょ、ちょっといきなりのハグはまだ、ちょっと早かったかも~・・・」

気が付くと心は顔を真っ赤にしバタンキュ~と倒れてしまった。

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