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EP34

「お邪魔しますー」

ドアを開けると、とんでもないくらい大きな玄関と靴箱そして高い天井が出迎えてくれた。

ただ靴を脱ぎ仕舞うだけの場所なのに無駄に広い。

ショート動画用にブレイクダンスを踊っても周囲に身体をぶつけない程の広さだ。

靴箱なんかも、とんでもない収納スペースがあり余っており。

靴好きの八本脚の火星人がこの家に住み着いても問題なく靴が収まりきる程で、

天井に至っては、もう・・・雲に届くんじゃないかと錯覚してしまう程一般住宅では

到底あり得ない高さがあった。

これがアニメなら玄関デカすぎて作画ミスを疑われるレベルだ。


「・・・ごちそうさまでした。もー、お腹一杯です」

「急に何を言ってるのお兄ちゃん?

それに私の家別に玄関しかないわけじゃないんだから早く進もうよ」

それもそうだ。それにまだこの家が一般常識を逸脱した豪邸だと決まった訳じゃない。

徳島駅のようなハリボテ設計の可能性もあるんだから。(失礼)


結論を淡々と述べていこう。


まずはキッチン。馬鹿広い。

もうどれくらいかと言うと、マグロの解体ショーでもここでするのかと思う程広い。

多分カジキも行ける。

ただ、心自体普段料理はしないみたいで普段は自炊ではなく

コンビニのおにぎりや菓子パンを食べているらしい。

確かに水回りには食器などはあまりなく、あるのはコップや普段学校に持参しているであろう

小さな水筒だけでお皿などは一つもなかった。

その分付近に設置されていたゴミ箱には大量のコンビニ製品の残骸が大量に入っていた。

ただそんなゴミ箱にも心の性格が顕著に表されていて、

ゴミ箱内の割りばしの全てが半分に折れていて几帳面な一面が垣間見えた。


「普段、キッチン使わないんですが。

夏になるとこの大理石に身体を当ててよく涼むんです」

そういうと心はキッチンほとんどが大理石で出来ているキッチン台に

身体や頬をペタっとくっつけた。

「夏になったら、一緒にしましょうね。お兄ちゃん」


その後もルームツアーはしばらく続き。

浴槽や寝室、ベランダ、庭その他の部屋全てが豪邸に恥じない広さだった。

そして今はリビングに当たるスペースでここまで歩く為に酷使した足を延ばしつつ、

心が用意してくれるというお茶を待っていた。


「お兄ちゃん、お待たせ」

「ありがとう、ちょうど喉が渇いてたんだ」

心から直接その小さなコップを受け取る。

よく見ると、コップは可愛らしい花柄でプラスチック製の様だ。

恐らく両親が居なくなった後自分で100均辺りのお店で買って来たのだろうことが伺える。

「ごめんなさい大きなコップが今家になくて。

お兄ちゃんにはそのコップ小さいよね足りなかったら遠慮なく言ってね、すぐにまた注いで来るから」

その健気さがまた可愛いなと思わせ加護欲を搔き立てる。


「全然大丈夫だよ。むしろもてなして貰ってばっかりじゃ申し訳ないからさ、

何か俺に出来ることがあったら何でも言ってよ」

「・・・じゃあ、ハグしてよ」

「ハグ?」

「うん」


は、ハグかぁ。別にお金がかかる事ではないし今すぐにこの場で出来る事だけど。

誰も見ていないとはいえ世間体がなぁ・・・。

「いいけど、さすがに俺から行くのは色々と不味いからさ。

腕、広げててあげるから心から来てよ」

パチンコの換金所にも似た法の抜け道的なことを代わりに提案し自分の中で解決を図るも。


「それじゃあダメなんです。お兄ちゃんから来てほしいんです」

意外にも心は「そこ、こだわるところか?」というようなことを譲らなかった。

(困ったなぁ・・・)

「いや、それだと色々と不味いとか・・・ね?

それにどっちも一緒のことならそっちの方が良いと言うか」

「・・・一緒じゃありません」

「え?」

「全然一緒じゃないです。

私からお兄ちゃんにハグをするのと、お兄ちゃんが私にハグをするのじゃ全然意味が違うんです」

昔から女心というものがよく分からなかったが、

どうやら俺はこんな小さな子でも性別が女性である以上気持ちを理解することが難しいらしい。


「私はお兄ちゃんからの愛が欲しいんですよ?

昔、お母さんとお父さんがまだ居た頃、私から抱きつくことはあっても

二人から求められたことは物心が付きこの能力が発覚して以降一度もありませんでした。

私はお兄ちゃんの方から私を求めて欲しいんですよ?私が求めた結果のハグでは意味が無いんです」

あれ・・・いつの間にか心ちゃんの目からハイライトが消えているような・・・。

それにそのムーブされると、どこぞの糸使い転生ストーカー女を思い出して身体が震えてくる。


そんな俺をお構いなしに心は一度立ち上がり距離を詰め俺の目の前で座り直すと、

「来て、お兄ちゃん」

小さい腕を伸ばしハグを求めてきた。

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