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EP31

普段放課後はサタンと二人で帰ることが多いのだが今日は違った、

どうやら自分が元居た世界に戻って悪魔の知り合いと会う予定があったらしく

昨日からここ人間の世界には居ない。

少し寂しを覚えながら一人学校から自宅への

帰り道を歩いていると目の前に突然一人の男が立ちふさがった。


「・・・初めまして。お前がゼウスから審判者を任された人間か?」

頭から禍々しく生えている角、それに身体には何者かの血が付着している。

風貌から一目で悪魔だと気づいた。それもサタンは違うゼウスの意向が気に食わない連中の一人だ。

「噂には、ゼウスの犬なんて呼ばれてる天使と悪魔が用心棒として付いてるって聞いていたけど、

今日は居ないみたいだな。これなら簡単に殺せそうだな。探すの大変だったんだからな?

そのせいで何人かヤっちまったし・・・」

拍子抜けした悪魔は恐ろし事を口にしながらケラケラと下卑た笑みをを浮かべた表情をして、

ゆっくりとこちらへと歩き寄ってくる。

恐らく、俺が全力で逃げたところで簡単に追いつけることを見越しての余裕の様だ。

「それなら、精々その期待を裏切れるように頑張るよ」

俺の方も、逃げきれないのならと片翼を出して戦闘準備へと入る。


俺の準備万端の姿を確認すると先手必勝と言わんばかりの勢いで走り出し

こちらへと蹴りを向けてきた。それをギリギリで避ける。

俺の背中にあった電柱が代わりに悪魔の蹴りを受け崩れる。

あんなモノを直接この身で受けたら・・・と震える。

サタンから貰った悪魔の力のおかげで身体能力は上がり身体の強度も上がっているので、

即死はしないだろうが今の俺の力では少なくとも大けがは確定だろう。

悪魔が体勢を整えてしまう前に俺は悪魔のありったけの力を込めた拳を握り

砂ぼこりの中の悪魔へと走り出す。

だが、こちらが思っていたよりも素早く体勢を整え直した悪魔が

俺の腹へ素早いカウンターをお見舞いしてみせた。

口から空気を含んだ悲痛なうめき声と唾を吐きながら顔を歪ませ路地裏へと引き飛び転がり回る。


(ま、マズイ・・・腹の一撃のせいで身体に力が入らない)

「なんか、いっちょ前な恰好で拳を構えてこっちに向かって来てたけど。

戦いに慣れてないのかその分弱点ががら空きだったぜ?それにあの構えもなんだ?不格好でダセェなぁ」

俺の命を懸けた行動を容赦もなく貶してくる目の前の悪魔に言い返してやりたいが声が出せない。

「まぁいいや、これでお前を殺せて聖戦血生臭い争いに元通りだ。じゃあな」

悪魔がゆっくりと倒れている俺に近づいてくる。だが、勿論このまま素直に首を差し出すつもりはない。

寸前で勢いよく立ち上がり今度はこちらが油断した悪魔にカウンターをお見舞いしてやるつもりだ。


「あ、あなたその人に何をするつもりなんですか!」

悪魔が俺の元へとたどり着く寸前で路地の入口から女の子の声が聞こえた。

俺の顔は路地の奥、その声の元の逆を向いてる為声の主が何者かは見えないが

その声から震えていることだけ分かる。

「・・・なんだお前。コイツの仲間か?」

「そ、そういわけではないですが・・・。

あ、あなたこそなんの人なんですか!その人に何してるんですか!

あ、その。もし倒れてる人を助けてあげようとしてるとかだったらごめんなさい・・・。

でもあなた血が付いてますし。悪い人なんですよね?」

「悪い”人”?・・・ハッ、ハハハ!お嬢さん、俺は人ですらないんだ。俺は悪魔なんだよ」

「あ、悪魔!?」

「そうだ、そして・・・それを知ったお前は殺さなくちゃならねぇ!

瀕死で動けない審判者よりも先にお前からだ!

ぶっ殺した後に、その綺麗で小さな身体で散々に遊んでるよ!!!」

ヤバい、俺のせいで無関係の女の子が巻き込まれてしまう。

熊相手にするような馬鹿馬鹿しい死んだふりを直ぐにでも止め立ち上がった俺は、

その後のプランも考えずに女の子へ襲い掛かる悪魔の背中に向かって走り出した。


だが、俺なんかよりも素早い悪魔は一瞬にして女の子の前にたどり着いた。

そしてその手で命を奪おうとしたのだがそこで突然悪魔の動きが止まり崩れ落ちた。

「・・・え?」

ヘンな声が漏れた。そう突然倒れたのだ。

余りにも唐突だった為初め悪魔がコンタクトでも落としたのかなと思い「一緒に探しましょうか?」

と思わず声を掛けそうになった。だが気が付くと息をしてなく、死んでいることに気づいた。


「や、やっちゃったぁ~・・・」

そんな腑抜けた声を漏らすのは先ほど悪魔を静止し助けてくれたであろう女の子だった。

なぜ「助けてくれたであろう」なのかは、こんな幼い子

(それもランドセルを背負っており、見た目だけで判断するなら小学4~5年くらい?)が、

一人で悪魔を倒したとは到底思えないからだ。

倒れている悪魔には一つも目立った外傷がないし悪魔が倒れる寸前、

女の子が特別動いた様子もなかった。


「あ、良かった。一人で立ち上がれたんですね」

女の子は立ち上がった俺に気が付くと「とてとて」と聞こえてくるようなペンギンに似た歩き姿で、

こちらに近寄ってきた。

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