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EP30

文字通りそのままの意味の甘いキスを介して数秒間の間に俺の口の中に、

キャラメルフラペチーノのソースやチョコチップ、ホイップクリーム、

そしてミカエルの唾液が流し込まれる。

初めてのキス、それも美少女のモノ。だというのにパニックな俺の舌は

繋がっている口の中でジタバタと暴れる。

そんな興奮した馬の様に暴れる俺の舌を、

ミカエルの舌が器用に絡まってきて柔道の寝技の様な形で抑え込む。


そういえばサクランボのヘタを口の中で結べる程舌を器用に動かせる人はキスが上手いと

聞いたことがあったがあれは本当だったんだな。

いい加減に長いキスが終わり音を立てながら口と口の接着が解ける。

「んぐぐぐ・・・ぷはぁ!お前急に何にすんだよ、それもこんな公共の場で」

「そんなに暴れなくてもいいでしょう。キャラメルフラペチーノ口に合わなかった?」

「いや、キャラメルフラペチーノは美味しかったけど。なんでキスをする必要があったんだよ」

「・・・え、だって貴方さっき言ってたじゃない。”摂った”モノを共有するのは青春の範囲だって」

「確かに言ったけど、それがどうキスに繋が・・・る・・・。

待て、筆談でもう一度同じ言葉を書いてくれないか?ほれ、ペンと紙」

「はぁ?もう、なんでそんな面倒なことをわざわざ」

そしてメモ用紙にミカエルが書き上げたのは、

「摂ったモノを共有」の一文だった。日本語って難しいね!


「み、ミカエルさん。これ違う、これ俺の言った言葉の解釈と違う。俺の言っていたのはこっち・・・」

顔面蒼白の俺の書いた「撮ったモノを共有」の文字を見るや直ぐに、

ミカエルは顔を真っ赤に染め上げ表所を強張らせたまま固まった。

と思ったら、急にぎこちないロボットの様に動き出し。

テーブルの上に置いてあった、時間がかなり経っていたことが分かる程結露の目立つ

キャラメルフラペチーノを手に取り勢いよく一気にストローで吸い込むとこちらを一目もせず

そのまま帰って行ってしまった。

正直、ミカエルが物凄くキレるんじゃないかとヒヤヒヤしていたし。

顔を殴られても仕方が無いことを女の子にさせてしまったと思っている。

今だキスの余韻から抜け出せない俺は、

時間が経ち形の崩れたホイップクリームが乗ったチョコフラペチーノで、

初めてのキスの味であるキャラメルフラペチーノを必死に忘れようと上書きしようとしていた。


ーーーーー


次の日昨日のことで傷つけてしまったのではないか心配をしていたがいつも通り

階段にはミカエルが弁当を持って待っていた。

「昨日は、その・・・すまなかった」

「本当よ、おかげで大恥をかいたじゃない。それで結局本当の意味である、

「撮ったモノを共有」っていうのはなんなのよ」

あまり昨日のことについてこれ以上話題を出したくないみたいでミカエルは会話の軌道を少し曲げた。

俺としてもこっ恥ずかし話を延々とされては困る為、追従する。


「学生の間では映えるスイーツとかを食べるときは、

そのスイーツの写真を撮ってSNS上に上げて共有するんだよ」

「なるほどね。だから昨日そんな風なことを言っていたのね」

「せっかくなら今からアカウント作ってこれまで食べたスイーツに写真を上げたらどうだ?」

「・・・私、スイーツの写真なんか撮ったことないのよね」

「今時珍しいな。周りの他の客は撮ってなかったのか?」

「そういえば、数多がカシャカシャと食べる前に何枚も撮っていたわね」

「それが、SNS用に上げる写真撮影だよ。

何枚もスイーツを被写体にして写真を撮ってその中から選別して、

一番綺麗な写真を自分のアカウントにアップするんだ。どうせ今日の放課後も数多先輩を連れて

スイーツ巡りするんだろ?だったら数多先輩にアカウント作ってもらって初めて見たらどうだ?

数多先輩インターネットにも精通してるらしいし、

最近は自分の動画チャンネルでずん〇もんに適当喋らせて再生数稼いでるって言ってたし、

沢山の人に写真を見てもらう工夫とか教えてくれると思うぞ」

「確かに数多詳しそうね。それにその撮った写真を貴方とかに共有したら

それも今時の学生たちがよくやる青春になるのよね?」

「あぁ、まさに青春真っ盛りにやることだな」

実際、入学式後の教室内にはお互いのSNSアカウントを交換し合うクラスメイトの姿があった。

今や学校で直接会って会話をするより、

SNSのDMやチャットアプリで文面で会話回数の方が多いなんてことも珍しくないはずだ。

「分かったわ。それが私の手伝うべき青春の範囲だというなら」


ーーーーー


あの後帰宅し日が完全に沈み切りしばらく時間が経った後数多先輩から通話が掛かって来た。

「はい、星石ですけど」

「あー!もしもし、もしもし?数多だ」

「どうしたんですか、先輩こんな時間に。まぁ、先輩からなら珍しくもないですけど」

電話相手のこの人はこっちが寝ててもお構いなしに「暇だ」という理由だけで夜中に電話を掛けてくる。

「どうしたはこっちのセリフだよ。

僕が勧めても一切写真を撮ることのなかった美香君が

今日のお店では一転して写真を撮りまくり。

おまけに普段俗世を嫌う彼女の方からスイッターのアカウントの作り方まで尋ねてくるときた。

どうせ君の入れ知恵だろう?」

「まぁ、言い方はあれですけど。大体俺のせいであってます」

「やっぱり。その結果機械初心者のミカエル君に付きっきりで、

おかげで気分は老人にスマホの使い方を教えるケータイショップ店員の気分だったよ。

デジタル介護なんて趣味じゃないぞ僕は」

あのミカエルにSNSのやり方を一から教えるなんて、

確かに大変な役割を押し付けてしまったようだ。

「・・・ただ、そのおかげか。僕なりのSNS運用方法は教えられたかな」

「へぇ、一体何を?」

「キシシ!それは美香君から直接聞くといいよ」


ーーーーー


さっそく翌日の昼休みにミカエル口からそれまで聞いてこなかったSNSの話が振られた。

「見てよ、圭吾。数多に昨日教えてもらってついに開設出来たわ」

「へー、何々・・・アカウント名「天使のグルメ」?」

「なんか分からないけど、これにしろって数多指定してきたの。それとアイコンも」

ミカエルのアイコンは儚げなタッチで描かれる天使の女の子イラストだった。

何かのアニメのキャラクターだろうかと写真を撮り検索エンジンにその画像を調べさせてみるが

同じ画像はヒットしなかった。つまりこのアイコンのイラストは拾い画とかではなく、

完全オリジナルなモノのようだ。

それにアイコンのキャラクターそことなくミカエルに寄せているような。

「なんか、今後揉めないようにイラストレーターの人に描いて貰ったらしいわ」

なんか、やけに手が込んでるな。まるで新しい事業を始めるみたいだ。

「それと、昨日行ったお店の写真を早速あげたわ」

ミカエルのアカウントのタイムラインには今にも崩れそうなほど滑らかそうなティラミスの

写真が投稿されていた。

ただ何故か写真の内容はスイーツだけではなく。

わざとらしくミカエルの綺麗で細い指と、制服のミニスカートが映り込んでいた。

まさかあのガキ体型不健康女。アフィで儲けようとしてないか・・・。


と、そう思っていたら予想通りだったようで。

トントン拍子にミカエルのアカウントは美人(顔は一度も投稿していない)

スイーツアカウントとしてSNSで有名になっていった。

ミカエルもアカウントのフォローワー数が増える度にSNSにハマっていった。

こないだ久しぶりに一緒にスイーツ巡りに行ったらパッシャパッシャと撮りまくる為

フォルダーを見せてもらうととんでもない量のスイーツの写真が保存されていた。

ただ、別にそのアカウントを儲けに使うような動きはなく。

数多先輩としては単純にミカエルの趣味の楽しみ方を増やしてあげたかっただけのようだ。

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