EP21
「圭吾危ないッ!」
翼を出したミカエルが一瞬のうちに駆け寄ると俺をお姫様抱っこの状態で持ち上げ空へと滞留した。
さっきまで俺が居た場所を見ると巡流の指から触手の様に蠢きながら伸び出ている赤い糸が空を抱いていた。
もしミカエルが掬い上げてくれていなければ今頃俺はあの糸に捕まっていただろう。
「それにしても一体何を話していたの?私の位置からは聞き取れなかったわ」
「要約すると前世からの俺のストーカーらしい」
「ふぅん、なるほど恐らく輪廻転生の類かしら。となると彼女やっぱり普通の人間じゃないみたいね」
「あぁ、なんか竜に呪われているとか」
「竜の呪いですって!?マズいわねそれが本当ならここに居るのは危険だわ。
一旦逃げて体制を整えて対峙しましょう」
「そ、そんなにヤバい奴なのかあの子は」
「あの子自体はどうってことはないわよ。
問題はその奥にある竜の呪いよ。竜の力を少しでも得ていてそれを完璧に使いこなせるというなら、
彼女は私たち天使や悪魔なんかよりも強いわ。
初めにあんなことを言っていたけど相手が竜ならサタンの力も借りたいわね、
取り合えずこのまま逃げるわよ!」
翼に力を込め大きく羽ばたかせた時俺の小指に繋がったままの赤いが千切れずに踏ん張った為
ミカエルがの腕から俺の身体は抜け落ちてしまった。
そしてそのまま・・・ドカン!
「ててて・・・」
「け、圭吾貴方大丈夫!?」
「あぁ、痛みはあるけど骨が折れたりはしてないみたいだ」
「逃げようとした圭吾様が悪いんですよ?この赤い糸は私の圭吾様への思いなんです。
その思いが無くならない限り一度繋げたこの糸は切れません」
「・・・つまり、この周囲から離れられない。逃げるのは不可能ってことね」
「あ、そこの羽を生やした奇抜なファッションの女。貴方はどっか行ってもらっていいですよ。
私は圭吾様にしか興味が無いので」
「な!?奇抜なファッションですって、それに圭吾は私にとっても大切な存在なの!
貴方が何者であれコイツは連れて帰えるわ!」
「・・・なんですって?圭吾様浮気ですか?」
誤解されてるけど多分ミカエルの大切な存在って言うのは審判者だからって意味だし
そもそも浮気も何も付き合ってすらないし。
「貴方が恋敵と言うのなら話は別です。締め殺します、行きなさい、レッドスネーク!」
巡流の目からハイライトがスッと消えたと思うと右手の五本の指から文字通り生きた蛇の様な
糸がうねりながらこちらに向かって襲い掛かって来た。
ミカエルは反応し避け切ったが俺は逃げきれず捕まってしまった。
(くっ、しまった。
糸の締め付けが強くて千切れそうもないしこのままじゃ手足が千切れてしまいそうだ)
「ご、ごめんなさい圭吾様痛かったですよね。
今、緩めますね・・・。
さてと、次は貴方ですよ”女”」
「ふん、捕まえれるもんなら捕まえてみなさいよ」
「チッ・・・糸蛇たち行きなさい!」
先ほどの蛇の様な糸が右手の五本指から放たれミカエルを狙う。
しかし今度はミカエルも槍を構え逃げるのではなく追撃を狙い立ち向かう。
「たぁ!」
我先にと一番先に出てきた糸蛇の一本をぶった切ると
大きく後ろに下がり再び体制を整え他四体を切り落とす。
どうやら俺の小指に繋がっている一本だけが特別頑丈なだけで他の糸の強度はそこそこの様だ。
「竜の呪い、加護を受けているって聞いたから
警戒していたけど。蓋を開けたらただの蛇じゃない、
どうやらそこまでのようね」
「クッ・・・人外が、絶対に絞め殺してやる!
スネークトング!」
ミカエルに再び右手五本指を向けると先ほどとは違い指の感覚を詰めると五本の糸蛇たちが絡まり合い
一本の大きな舌へと変化した。
「しつこいな・・・」
「この糸蛇たちは何度だって蘇って
執拗に追い続ける!」
「だったら、再びその糸切り落とすまでだッ!」
再度ミカエルの槍が糸蛇に触れた時糸蛇は先ほどまでの様に切り落とせずその刃を止めた。
「!?」
即座にその異変に気が付くとミカエルは槍を手放し大きく下がる。
予想に反し槍の一撃を受け止め切った蛇糸はその槍を掴み取ると
勢いよく空に向かって投げつけると姿を変え始めた。
「あれは・・・竜か!
しかしやや見た目が少ない様な気が」
ミカエルが言うように変化し竜に変形した糸蛇だったがその姿はマスコットの様な可愛いらしい竜の
見た目だった。
だが、その瞬間大きく口を開けるとミカエルの槍を
丸々体に飲み込みしまい込んでしまった。




