EP20
(や、ヤバい。いざ面と向き合うと。緊張してきた、と、取り合えず・・・)
「は、初めまして!」
何とか間を埋めようと挨拶をするとその女の子は
少しムッとした顔をして小さな声で「・・・覚えてないんですね」と呟いた。
そうか俺に面識はなくても、手紙を送ってくれた彼女には一方的だが面識があるのか。
「ご、ごめん!こうして手紙を送ってくれたから、きっとどこかで以前お会いしてるんだよね?」
「はい、圭吾様は覚えてないのですかぁ?」
ジロッとした目で俺のより背の低い彼女は全く可愛げのない上目遣いで見つめてきた。
「え、うーん・・・」
そんな彼女の顔をじっくりと見てみるが駄目だ。
思い出せないしなんか恥ずかしくなってきたな。それに、圭吾”様”?
「フフフ・・・。圭吾様が照れ屋なのは昔から変わってませんね」
「昔から」その言い方に違和感を覚えた。
俺がこの高校に入ってまだ一か月も経っていないその一ヵ月の間の過去に起きた出会いに
昔からという表現を使うのは不適切な気がする。
ということはこの子と俺は”高校に入るよりも以前に”出会っている?
「もしかして幼馴染で幼い頃の知り合いだったり?」
「いいえ、違います。言うのならもっと古くからの縁です圭吾さま。私は貴方の運命の人間です」
そう言った彼女の左薬指と俺の左薬指がいつの間にか一本の赤い糸で繋がれていた。
「・・・これって」
「この赤い糸は私の前世からの旦那様と私を結び付け、再び出会わせてくれる運命そのものなのです」
「そんなことが?い、いや運命の赤い糸っていうのは一種の表現でしかないはず」
「いいえ。これは本物です。これは前世私から引き継いだ今世の私の不思議能力なんですよ。
本当に覚えていないのですか?」
「・・・」
俺は少し後ずさりながら無音で返し、
彼女は自然に一歩前に出て俺が下がった分”ピッタリ”距離を詰めた。
「なら思い出させてあげます・・・。
私たちは前世で夫婦だったのです。夫婦生活は順風満帆でそれはそれは楽しい一生でした。
ですが、突然圭吾様は病に罹ってしまいました。
私はこの身を削って看病をし続けましたが努力は無情にも実らず圭吾様は命を落としてしまいました。
あの時は本当悲しかったんですよ?」
頬を膨らませそう言う彼女に一瞬「ドキッ」としてしまったが話の内容が内容なので返しに困る。
「・・・そんなある日一つの伝承を耳にしたんです。
「とある山に綺麗な見た目をした竜が眠っている」と、そしてその竜は上等な贄を渡せば
なんでも願いを一つ聞いてくれると当時の人間たちは噂したのです。
その晩私はその付近の州で一番の美人と言われていた有名な侍の家の娘を
殺害しその死体を背負い噂の元とされる山に向かいました。
どれくらいの時間山を散策したかは思い出せないですが長時間山中を駆け回っていると、
大きな洞窟を発見し突然正体不明の胸騒ぎが起こりました。
脳に直接「こっちへ来い」と囁くのです、その声の主を探り洞窟の中を歩き進めた先に
一匹の大きな紅い竜が佇んでいたのです。私は怯みながらも「グッ」と堪え竜に向かい言いました、
「噂を聞き此処へ駆けつけた贄はある。私を愛する旦那にもう一度合わせてくれ」と。
竜は私の投げた娘の死体を喰らうと「・・・足りん」と一言ボヤキ。
「お前の身も捧げるならその願いか叶えてやろう」と言いました。
当然訳が分からず私は「私が死ねば生き返った旦那とは顔を合わせられないじゃないか」と言うと
竜は「待て待て」と声を荒げる私を諭しながらこう言ったんです。
「お前が贄になるなら来世に必ず旦那ともう一度添い遂げる運命にしてやろう」
私はそう聞くと直ぐにでも転生をしたくて竜の口を両手で広げようと竜の口に掴みかかりました
その時竜は「お、落ち着け!馬鹿なのか貴様は!?」と私の圭吾様への愛の深さに驚いていました」
(いや、それ貴方自身に恐れてるんじゃ・・・)
「一先ず落ち着き竜の話を再び飲むと私は竜が開いた口にと自ら足を進め、そこで記憶は閉じました。
そしてこの世に回転巡流として生まれ圭吾様との再会に奮闘していたのです。
そして今日・・・」
長い身の上話を終えた巡流は背筋が凍る様な
「ニタァ」という笑いを浮かべ「やっと”繋がれた”」と一言呟いた。




