EP19
いつも通りの朝、俺の下駄箱の中に一つ見慣れないモノを見つけた。
それは一通の手紙だった。
(ま、まさか俺がス〇ブラに参戦!?)
なんて思ったが赤い例のボールの形をした印は無く。
代わりに可愛らしい赤色のハートで封がされていた。
ーーーーー
「貴方それってラブレターじゃない」
昼休みいつもの階段でミカエルに見せるとビックリした表情で言われた。
「何お前意外って顔してんだよ」
「いやだって貴方がモテている様には普段から見えないし・・・」
それもそうか。
普段の学生生活を思い返してみても俺がキャーキャー言われてる場面なんて思い出せないし、
そもそもない。
「で、肝心な中身はなんて書いてあったのよ?」
「それがまだ見れてなくて・・・」
「はぁ?なにうじうじしてるのよ気持ち悪い。貸しなさい、開けないんだったら私が開けるわ」
「ちょ!やめろ俺宛の恋文だぞ!」
「恋文って。貴方いつの時代の人間なのよ」
危うくミカエルに奪われそうになったが、
身体を人間が出来る限界まで捻ったことで何とかラブレターを死守した。
でも確かにせっかく勇気を出して書いてくれた思いを読まないのは
差出人に対して失礼になるかもしれない。
その勇気に応える様に俺も覚悟を決めて受け止めなければ。
可愛らしく添えられていたハートの形の封を上下半分に割り中身を空けると
外見とは違うピンクが主体の一枚の手紙と共にフワッと甘いローズの匂いが辺りを香った。
「あら、書いた子。結構可愛いくて粋な演出するじゃない」
肝心な手紙には可愛いらしい字体で、
『大好きな、星垣圭吾君へ。
今日の放課後C棟校舎裏で貴方を待ってます。
恥ずかしくて名乗れなくてごめんなさい・・・。
貴方の事が代々好きな より。』
と書いていた。
「ん?」
よく見ると大事な締めの部分が間違えて『大大大好き』が『代々大好き』になってしまっている。
それに恥ずかしいらしく差出人の所は空白になっていた。
どうやら差出人はおちゃめな乙女心の持ち主らしい。
可愛いらしい文面に俺がにやけていると隣でミカエルが唸っていた。
「怪しいわね・・・」
「え?何がだよ」
「だってこの手紙、差出人が正体不明なのよ?
きっと悪趣味ないたずらか、ゼウスの意向に反対する者による罠よ」
「おい待て。何でその可能性の中に本物のラブレターの択が無いんだ」
「ありえない可能性を含める必要はないから当たり前じゃない」
「貴方行くのよね?」
「そりゃまぁ」
だって告白されてみたいですし・・・。
「だったら私も付いていくわ」
「はぁ?な、何でだよ!?」
「何でってこれは罠なのよ。それが分かっているなら闘いに備えて行くのが当然じゃない」
何でいつの間にか罠だって確定してんだよ。
ーーーーー
そして授業も終わり放課後になり俺とミカエルは約束の場所である、
C棟の校舎裏に来ていた。
ただでさえロクに使われていないC棟のうえ校舎裏なので校舎の陰で薄暗く、
人の気配何て全く感じ取れない。
「これなら、サタンをあらかじめ帰らせていて正解だったわね」
「だな」
昼食を取った後一応の為サタンにも共有をすると案の定サタンは
告白の場に行きたいと言い出した。
俺としては一人来るんだったら今更二人来ても恥ずかしさは一緒だろうから
サタンの動向は別に構わなかったのだが。
ミカエルに「戦力は増えるかもしれないが相手に大人数での行動は感づかれるかもしれない。
それに戦力としても私一人の時点で過剰援護だ」と言われ家に帰らされていた。
「それにアイツのことだから恐らくジッと物音を立てずに隠れるなんて無理ね。
きっと落ち着いてられずにアホ面で舌を垂らしながら「ヘッヘッ」とヨダレを垂らして、隠密の邪魔よ」
「お前の中でサタン犬と同じ枠なの?」
「待って・・・。”お相手”が来たみたいよ」
「え、どこどこ?」
「まだ両方から捉えられない位置に居るけどそろそろだから私はその茂みに隠れているわ」
え、何その能力。目が衛生とでも繋がってるの?
ミカエルが隠れ切ると同時に校舎裏の曲がり角から一人こちらに向かってきた。
まだこの位置からだと顔がよく見えないがうちの学校の制服を着ているようだ。
「お待たせしました。”圭吾様”」
その女の子は黒上ロングに赤い目をしており。
表情を恍惚とさせ、初めて会話をするはずの俺のことを下の名前+様付けと変な呼び方をしていて。
やけに気にして左手の薬指を撫でていた。まるでその薬指の今までを労わるかのように・・・。




