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EP18

ミカエルを誘った場所はゲームセンター内の一角にあるフードコーナーだ。

レストランというより、サービスエリアや屋台で売ってるようなジャンクなモノが多く揃っている。


「どこかに行きたいって言うから、

てっきりパチスロみたいな楽しい遊戯かなにかと思ったのに・・・ただの食事なのね」

「まぁいいじゃないか、お前も目を酷使して疲れてるだろ?」

「そうね折角だし、たまにはこういうジャンクなモノも頂こうかしら・・・」

「普段は食べないのか?」

「えぇ、天界に居た頃からこういう俗世の物から距離を取ってたの」

さっき貴方滅茶苦茶俗世なモノに触れてましたよ。


「へぇ、天界にもジャンクフードの概念があるんだな。ちょっと意外かも」

「当たり前じゃない。一般の人間は知らないかもしれないけど、

この世界で「〇ーソン」の名前で経営されてるコンビニあるでしょう?

実は天界にも「エンジェルマート」という名前で天界のコンビニ業界では有名なのよ?」

マジかよ。〇ーソン経営が絶好調すぎて天界支部まであるのか。

「最近じゃ盛りすぎキャンペーンとかいうイベントでさらに売り上げを伸ばしているわ」

どうやら天界でも「お得」は消費者から求められる要素の一つのようだ。


結局、俺は焼きそば。ミカエルはクレープをそれぞれ頼み席に着いた。

頼んだ焼きそばはアツアツで透明の容器越しに熱さが伝わってきている。

具の豚肉キャベツに青のりと紅ショウガが乗っただけのチープな焼きそばだけど

味は求めていた通りのTHE焼きそばで非常に満足のいく一品だ。

思わず「うんうん」と食べながら頷いてしまう。

「貴方のそれ凄いソースの匂いね。味濃いんじゃない?」

「そりゃそうだけど。そこがいいんじゃないか」

ミカエルは俺の返答に「分からないわ・・・」といった顔をしながら

手に持っていたクレープにかぶりついた。


「・・・」

そしてかぶりついて止まった。周りはやかましい筐体からのSEや、店内BGMが鳴り。

カップルたちや同じ制服を着た同校の生徒、他校の制服を着る学生が店内を歩いているのに。

ミカエルだけがただ一人この空間で止まっている。

「ど、どうしたんだ?」

「お、美味しい・・・!なんなの、この食べ物は!?」

何かあったのではないかと心配して損した気分だ。

「それは良かったな」

「あ、あぁ・・・。今まで甘いモノやスイーツを一切口にせず生きてきたのだが・・・。

甘いモノってこんなに美味しいのか!?」


そのままの勢いであっという間にクレープを完食したミカエルは

再びカウンターでクレープを注文し、両手いっぱいのクレープを抱え席に戻ってきた。

「はむむぐ・・・パクパク・・・ごっくん!」

追加分を食べ終わるとクレープを全種類コンプリートしたようで、

今度は別の甘いモノをメニューから探し始めた。

一応確認しておくが、ここはゲームセンターであって別にオシャレなスイーツ屋さんではない。

ここのクレープは所詮ただのおまけで軽食の域を出ないクオリティのはずだ。

なのにこれ程までに彼女をガッツかせるというのは、

それほど彼女の身体に今まで我慢していた分の反動が来たということだ。


昨今の世の中健康志向の考えが顔を利かせ砂糖の依存性について取り上げられた記事を

目にする機会が増えたが今のミカエルを目の前にしていると、それらの記事を

「何をいまさら砂糖について論争をする必要があるのか・・・」と無下にするのが難しくなった。


ーーーーー


その後ミカエルは限界まで腹の中に詰め込んだ為気分を悪くしていた。

「う、うぷ・・・気持ち悪いわ。お腹も張ちゃって・・・」

「そりゃ、あれだけ食えばな」

先ほどまで目を見開き大食いをしていた人物と今現在口元に手を添え膨れたお腹をさする人物が

同一人物であることが信じられない。

と、ミカエルの口元にホイップクリームが残っているのが見えた。

恥をかいてしまう前に伝えてやらなければ。

「おーい、二人共!」

俺がミカエルに

話しかける前に少し離れた位置から話しかけてきた者が居た。

あの小さい体に似合わないオーバーサイズの白衣、遠くからでも分かる。数多先輩だ。


「二人共店内を探しても見つからないからどこに行ったのかと・・・ってミカエル君。

口元を抑えてどうしたんだ?まるでえづいているかの様な姿。

お腹も不自然に膨らんで・・・って!その口元についてる白いのって!?」

「え・・・ッ!な、何でもないわよこれは!」

やはり、あんなに暴飲暴食をしたって事実が知られたくないみたいで、

数多先輩の指摘にミカエルは過敏な反応を見せた。


「さ、さては君たちゲームセンターがうるさい場所だからってのをいい事に。

ゲームセンターのトイレで致したな!?」

「「・・・は?」」


「とぼけるな!その口元の白いのは圭吾君の種で、えづきは妊娠をしたから。

お腹が膨らんでるのはご懐妊だな!」

「そんなわけないだろ!だとしたらどんなスピードでお腹膨らんでるんだよ。

俺のアソコはエロゲの触手か!?」

抜きパート後にすぐ出産シーンに移るエロゲじゃないんだから、

そんなことあるワケないだろ・・・。


結局、その後俺とミカエルはゲームで遊ぶことは無く数多先輩の誤解を解くのに

躍起になっていた。

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