EP13 天才VS天使2
「これって翼?」
「貴方気づいてなかったの?少なくとも私が来た時には既に生えていたわよ。心当たりないの?」
「心当たりって言われても・・・ある。電流だ」
この短い間もし体に違和感があったとしたらあの電流を流されていた間に違いない。
つまり俺は外部からの刺激により強制的に力が引き出されたのだ!
ただ1つ・・・。
「何か小っちゃくない?触ってる感じ手のひらサイズ気が・・・って待ってもしかして片翼?」
「そうね右の翼しか生えてないわね恐らく純粋な力不足でしょうね」
マジかよ。良く言えばセフィ〇ス、悪く言えば死にかけで羽が捥げた蛾じゃん。
「滑稽だけど、それなら多少戦えるはずよ。ほら構えて相手が来るわよ」
振り向くとゴーレムの一体がこちらに向かって短い身体で突進を仕掛けてきた。
既に目の前に迫っており以前までなら避け切れなっかたはずなのだが、何故か今は遅く見えた。
「アッブネェ!」
すぐさま身体を倒し転がり避ける。結果俺は攻撃を避けゴーレムは地面にぶつかり砕けてしまった。
どうやら身体能力が全体的に上がっているらしい。
これなら少なくとも自分の身を守ることは出来そうだな。
「それと人間の癖して天才を自称する貴方に一つ教えてあげる」
「・・・何、冥土の土産のつもり?」
「いいえ、上位種としてのアドバイスよ。貴方は既に天才としての道を外れているわ。
私が見てきた賢明な者達は全員他人と可能性を高め合ってその結果、
死後天才と民衆に呼ばれるようになったの。他人を落として自分の評価を相対的に上げ、
ましてや生きている内に他人から認められようと努力するその姿はまさに、
己の力を勘違いした凡才のあるべき姿よ。ここで私に殺されることを推奨するわ」
「ナニさ、これ僕を以上バカにするつもり?」
「いいえ、優しさよ」
「チッ!!!」
先ほど見せた舌打ちよりも大きな舌打ちを合図に残りのゴーレムたちが一斉に襲い掛かってきた。
一番の自信作6号はミカエルにそれ以外はこちらに向かってきた。
取り合えず俺は埃まみれのスニーカーで力任せに失敗作のゴーレムたちを攻撃する。
失敗作だけあってかゴーレムたちはあっけなく崩れていく、足に当たる感触も粘土のようで
どうやら外気に触れた時間が長すぎたようで既に戦闘をこなす程の力はなくなっている。
6号も先ほどからの無理難題な命令に段々と、
関節部分から粉を落とし始め「ギギギ・・・」と悲鳴を上げ始めていた。
「せいや!」
それを見落とさなかったミカエルは瞬時にゴーレムの腕と足が繋がる関節部分に刃を入れ
ダルマへと仕立て上げた。こうなればゴーレムは自立することは不可能だろう。
「な、そんな・・・!天才の僕が生み出した最高傑作が!?」
「”人間”如きがどれだけ努力しようと所詮程度は知れているのよ。後は、貴方だけね。どうする?」
「く・・・うわああああ!!!」
女はスタンガンを取り出し捨て身でミカエルに襲い掛かったが。
「う・・・」
あっけなくミカエルに蹴り飛ばされダウンしてしまった。
どうやら決着が付いたようだ。
「せめて来世貴方が天才として生まれるように願いつつ殺してあげる。じゃあね」
「いやだぁ・・・やめてくれぇ」
情けない声が空き教室に響き渡る。
「どうして?天才になりたいんじゃないの?」
「僕が、僕じゃなくなったらダメなんだ!僕は僕のまま天才になりたいんだ!
来世が僕だろうと今の僕”数多唯”じゃなかったらそれは僕じゃないんだ!」
「ナニそれ?圭吾貴方なら分かる?」
「え、まぁ分かるような分からないような・・・」
正直、人間誰しも自分が自分じゃなくなることに恐怖を感じられずにいられないだろう。
「ふーん・・・まぁいいわ取り合えず」
ミカエルは数多の手やポケットから彼女の発明品と思われる物全て取り出しその場で破壊した。
「貴方がもし天才ならまた明日放課後に画期的な発明品を持ってきなさい。
それで満足したら、考えてあげる」
「・・・」
その投げかけに数多が反応することはなく俺たちは先にその場を去った。
ーーーーー
「どうすんだよアイツ」
「どうせ、明日逃げて自宅に籠って登校しないはずだし。放課後殺しに行くわ」
「ヒェッ・・・」
あの様子を見る限りプライドやモチベーション等は発明品たちと共に粉々に砕かれているだろうから。
誰も知らないところで殺され、誰にも天才として周知されず数多唯の人生に幕を閉じてしまうのだろ。
ーーーーー
あんなことがあった翌日だが学校を休むわけも行かないので俺はいつも通り登校をしていた。
席に座りサタンと談笑、視界の端には
一般人の前では完璧美少女を演じるミカエルの境内美香としての姿があった。
普段俺や、サタンの前で見せる姿とは違い常に笑顔で声もワントーン高い。
ミカエルは他のクラスメイトの前だと俺やサタンに対してもあの感じでコミュニケーションを
取り合っている。
(あんな顔振り撒いてるけど、放課後アイツを殺しに行くんだろうな)
と、教室の後ろの扉前で局所的なざわめきが起こった。
「やぁ、やぁ!おはよう、おはよう!
二年の数多唯だ!境内美香君は居るかー!!!後、星垣圭吾君も!」
「「な!?」」
俺とミカエルがその予想外の来客に同時に驚く
「ん、なんだアイツ。ケイゴとミカエルの知り合いか?」
サタンの声を無視してミカエルとアイコンタクトを取る。
(ミカエル。ど、どうする?)
(取り合えず教室を出ましょう)
「・・・何だオマエら?」
裾を引っ張るサタンを席に座らせミカエルと俺は数多の元へ向かった。
ーーーーーー
「こんな朝からなにかしら。早く天才に生まれ直したくて自分から首を差し出しに来たの?」
「は、何を言ってるんだい?持ってきたに決まってんだろ境内美香。君を満足させる発明品を」
「ま、マジなの。貴方?」
凄いミカエルが珍しく動揺し昨日の戦いの中では見せなかったような汗を流している。
「さて、ごほん!レディースあーんど・・・ジェントルメーン!今宵、いや。
今朝見せるのは時代に名を残す大発明家にして大天才数多唯が生み出した発明品その名も
可能性背伸び君”12号”!」
「12!?貴方それって・・・」
「あぁ君たちが去った後すぐに発明に取り掛かり試作12回目にしてやっと完成させた」
マジかよ・・・。横をチラっと見るとミカエルも同じように「ポカーン」と口を開けている。
「さぁ、この。可能性背伸び君12号が成功した暁には美香君には見逃し貰うし、圭吾君。
君にはこれからもは「数多先輩」と呼んで貰うぞ」
そういうとせっせと設備を整える数多唯。
数分後デコに流れた汗を白衣の裾でふき取ると、
「さぁ、整った!圭吾君これを被りたまえ」
「え、なんで・・・」
「電流を流すからさ!!!」
「いや、懲りてないじゃんお前!」
流れで俺のこと殺そうとしてないか?
ミカエルも目元に皺を寄せ短剣を手に取る。
「待て待て違う!違うんだ!
君たち話を聞いくれ。そして美香君にいたってはその手に持ってる物を下ろしてくれ。
これは昨日の圭吾君の可能性を引き出した電流に着目した発明品で、
電流によって”可能性”を引き出す代物なんだ。
僕の考えが間違ってなければ圭吾君はこの電流を浴びた結果さらなる成長が見込めるはずさ!」




