地図の向こうにいるもの──代理接触と「他者」の影
陽が沈み、森に夜の帳が降りる。
焚き火は炭だけを残し、煙はわずか。虫の音すら警戒して鳴りを潜めたそのとき――
「……北東の気配が“変わった”。誰かが、何かを始めている」
魔物使いレーネの低い声が、主人公の背筋を冷やした。
「動きが?」
「はい。気配の質が変わりました。あれは……集団の動きです」
主人公は地図を開き、斥候たちの報告で埋まった北東領域を見る。
先ほどの探索では“安全”とされていた範囲だ。
――そこに、別の“存在”が入り込んだのか。それとも、元から“そこにいた”のか。
【行動フェーズ:代理交渉部隊の派遣】
接触は回避できない
だが、主人公は動かない。
「会う」のは、作成キャラたちだ。
「交渉」「対応」「観察」――すべては“彼ら”に任せる。
主人公は指を走らせ、地図上に矢印を描いた。
「まずは“話す”準備を整えろ。だが、不用意に近づくな。危険なら即撤退」
そして、レーネと斥候D、斥候Eの三人に命じた。
【交渉・接触班】
魔物使い:レーネ(意思疎通・言語系統の解析)
斥候D(無音歩行・自然交感による接近と気配察知)
斥候E(採取効率化・逃走専念)
任務:
北東の気配の正体を探る
可能であれば“非敵対的”に接触する
「交渉材料」は香り草・食料・未鑑定の種子
日が落ちきる直前、三人は音もなく林を抜けていった。
主人公は拠点に残り、ノートに時刻と方位、メンバー、目的を記録する。
いつものように自らは一歩も動かず、ただ火を守り、戻ってくる者たちの「報告」を待つ。
――約三時間後
【接触リザルト】
地点:北東林境、傾斜地の下に“人為的な見張り小屋”を発見
存在:装備を持った現地人(2名)との視認接触に成功
言語:こちらの言葉は通じず、レーネが単語レベルで意味を受信
態度:警戒だが即攻撃ではない/視線は明らかに探索的
物々交換:香り草×1 ⇄ 干し肉らしき保存食×2(試行)
備考:
現地人は「同じ場所に戻る」というジェスチャーを残し撤退
所持していた装備は粗末だが鍛造品(石混じり鉄刃)
現地語の断片:「ガンザ」「リヒェン」など地名or固有名詞か?
焚き火の前で、主人公は報告を聞いていた。
レーネが淡々と状況を説明し、斥候Dが細かく地形を補足し、斥候Eが得た物品を手渡す。
手元に置かれた干し肉を見ながら、主人公はつぶやく。
「……“文明”がある。鍛冶、見張り、言葉、取引の概念……それに、攻撃より観察を選んだ」
彼らはこちらに興味を持っている。
敵ではないが、味方でもない。
そして、主人公自身は――
あくまでも“姿を見せない存在”であり続ける。
【追加解析:魔物使いレーネによる感応】
現地人の態度の裏には「恐れ」ではなく「警戒と興味」
「接触は続ける。ただし、こちらからは出向かない。彼らに“こちらを観察させる”形で会話を進めてくれ」
主人公はノートの端に新しい単語をメモした。
“ガンザ”と“リヒェン”――
それが地名か人名かもわからないが、確実にこの世界の“地図の外側”へとつながる鍵だ。
▶ 次章:「影を観る者──“来訪者”としての立場」へ続く。