生ゴム及びパッチの応力緩和測定試験について
応力緩和測定試験とは、生ゴム及び、パッチと呼ばれるゴムに充填剤や顔料などを混ぜ硬度、可塑性等の物性を調整したゴム製品原料の加工性を測る指標を得られるものです。
試料にねじれ応力をかけた後、その力を緩め、試料が応力をかけられる前の元に戻ろうとする力の変化の様子をlogスケール(常用対数)グラフに処理したデータから読み取ります。用いる試験機はムーニー粘度試験機と呼ばれる、ゴムの粘度を測る試験機に応力緩和の測定機能がついているものを用います。試料の大きさは一回の測定で約5cm角の物を用いることになります。
logスケールグラフの傾きを見ることにより、ゴムの加工性を判断できるのですが、そのグラフが完全な線形に近いか、傾きが大きいか小さいかで、加工性の指標は変わります。ただ、試験法自体がまだ未確立なものであるので、ゴム製品生産時の原料加工性もデータからは決定的な判断がまだできない段階です。一般に傾きが大きい方が加工がしやすいとなりますが、ゴムの応力緩和測定以外の物性も関連してくると考えられるので、その部分も結論は出ていません。
この試験法が確立した後の展開は、加工性がそれぞれの原料で詳細にデータとして残るので、ゴム製品成形時のオートメーション化に役立つと考えられます。具体的には、押出成形で製品を作る場合、データによる設定を原料によってそれぞれ押出成形機にインプットし、効率化を図ることができると考えられます。
応力緩和測定試験法は様々な可能性がある試験法ですが、関心があまり向けられない分野でもあります。試験法を確立するには分析機器の基礎研究と掘り下げを継続して行い、多様な試料によるデータの蓄積が不可欠です。ゴム業界での関心が高まれば、この試験法は将来的な利益になると考えています。
私は、この試験法のデータの意味をある程度理解し、測定を納得いくまで繰り返し、確立の一助になれればと研究をしていましたが、体調を崩し仕事を辞め、実家に戻りました。この文章が試験法確立の小さな一助になれば、こんなうれしいことはないという思いで書きました。