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10. 元執事、魔法を創る

「親父さん、これ一つ」

「はいよ!」


 串焼きを受け取って、銅貨を一枚手渡す。

 俺は今、街を散策中だ。


「ん〜美味しい!」


 食べ過ぎだって? 魔法は体力も消費するから大丈夫だ。


 リリアナがお店を出てすぐ、俺もお店を後にした。やることなんてないから宿に戻っても良かったのだが、まだ日が高い。


「せっかくだし情報収集するか」


 と、そんな思いつきで街中をぶらついていた。屋台の店主とかは意外な情報を知っていたりするものだからだ。


 と、いうことで串焼きは必要経費である。


「そういえば親父さん、最近なんか面白い話聞いたりしないか?」

「面白い話か?」

「ああ、冒険者が、とか、貴族が、とかなんでもいい。何かおもしろ話はないかなって思ってね」

「ほぉ」


 親父さんが目を細める。そして、手を差し出してくる。

 俺は瞬時にそれがどういう意味か察する。執事の時に、ユリウェラ王女殿下の命で情報を集めた時もよくこういうことがあったからだ。


 俺は即座に銀貨を差し出す。

 親父さんはそれを見て笑みを浮かべて頷くと話し始めた。そう、情報料である。


「半端なく強い奴が新しく冒険者になったらしい。この街が誇るSランク冒険者のリリアナ様がパーティーを申し出て断られたとか」

「へ、へぇ、他には?」


 思わず冷や汗をかく。多分俺のこと……だよな? 半端なく強い奴って誰が言ったんだ、俺より強い奴なんてそこらへんにいるだろ、誤解を招くような噂をばらまくんじゃない!


「他か……あぁ、なんか迷宮の方が不穏だって聞いたな」

「不穏?」

「魔物の量が増えているらしい。ただ、まだ対処できているから表沙汰になっていないみたいだ。奥まで入って探索している冒険者の話ってだけだな」

「なるほど……」


 思い当たる状況はある。だが、魔物が増える理由はまだ完全には解明されていないからなんとも言えない。


 だが先に知ることができてよかった。知らずに入ってたらかなり危ない目にあったかもしれない。何かに遭遇した時に予備知識があるのとないのとでは生存率は大きく違う。


 俺は笑みを浮かべた。


「良い情報をありがとう。串焼きもう一本もらえるか?」

「おう! 毎度あり!」


 一本追加で買って屋台を後にする。


 魔物が増えている理由を調べなければ、か。俺がやることでもない気がするが、これも迷宮攻略の一環だと思ってやるとするか。


 そのためにはもう少し深く潜る必要がある、が……


「罠がなぁ……」


 そう、今の俺には浮遊して罠を避けるしか方法がない。深く潜るのに魔力を減らしていくのは正直不安でしかないからあまりしたくない。


「罠を先に感知する魔法でも創るか……?」


 魔法式は大量の要素を示す記号が連なってできている。その記号さえ覚えれば創ることはできなくはない、面倒くさいが。

 そして俺はその記号を覚えている。


「そうするか……確か街から出たところに人気のない森があったよな」


 串をアイテムボックスの中に放り投げると俺は街外れに向かった。




 ***




「ここ結構いいな。静かだし、魔物も人もいないみたいだし。魔法の練習にうってつけだな」


 歩いて三十分ほど。目的地の森に到着した俺は伸びをしていた。空気が新鮮で美味しい。


「さて、罠を感知する魔法か……正直全然思いつかないんだが」


 もともと人や魔物を感知する魔法は使っていた。だが、罠というのは無機物である。無機物を感知する魔法なんて今のところ存在していない。


「罠、罠、罠……罠って基本的に動くよな……あれは何に反応して動いているんだ……?」


 人間の重みだろうか? だが、魔物だってそこそこの重さがあるはず。だが魔物が触れたところで罠は起動しない。


「魔力……も違うだろうし……人にだけ反応する仕組み……」


 唸り声しか出ない。いやむずいな!?


「魔物の特徴は……魔力を持っていることとコアがあること……コア?」


 そういえば魔物……迷宮の外の魔物はコアを持っていなくて、迷宮の魔物はコアを持っている。

 そして人間は——


「コアを持っていない!」


 罠が起動する要因がコアを持っていない生物が触れた時、ならば。


「感知云々の前に俺の体内に擬似コアを作ってしまえばどこに触れても罠は反応しないんじゃないか……?」


 俺はニヤッと笑う。これはいい案かもしれない。


 その日の夜、俺はその魔法を完成させたのだった。


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